気温マイナス25度の町、たしかに初日は寒かった
遊牧民の冬の暮らしを体験するべく、2月のモンゴルに来た。
夜中の空港に到着すると、たしかに寒い。夏に来るときはいつも草の匂いが香ってくる空港の駐車場でも、今は冷気で鼻の奥がツンとする。
天気予報によると気温はマイナス25度。道路はガリガリに凍っている。空気が冷たくて、肌がビリビリする。
到着したときは暗くてよくわからなかったが、翌朝になって町を眺めると雪も積もっていた。夜のうちに少し降ったようで、遠くの山まで青白い。

町から草原のゲルに向かう。ランドクルーザーの車内から地平線まで白い景色を眺めていると、なんとなく演歌が似合うように思えた。
寒い+荒野=演歌が私たちの方程式なのかもしれない。モンゴルは函館や襟裳岬より北にあることを考えると、はるばる来た感もある。


「冬はきのうで終わったよ」
しかし首都ウランバートルから西に進んで遊牧民のゲルに到着するころ、太陽が高くなってくると、気温はそこそこ上がってきた。
厚着しているというのもあって、外に出てもそんなに寒くない。風は冷たいが、京都の底冷えよりマシな気さえしてくる。
話を聞いてみると、寒さが和らいで過ごしやすいときに来たらしい。冬はきのうで終わった。それはちょうどよかったような、寒さが体験できずにちょっと残念なような、である。


気温はまだまだ氷点下で、私たちとしては比較的すごしやすい。
しかし遊牧民としては、気温が高すぎて備蓄の肉(自然冷凍してある)がとけちゃって大変とか、旧正月用にボーズ(蒸し餃子のようなもの、これも普段は冷凍している)を作っても凍らなくて大変とか、いろいろ困ることもあるという。
ただし! いい知らせもあって、それは家畜が生まれだしているぞ、ということだ。もはや冬は終わっていた。気分はもう春なのだ。
犬がめっちゃ生まれてる
そう、気分は春。動物って春に生まれるのだ。例外はあると思うが、とりあえずモンゴルではだいたいそうなっている。
手始めにゲルの外に出ると、子犬がめちゃくちゃ走りまわっている。
数えてみると6匹もいた。最近、飼っている犬が生んだらしい。京都ではあまり見ない光景である。
ひたすら外で放し飼いにされているタフな子犬たちだが、モフモフの毛並みがどう見てもかわいい。



外に出ると、もうまとわりついてくる勢いでじゃれてくる。犬天国である。止まっていてもかわいいし、ぴょんぴょん跳ねるように向かってこられるとまたかわいい。
トイレに向かうときにもついてきてしまうのがやや困るくらいで、あとはかわいい。

ちなみに、去年の夏に来たときは子猫も8匹いた。
犬と猫を合わせるととんでもない天国状態になるのではと思ったが、猫は全部知り合いにあげちゃったそうである。動物はけっこうダイナミックに取引されている。
