ヒツジもウシも生まれています
子犬たちを可愛がりまくっていると、近所の家ではヒツジも生まれているぞと情報が入ってきた。なんだなんだ、けっこう忙しいではないか。
例によってヒツジたちも春に生まれる。何百頭も飼っているので3月や4月には毎日のように生まれるが、それの第一弾が始まったというわけだ。
近くのゲルに連れて行ってもらうと、ヒツジの親子が家畜小屋に入れられていた。

めちゃくちゃかわいいではないか。子犬のように駆け寄ってきてくれるわけではなくむしろ近づくと逃げられるが、お母さんにくっついている様子が愛らしい。
ラム肉、つまり子羊の肉はクセがなくておいしい、とか言われているが、そりゃこんな小さいのにクセもなにもねえだろう、と思いがよぎる。ちなみにモンゴルでは子羊を食べることはない(かわいいからではなく、もったいないからだと思う)。


お隣ではウシも生まれていて、こちらもかわいい。てこてこ歩いているのが不安になるがかわいい。小さい不安定なもの、それこそがかわいいものなのかもしれない。


遊牧仕事に入門!
さて、このまま動物の赤ちゃんをかわいがって過ごしていてもいいのだが、せっかくなのでこの季節の遊牧民仕事も見ておきたい。
ゲルで「この時期の仕事を見せてほしい」と申し出ると、少年がガイドをしてくれることになった。
3年前の秋に来たときに出会った少年・ボヤントフトフくんである。髪が伸びて悪ガキ感が増している。

3年前にゲルで会ったときは恥ずかしがって名乗ってくれなかったのだが、去年の夏にようやく名前が判明したのだった。
その後毎年会うとフザケてばかりだが、今日はお客を案内してくれるらしい。たのむぜ。


凍った川を砕いて牛に水をやろう
仕事を任されて得意げなボヤントフトフ(と彼の父・ゴンゴルさん)に連れられて、朝の仕事へ。
向かった先は川である。来たときに車で通った、ガチガチに凍った川だ。ここでウシに水をやるのがひとつめの仕事である。

夏のあいだは勝手に川から水を飲んでいるウシたちだが、寒いと川が凍ってしまって困るらしい。人間が穴を開けてやる必要があるのだ。ウシが並んで水を飲めるような溝を、交代でガリガリ掘っていく。


まだ川は凍ったままの気温とはいえ、重たい鉄筋を振り回していると暑いほどだ。毎日やってるのかたずねると、2日か3日に一度ということだった。冬のはじめは薄い氷が、時間が進むとだんだん厚くなってしまうらしくて大変だ。

しかし氷をガリガリ砕くのはなかなか爽快感もあった。ゴンゴルさんもわりと楽しそうである。
サラリーマン用語で「アイスブレイク」というのがあるが、実際にこれをやったら初対面でもけっこう仲良くなれるだろう。会議室にでっかい氷を用意してください。


