特集 2026年2月11日

三重出身者も知らない郷土料理「そうへいじる」を食べに三重の祭りに行った

観客も神輿を追いかける

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去りがたい雰囲気、これが祭りの熱気なのか・・・

すでに21時近く、私は出発を見届けたら、さっさとバスに乗って帰ろうと思っていたのだが、やはり追いかけずにいられなかった。

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ぞろぞろとついていく観客たち。途中にあるホテルからも宿泊客が出てきて見物していた

山道を神輿が進み、観客がそれについていく。

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神輿の炎が木の枝や電線に当たっている。大丈夫なのか・・・

暗がりにホースを持った消防隊員の人が待機していて、全力の散水をしている。よく見ると足下に小さな川ができるくらいのレベル(見に行かれる方は滑りにくい靴を履いていったほうがよい)。
追いかけている集団(一般の人)の頭の上からも容赦なく水がかかってくるので、「きゃー」「やめてー」という悲鳴が聞こえてくる。カオスだ。

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ぶれている写真しかない。とにかくカオス
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一度神輿を下ろしたので、終点かと思ったら、休憩地点だった。

途中の休憩地点のあと、神輿は、ステージのあった祭りのメイン会場で一周するらしい。
筆者はそこまで追いかけられなかったが、僧兵汁を食べられ、三重県下最大の火祭りを観ることができ、大満足の夜だった。


湯の山温泉の温泉街は小規模ながら風情があった。

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静かな湯の山温泉の町並み
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「ゆ」の暖簾があるが、飲食もできるようだ。静かだが、傘があるので、客が入っているのだと想像させる
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僧兵みそラーメン、気になったが、入る時間がなかった。本日限定なのに
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旅の余韻に浸りながらお取り寄せをした

僧兵汁や僧兵鍋を作るのに使う僧兵味噌が現地で売られているらしいのだが、私は見つけることができなかった。
なので、埼玉県に帰ってから、通販で購入した。

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実物?の僧兵を見たことで、僧兵味噌のパッケージに載っている僧兵にまで愛着が沸いた

この味噌を使って自己流の、僧兵味噌ラーメンも作ってみた。
おいしかった。

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自己流の僧兵味噌ラーメンだ。
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普段はラーメンのスープを飲み干せないが、僧兵みそで作ったスープは飲み干せた

同じお取り寄せでY子の教えてくれた「まこもどらやき」も買ってみた。これもおいしい。

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人生で初めて食べる、まこもどらやきだ
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Y子が書いていたとおり、生地がほんのり緑色だ

ところで、僧兵味噌を使って作る、「僧兵鍋」には、菰野町の決めた九つの掟があるらしい。
一、僧兵味噌を使った鍋とすること
一、猪、鹿、鳥の肉を使ったスタミナ鍋とすること
一、山の幸を豪快に盛り込むこと
一、菰野産の野菜をふんだんに使うこと
一、甘酒と僧兵味噌で味加減を調整すること
一、好みで山いものすりおろしを付ける
一、出汁まで食べていただくようにすること
一、食す前に武家政治に抗った僧兵に思いをはせること
一、僧兵鍋を食す時、信長の話はせぬこと

・・・武家政治に抗った僧兵に思いをはせること。

僧兵に思いをはせるのは難易度が高いが、故郷の友人に思いをはせることはできる。

どらやきを食べてから、Y子に手紙の返事を書いた。
「そうへいじるを食べに、僧兵祭りに行ってきました。」
またしても唐突な手紙だけれど、きっと受け止めてくれると思う。


食べ物の好き嫌いが多く、食べるのが遅くて、給食の時間が苦手な子どもだった私。そんな自分が、給食の献立表に載った一行から、三重県の湯の山温泉まで行き、県下最大の炎の祭典を観ることになるとは思っていなかった。

ふだんは地元のことを「まあだいたい知ってるやろ(三重弁だ)」と思っていたのに、知らない固有名詞ひとつでこれだけ右往左往するあたり、私は三重県のことを案外わかっていなかったらしい。まさか、鹿コロッケをつまみ、僧兵の後を追いかけ、最後はずぶ濡れになるとは誰も予想していない。

そして“地元の小さな謎”を追いかけると、その周りにいろんな景色や体験が自然とくっついてくる。初めて乗る路線、祭りのざわめき、なぜか通販で買ったまこもどらやき、そして「三重ってまだこういう一面あったんや」というささやかな発見。実家はもうないけれど、三重にはまだ知らない場所や文化が普通に残っている。そう思うと、またそのうち気軽にのぞきに行きたくなる。

この記事は読者投稿でお送りいただいた記事です。

編集部より寸評

「給食で郷土料理が出る」「自分の郷土料理なのに聞いたことがない」どっちも郷土料理あるあるですよね。そんな身近な体験から始まり、聞き込みを続けるうちに芋づる式に出てくるのが火祭りの情報。そして現地に行ってみたら大勢の僧兵たちと燃え盛る炎…!
けっこうめくるめくストーリーですよね。そしてちょっとミステリアスな要素もあり。それでいて文体は等身大で読みやすいレポートと、そうそう読めない読み口の記事だったと思います。思わず一気読みです。(編集部・石川)

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