歩幅だけで直径を求めたい
地図を眺めるのが大好きなので、日がな一日地図を眺めているわけですが、千葉県の船橋市に行田公園という公園があります。
船橋市のホームページによると、行田公園の前身は旧海軍の無線送信所で、1915(大正4)年に完成しました。真珠湾攻撃の際には暗号文「ニイタカヤマノボレ1208」がこの送信所から発信された、とあります。
戦後は米軍に接収されたのち、1966(昭和41)年に返還され、跡地に団地や公園などが作られましたが、円周をぐるっとまわる道路が残っています。
一方、横浜市泉区に深谷通信所跡という場所もあります。
深谷通信所は旧海軍の無線通信所として1944(昭和19)年に完成しました。こちらも戦後米軍に接収されましたが、返還されたのはわりと最近で2014(平成26)年です。
さて、行田公園も、深谷通信所も、どっちも埼玉県にありそうな名前ですが、そんなことはどうでもよくて、地図をよーく見ると、まん丸に見えます、正円ですね。まず、行田公園の方をよく見てみます。
北から南へ貫く道があり、西側と東側に凹んだように見える部分が2箇所あるものの、ほぼ円周を辿って歩くことができる道があります。ということは、円周の長さを測って、それを3.14で割ればこの円の直径が分かる。
つまり、自分の歩幅の長さを測って、現地でこの円をぐるっと歩けば、(歩幅×歩数)÷3.14で直径がわかるということになります⋯⋯よね?
数学が超絶苦手だったもので、いちいち自信がないのです。ダテに数学のテストで2点とか3点とか取ってないですよ。マジで。
さて、みなさん今「Googleマップのカーソルを右クリックして「距離を測定」をすれば直径ぐらい現地に行かなくてもすぐわかるだろ!」とお思いやもしれません。その気持、わかりますが、そういう話じゃないんです。これは。
歩幅を測っておく
というわけで、まずは歩幅を測っておきます。
この時に10歩を10回。
7、6.8、6.6、6.5、6.8、7、7.2、7.1、6.9、7.3(m)
10歩ごとの歩幅の平均は6.92でしたので、一歩の平均歩幅は0.692m。
あの伊能忠敬の歩幅も、69センチだったというので、なにか縁(えにし)を感じます。おこがましいんですが。
おおむね、成人男性の平均の歩幅は70cm〜75cmということらしいので、まあ、ほぼ70cmというところではないでしょうか。とりあえず、この結果を元に行田公園の円周をあるいてみたいと思います。
行徳公園を測る
行徳公園にやってきました。
地図で見ると、行田公園の真ん中を貫く直径の線みたいな真ん中の道の一番下(南側)の交差点にきています。数学的に言うと、点P? いや、点Pは動くから自分自身になるのでしょうか。
あれほど子供の頃の自分を悩ませた点Pに、今自分がなっている。子供の頃のトラウマを超克してやるぞという、克己の精神でのぞみます。
で、今回は円の西側のすこし凹んでいるところから反時計回りにスタートします。
最初にも言った通り、ここの部分は、JR武蔵野線の線路が円周の中をすこしかすっており、行田公園の円は完全な円になっていないわけです。
ただ、これは僕の直感なんですが、円の内側に入りこんだカーブ部分は、外側のカーブとほぼ同じ距離のような気がするのです。
なので、そのまま道に沿って歩き始めます。
武蔵野線の線路ができたのは1978(昭和53)年で、すでに、行田公園は米軍から日本に返還された後だったため、国鉄もちょいとごめんよってなもんで、敷地内にもかかわらず鉄道をぐいっと引いたのでしょう。たぶん。
さて、歩数のカウントですが、iPhoneの万歩計を使っても良かったのですが、今回はあえて、数取器でカチカチやりながら歩数を数えます。
親指が攣りそうなりますが、頑張ってカチカチします。
円の東側の端っこの凹んでいるところには、神社がありました。
むかしの航空写真をみると、無線通信所ができた当初から、ここだけは凹んでいたようで、さすがの日本海軍の威光も、神社には勝てなかったとみえます。
なんてことを思いつつ、ずんずん歩きます。
いちばん北の頂点あたりの交差点を過ぎ、武蔵野線の凹みの部分まで戻ってきました。
さあ、気になる歩数はいくつなのか⋯⋯。
3171歩。
もう、居ても立ってもいられないので、iPhoneの計算機ですぐに計算してみます。
(3171×0.692)÷3.14=698.8m
698m! んー。行田公園の直径の正解、実はぼく知っているんですが、800mなんですよね。その誤差約100m。いくら、歩幅で測ったとはいえ、誤差100mはちょっと見過ごせない誤差です。とんだポンコツ伊能忠敬です。
800mと698.8mは、101.2mの誤差がありますから
(101.2÷800)×100=12.65%(誤差)
12%の誤差はちょっとさすがにデカいです。伊能忠敬の測量の誤差は0.1%とかいわれているので、えーと⋯⋯120倍以上も違いますねこれ。
歩幅をもうちょっと多く見積もって、歩幅0.7mで計算してみます。
(3171×0.7)÷3.14=706.9m
(93.1÷800)×100=11.63%(誤差)
あんまり変わりません。どうなってんだ? 落胆しつつ帰宅します。
数学に詳しいライターに頼る⋯⋯
ここで、数学に詳しいデイリーポータルのライター、ほりくんに話を聞いてみました。すみません、ChatGPT代わりに後輩ライター使うなよという話ですが。

さっそく、行田公園の凹みのせいにしようとしていますが。ほりくんは冷静です。

ぼくの見立てはすぐに完膚なきまでに潰されます。いや、これだけの正論で言われると逆に爽快ですね。







なるほど、やはり歩幅が原因ではと指摘され、もう一回歩幅測り直してみるか? と思い直し、もういっかい歩幅を測ってみました。
すると、今回はこんな数字が出てきます⋯⋯。
7.2、7.7、7.3、7.8、7.9、8.2、7.9、7.8、7.9、8.1、8.4、7.6、7.8。
軒並み7以上です。あれ? 最初に測った時と全然違う。これはほりくんの言った通り、歩いているうちに、勢いがついて大股で歩いていたということかもしれません。
最初の歩幅は、朝5時ぐらいに家の前で適当に測ったやつだからな⋯⋯歩幅もまだ本調子じゃなかったのかもしれない。
一応、最低値と最高値を省いた11個の記録を足して平均をだしてみます。
7.82ということは、歩幅は0.782m、つまり78.2cmということになります。
この歩幅で計算し直すと⋯⋯。
(3171×0.782)÷3.14=789.53m
おわー! めちゃくちゃ誤差が縮まった。
800と789.53の誤差は10.47m
(10.47÷800)×100=1.309
1.3%まで誤差が縮まりました! なんか嬉しい。
嬉しすぎるのですぐほりくんに連絡します。






