これが北野エースの力か
見つけたのはスーパー、北野エースだ。
こだわりの品がならぶ個性派スーパーとユーザーから信頼を集める熱い店だけあって豆コーナーも充実しており、そんななかで「みたらし豆」と「きなこ豆」は発見されたのだった。
この2品以外にも同メーカーの煮豆は種々並び、お大臣のようにはじからはじまで棚から取る私の手は光よりも速かったと思う。
夕方のレジは混雑していたが、重ねた豆パックを手に並ぶ心はおだやかであった。豆は良い。
この豆々は深川にある佃屋食品というお店が作っているようだ。
煮豆と佃煮を扱っていて、創業は100年を超えると公式のInstagramアカウントにあった(アイコンのマメちゃんがかわいい!)。
甘納豆くらい甘い煮豆たち
心を落ち着けるべく、みたらし豆やきなこ豆は後にして、おそらく一般的な煮豆だと思われる豆どもから試してみたい。
「三色豆」は、白花豆、うぐいす豆、うずら豆、を合わせたものだそう。
この3者は甘納豆でも寄せられることが多いメンバーのように思う。
食べてみると実際かなり甘い味付け。
煮豆は煮汁に砂糖を加えて煮て作るもの。いっぽうの甘納豆は煮た豆を別途作った砂糖蜜に浸して味を染み込ませたあと煮詰めて乾燥させて作る。
製法は違うが、豆を甘くするという精神性は同じだ。
宗派は違えど願いは平和、みたいなことを考えた。
いきなりあんこ
「高原豆」は原材料に大黒花芸豆とあった。大黒花芸豆……?
インゲンのなかでも大きな種類を花豆というが、その中国で作られるものを花芸豆と呼ぶらしい。へぇー!
うっかり豆に詳しくなっていき、力がみなぎる。
食べてみると、豆の食感のまま、味があんこだった。
豆から作るのがあんこだが、この豆はあんこの味がする。豆が大きいだけに食べ応えもあり、いきなりあんこの感じが口内でおもしろい。
そら豆だが栗
「富貴豆」は、栗の甘露煮のような美しさ。何の豆かと思えばそら豆だそうだ。
よく見ればそら豆なんだけど、あまりの栗っぽさに原材料を見るまで分からなかった。コリっとした食感が残っているところからもかなり栗みたい。
蒸してから炊いて作るのだそう、それってすごい手間だ(そら豆だから薄皮を剥く必要もある)。
ちょっとこう、お節みたいにうやうやしく食べてしまう。多分栗きんとんを思い出している。
3品通じて全体的に、豆の食感をしっかり残しつつ味をぎゅんぎゅんに染み込ませてある。花豆のくだりで祖母を思い出したが、濃い味をちょっと食べるというのも祖母の食事のスタイルで懐かしい。
なるほどこういう芸風のお店さんかと、ベースの知識はこれでつけられた。
よし、みたらし豆ときなこ豆の、話をしようか。