実家へ
ここのところ忙しかったので、しばらく母と連絡を取っていなかった。今年になって弟が結婚したこともあり、母は実家で1人暮らしである。きっと連絡していない事を恨んでいるに違いない。カレーを作って欲しい、と電話でお願いした時も少し不機嫌だった。
母の機嫌を取るために、TSUTAYAに寄ってDVDを買う事にした。母は韓流スターにずっぽりハマっているのだ。韓流スターが出ているDVDを買って帰れば機嫌も直るだろう。
去年、母もライブに行ったという東方神起のDVDとちょっと甘い物を土産に久しぶりに実家に帰った。
母は既にカレーの煮込みを始めていて、家の中にタマネギを煮込むいい香りが充満していた。
それにしても派手なTシャツを着ている。どこで買ったんだろう?
Tシャツについて突っ込みを入れたい気持ちをグッと抑えて、取り急ぎ東方神起のDVDを渡した。案の定、母は喜んでくれた。
「みんなで赤いライトを照らすのよ、ほら、キレイでしょ」と東方神起のライブの素晴らしさについて、母がプレゼンを始めた。どんなに熱心にプレゼンされても、僕には母が韓流にハマる理由が全く分からない。
母曰く、
・歌が上手くて踊りも上手くてカッコいい。
・そんな男が5人もいる。
・みんないい子。
という事らしい。
やっぱり分からない。
それはそうと、アレだ。カレーの煮込みは大丈夫だろうか?
少し心配になって母にカレーの進行具合を確認した。母はテレビ画面から目を離さずに「まだ大丈夫」とだけ言った。学校に行く前の子供みたいだ。
本当にカレーは大丈夫か?