まずは母カレーを食べる
東方神起のライブと同時進行で、とりあえず母のカレーが完成した。約15年ぶりに見る、母のカレーである。
色といい具の大きさといい、確か、こんな感じだった。子供の頃と違うのは、付け合わせの種類である。らっきょうと高菜と福神漬け。子供の頃は福神漬けしかなかったような気がする。
そしてこの母カレーには特筆すべき点が1つある。僕が苦手なニンジンが入っていないのだ。僕の分はいつも、ニンジンを避けてくれていたのである。39才、2児の父親となった今でも、母カレーの中にはニンジンは入ってなかった。有り難い。
さあ、久しぶりの母カレー。どんな味がするのだろうか?
特別に旨い訳でもなく、かといって取り立てるほど不味くもない。普通の味だ。
子供の頃を思い出すかと思ったが、全く思い出さない。豚肉の他に、エビとイカと何かの貝が入っていて、こんなだったかなぁと記憶を辿っても分からない。
「エビとか入ってたっけ?」
と母親に聞いたら「なんとなく淋しかったから入れてみた」と答えた。昔食べていたようなカレーが食べたかったのだが、その意図はうまく通じていなかったようだ。写真を撮ると言っていたので見栄を張ったらしい。付け合わせが多いのもそのせいだ。
まあ、仕方ない。
母が作ったカレーである事に変わりはないので、この母カレーをパッケージにしていく。
モデルはボンカレー
母カレーをパッケージ化するにあたり、「ボンカレー」をモデルにすることにした。日本初のレトルトカレーである。レトルトパウチされたボンカレーを松山容子さんが持って笑っている、あのパッケージはあまりにも有名だ。
母のカレーをボンカレー風にパッケージ化していこう。
まず、レトルトパウチの部分であるが、本当のレトルトパックを作る方法は分からない。本格的なレトルトパックにするには、工場に持ち込んだりしないといけないのだろう。さすがにそこまでは出来ないので、東急ハンズでそれっぽい容器を購入した。ラムジップというアルミの容器である。
ラムジップには「遮光性・気密性に優れ長期保存が出来多分野に使用出来ます」という特徴がある。母カレーも長期保存出来る訳だ。
母にラムジップを渡して、1人前を入れてもらった。
これで中身は完成した。
後は外のパッケージである。松山容子さん風に母を撮影して、印刷していく。
本当は和服姿で撮影したかったのだが、母親は和服を持っていない。どこで売っているのか分からない派手なTシャツのまま撮影することにした。青がポップさを演出して、逆に良いかもしれない。
と、ここで突然ではあるが、以前公開させていただいた「母のメモ書きと28の注釈」のメモが更に増えていたので、その一部を抜粋させていただく。
母の写真を撮る息子、という状況があまりにも恥ずかしいので、誤摩化す作戦だ。
無事、母親の撮影も終了した。
これから事務所に戻ってパッケージ作りにかからないといけない。今度またゆっくり来るから、と母に告げて実家を出た。