街、突然の盛り上がり
今年の夏に開催されたパリ五輪で、僕が住む街からメダリストがふたりも現れた。
柔道の角田夏実選手とスポーツクライミングの安楽宙斗選手だ。
そもそも出場するだけですごいことである。
しかもふたりともメダル獲得の有力候補ということで、普段は郊外にあるのんびりとしたベッドタウン、といったおもむきの我が街もにわかに盛り上がった。
時差の関係で深夜1時すぎの終了になったはずだが、そんな時間までイオンにいてもいいなんて楽しそうじゃないか。
そして角田選手が女子48kg級で金メダル、混合団体で銀メダル。
安楽選手が男子ボルダー&リードで銀メダルを獲得した。
これはもうえらいこっちゃである。
我が街もすぐに大盛り上がりになった。
市役所の横断幕は出場を祝うバージョンが最初掲げられていたが、いつの間にかメダル獲得をお祝いするバージョンに変わっていた。
横断幕のバージョン変更がこんなに短いスパンであるんだ。
ここぞとばかりの発注チャンスだったらしい。
先月のワールドカップの結果を受けて横断幕が発注されていた。発注フィーバーだ。
というか安楽選手は強すぎるだろう。これでまだ高校生なんだからすごい。
そしてこのフィーバーが最高潮に達し、ついに祝賀パレードが開催されることになった。
ちょっとパレードの様子を見てくる
祝賀パレードなんてお目にかかる機会など、人生でめったにあるものではない。
絶対見に行くぞ、とにわかファン丸出しの我が家は決意を固めた。
ポスターによれば、駅前の通りでパレードをするとのことだ。
普段は全然人通りがない駅前だ。あんなところでパレードを……?
パレード当日の朝、街がどんな様子か気になったのでまずは早い時間に見に行ってみた。
さすがにパレードの2時間半も前だと、まだいつもの様子と変わらない。通学の高校生が歩いている、ふつうの土曜日の朝だ。
普段はタクシーが止まっているところにテントや台が!
日常の風景に非日常が混じり始めていてテンションが上がるぞ。
思わず盛り上がってしまった。我ながら単純だ。
さすがにまだパレードを見にきた人は見当たらなかった。一旦家に帰って時間が来たらまた来よう。
ということでパレードの10分前にまた来てみた。