特集 2021年8月23日

至宝の逸品「麻ピーペヤング」

最近、コンビニやスーパーの乾き物コーナーでよく売られている「麻ピー(マーピー)」という商品があります。

四川料理などに代表される「麻辣味」のピーナッツで、麻(マー)は花椒による痺れる辛さ、辣(ラー)はいわゆる唐辛子のピリピリとした辛さ、その2種類がかなり手加減なく味わえ、辛いもの好きにはたまらない一品。

ところでこの麻ピー、そのままおつまみにするのはもちろん、「お手軽ちょい足し調味料」としても優秀すぎるということに気がついてしまいました。

1978年東京生まれ。酒場ライター。著書に『酒場っ子』『つつまし酒』『天国酒場』など。ライター・スズキナオとのユニット「酒の穴」としても活動中。

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ある日ペヤングにふりかけてみたら…… 

これが麻ピー。見たことありますかね?
これが麻ピー。見たことありますかね?
中身はこんな感じ
中身はこんな感じ

ご覧のように、辛味で赤く染まったピーナッツに、たっぷりと唐辛子、花椒がまぶしてあります。 

特に花椒の量が本気
特に花椒の量が本気

これがもう、ピリッと辛くてピーナッツが香ばしくて、食べてるとじわじわと舌が痺れてきて、最高にお酒がすすんじゃうんですよ。

というわけで以前から、常に何袋か買って家にストックしてあった麻ピー。ある日、本当に何気なくなんですが、カップ焼きそばの「ペヤング」を食べている時、「なんか合いそうだな」と思って、ふりかけのようにかけてみたんです。

そうしたらこれが! 自分の偶然の思いつきを褒め称えまくりたくなる、想像をはるかに超えた美味しさ!

実際に作ってみますね
実際に作ってみますね

作りかた、といっても、ペヤングに麻ピーを好きなだけかければいいだけなんですが、強いてポイントといえば、麻ピーを適度に砕いておくこと。そのほうがふりかけ感が増し、麺との絡みが良くなります。

麻ピーの袋には、衝撃から守るために空気が含まれています。なので、いったん封を開け、空気を抜いてからまたしっかり封をして、それから砕くとやりやすいでしょう。なにか、家にある丈夫で固いもので容赦なく叩いてください。僕は、愛用している背中のマッサージグッズが割と鈍器のような重さなので、それを使ってます。

ガンッ! ガンッ!
ガンッ! ガンッ!

で、ペヤングを説明どおりに作り、今日はせっかくなので、ちゃんとお皿に盛ってみました。 

それだけでだいぶ料理感が増すな
それだけでだいぶ料理感が増すな

はい、ここに砕いておいた麻ピーをかけましょう。個人的には袋の1/3〜1/2くらいの量がおすすめ。

いいですか? かけますよ? せーの、

ザザーッ!
ザザーッ!

どうです? これだけで見るからに、一品料理としての威厳がアップしてません? 

食べるときはよ〜く混ぜて
食べるときはよ〜く混ぜて

これがもう、完全にペヤングとは別の、本格中華料理!

麻辣味とピーナッツの香ばしさ、食感が加わることにより、従来のソース味と感じられかたの違う、「こういう本場の中華料理があるんだな」っていう味わいになるんです。ついでに麺も、いわゆるインスタントのカップ麺とは思えない、お店で出てきそうな食感に感じる不思議。

ちなみにここに、お好みでラー油を足してもばっちりでしょう。

何度食べてもうなってしまう
何度食べてもうなってしまう

これはもはや、「麻ピー」でも「ペヤング」でもない、「麻ピーペヤング」という新しい料理だ。 

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さらに調味料としての可能性を探る

と、これで伝えたいことは伝えきってしまったのですが、ここからはさらなる興味というか、麻ピーの調味料としての可能性についてもうちょっと掘り下げてみたい気持ちになってきたので、思いつくままに試していってみましょう。

「麻ピー奴」
「麻ピー奴」

冷奴に、だし醤油、ラー油とともに麻ピーをかけてみました。

これ、ま〜じ〜で、最高! 豆腐のまろやかさとピーナッツの食感、風味が素晴らしくマッチしますね。中華屋の前菜のページに300円くらいで載ってたら、たぶん毎回頼む。

「麻ピー焼鳥」
「麻ピー焼鳥」

コンビニで買ってきた普通のタレ焼鳥にかけてみました。焼鳥を温めたら袋から出さず、そこに麻ピーを入れてシャカシャカと振り、まぶすようにすると全体にいきわたります。

なじみ深いタレ風味に刺激的な辛味が加わって、一気に別物な美味しさ! ラムの串焼きにスパイスをまぶして焼くのがスタンダードな、中国延辺料理の店で出てきそうなビジュアルもいいですよね。

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レトルトカレーに加えてみるのはどうか?

ごろごろの肉、絶妙なもったり感、そしてしっかりとしたスパイスの風味で、最近気に入ってるカレーです。

麻辣だっていわばスパイス。合わないはずがないんじゃないでしょうか。

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普通によそうとこう
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そこに麻ピーをザザーっとかけて
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よく混ぜる!

うおー! これまたいい! もともとが刺激的なカレーだから、麻辣味が浮かないし、それでいて刺激的な辛さが際立ちます。さらに砕いたピーナッツが、カレーにかなりの奥深さを加えていて、これ、「スパイス“麻辣”キーマカレー」として、完全に成立してますよ。

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当然「重慶酸辣粉」にも合う
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「麻ピー」あれこれ

ところで最近、この麻ピーの新商品で「麻ピー 和山椒ミックス味」というのが発売され、これがまた美味しすぎてハマりまくってます。さらに、「おかしのまちおか」へ行ったら、それ以外の別バージョンがあるのも発見!

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こんなにあるんだ、麻ピー

左から、

・麻ピー
・麻ピー 和山椒ミックス味
・麻ピー 味噌ダレ味
・麻ピー 黒胡椒炒め味

麻ピーファンとしてはたまらん光景ですね。せっかくなので最後に、純粋にこれらの味も簡単にレポートしておきたいと思います。

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これがうますぎるのよ

最近僕がハマりきっている「麻ピー 和山椒ミックス味」は、京都の日本料理屋「祇園 さゝ木」によるプロデュースだそう。

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中身

その名のとおり、唐辛子と花椒に「和山椒」もミックスしてあり、オーソドックスな麻ピーよりも上品で雅な味わいなんです。

それに加えてすごいのが、ピーナッツのみならず、揚げた海老の頭、そしてなんと「キャラメリゼしたくるみ」が入っているという贅沢さ!

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どういう組み合わせなんだ

道を極めたプロというのは本当にすごいですね。思いつきます? 麻辣味のピーナッツに、キャラメリゼしたくるみ。

これがもう、和山椒で上品になったとはいえきちんと刺激的なピーナッツと、たまに当たるサクサクとした海老の旨味、ほんのりと甘いくるみが、奇跡のバランスとしか言えない美味しさ!

この麻ピーきっかけで僕、絶対にいつか「祇園 さゝ木」に行こうと心に誓いましたもん。

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「麻ピー 味噌ダレ味」

こちらの味噌ダレ味は数量限定だそうで、もしかして手に入ったのは運が良かったのかも。

創業60年以上の神戸の老舗中華料理店「三宮一貫楼」の監修で、カリッとした食感の「特製味噌ダレ味豆腐」が、ほんのりと甘味も感じていいアクセントになってます。

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「麻ピー 黒胡椒炒め味」

これまた三宮一貫楼の監修で、普通のピーナッツに加え、黒胡椒で炒めたピーナッツが入るという凝った内容。黒胡椒ピーナッツの塩気が、もう若者ではない僕には若干血圧が気になってしまうほど強めに感じますが、つまりはいちばん酒がすすむとも言えるかもしれません。


いや〜今回、伝えたいことは「麻ピーペヤング」だけだったのですが、記事を書き始めたら麻ピー愛が止まらなくなってしまいました。

読者のみなさまにおかれましては、ここまで麻ピーをむさぼり食べなくてもいいと思いますが、麻ピーペヤング、それから和山椒ミックスあたりは特におすすめなので、気になったらぜひ試してみてください〜。

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