特集 2023年10月12日

クラゲ飼育員ってどんなお仕事?

海のなかをゆらゆら浮かぶクラゲ。幻想的で綺麗だなとうっとりするし、浜辺で打ち捨てられたゼリーのように絶命しているのを見ると切なさも感じる。幼少期に夏の海で刺された痛い思い出があるが、大人になった今はそんな毒性も魅力の1つで(あえて刺される度胸は無いが)、わたしの地元にある「九十九島水族館海きらら」のクラゲの展示コーナーとクラゲ研究室にはつい長居してしまう。癒しの空間なのだ。

そんな空間の立役者でもある飼育員さんは、謎だらけの生きもの・クラゲとどのように過ごしているのだろう。

気になったので担当飼育員さんに仕事の内容を聞いてみた。

1986年生まれ佐世保在住ライター。おもに地元の文化や歴史、老舗や人物などについての取材撮影執筆、紙媒体のお手伝いなど。演劇するのも観るのも好き。猫とトムヤンクンも好きです。

前の記事:佐世保の重要文化財、針尾無線塔がフェス会場みたいになって興奮した日

> 個人サイト ヤマモトチヒロのブログ

九十九島水族館海きららとクラゲシンフォニードーム

まずは、わたしが大好きな地元の水族館「九十九島水族館海きらら」について少し説明させてほしい。

佐世保湾の外側から北へ平戸までの約25㎞の海域に点在する「九十九島(くじゅうくしま)」は、複雑に入り組んだリアス海岸と大小208の島々からなっている。

24.jpg
恥ずかしながら、ライターになるまで島の数は99個だと思っていた。“九十九”は「数がたくさんある」という意味で使われる例え言葉なのだそうだ

ほぼ全域が「西海国立公園」に指定されており島の密度は日本一。なので海には島からの栄養がたっぷり流れ込み、実に多種多様な生きものたちが生息しているのである。

その数は魚で約1,000種、クラゲが100種類以上。なお今回の記事のテーマはクラゲだが、世界で約3,000種、日本でも約300種類近くいると言われているクラゲの3分の1がここで確認されているってすごくないですか。

長崎県佐世保市の九十九島は、日本有数のクラゲの生息地。これだけは覚えていてくださると幸いである。

話が少し逸れたが、そんな多様な生きものたちを守り展示しているのが「九十九島水族館海きらら」だ。

17.jpg
九十九島水族館海きらら

展示の目玉は九十九島の海を再現した珍しい屋外型の水槽「九十九島湾大水槽」だ。

19.jpg
気候や時間帯がそのまま反映されるところが面白い
18.jpg
結構上を見上げないといけないぐらい高い

クラゲだって見どころの1つ。「クラゲシンフォニードーム」では、まるでプラネタリウムのような雰囲気の中で、11種約100匹のクラゲたちをゆったりと眺めることができるのだ。

23.jpg
西日本最大級の規模とのこと。九十九島周辺で確認されている100種類を超えるクラゲを随時入れ替えながら展示。
21.jpg
ドームの天井にはクラゲの映像が躍っている

地下には「クラゲ研究室」があり、ここでは九十九島海域にいるクラゲの調査研究(繁殖など)が行われている。展示しているクラゲの多くはこの研究室で育ったものたちだ。

13.jpg
謎多きクラゲを育ててその謎を解き明かすお仕事。なんともミステリアスだ。

年間を通じてクラゲを展示できているのには、この研究室でのクラゲの繁殖技術にあるという。クラゲの元となる「ポリプ」は、刺激を受けることでクラゲとなるのだが、その種類によって水温や光の変化などきっかけとなる刺激はさまざま。

それらを種類ごとに調べ、元気なポリプから元気なクラゲが生まれるように世話をしているそうだ。

数えきれないほど通っているがわたしの知識はここまでだ。

お仕事の内容は、担当飼育員の後藤さんに聞いてみよう!

6.jpg
宜しくお願いします!
いったん広告です

クラゲ飼育員の1日

「九十九島水族館海きらら」のクラゲ担当飼育員さんの仕事は以下の通りだ。

●担当1

8:45~10:30 調餌・給餌

11:00~12:00 展示水槽の水換え

12:00~13:00 昼休憩

13:00~14:30 バックヤード水槽の水換え

14:30~16:30 フリー

16:30~18:15 調餌・給餌・閉館作業

●担当2

8:45~10:30 開館作業・展示水槽油膜掃除・測温

10:30~11:00 フリー

11:00~12:00 展示水槽の水換え

12:00~13:00 昼休憩 

13:00~14:30 バックヤード水槽の水換え

14:30~16:30 フリー

16:30~18:15 水槽掃除・閉館作業

※計4名のスタッフでシフト制

 

これに、満潮時の調査が加わる形となる(調査については後述します)。

フリーは日によって色々な作業が入るそうだが、飼育中のものや調査で採集したクラゲの研究もこれに含まれる。

さらに展示の企画出しなども行われるそうでなかなか大変そう!

⏩ 次ページ:気になる餌やり、どうやってやるの?

▽デイリーポータルZトップへ つぎへ>

banner.jpg

 

デイリーポータルZのTwitterをフォローすると、あなたのタイムラインに「役には立たないけどなんかいい情報」がとどきます!

→→→  ←←←

 

デイリーポータルZは、Amazonアソシエイト・プログラムに参加しています。

デイリーポータルZを

 

バックナンバー

バックナンバー

▲デイリーポータルZトップへ バックナンバーいちらんへ