つまようじの名店「日本橋さるや」
「想像してみれば」あるんだろうなとは思うが、まずもって 「想像した」ことがなかった。つまようじの高級品。
有名だと聞いたのが、日本橋のさるやだ。江戸時代から続く老舗で、職人さんが黒文字という木を削ってつまようじを作っているらしい。
今回買ったのはこちら。
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めちゃくちゃかっこいい桐の小箱に入っている……。
良品は手にしたものの、ひとりでいつものつまようじとの差異を感じきるのに自信がない。
ライター小堺丸子さん、映像ディレクターの西垣匡基さんの3人で確かめてみることにした。
つまようじのお高級品を用意しました
古賀:
あのさ、丸子さんは歯にもの、つまる?
小堺:
どゆこと?
古賀:
歯と歯の隙間にもの、つまる?
小堺:
うん……? ごまとか? だったら、うん、つまるよ。
古賀:
そういうときに使うものといえばなんでしょう。
小堺:
えっ。
古賀:
つまようじ……ですよね。
小堺:
おお、うん。それがどうしたの?
古賀:
今日は、つまようじのお高級品をご用意させていただいたのよ。
小堺:
ほー!
古賀:
いつも使ってるやつと、高級品のつまようじをくらべてみましょうよ。
宝永年間に創業し300年続く江戸時代からの老舗
古賀:
普段どういうの使ってる?
小堺:
うーん、割りばしについてたり、ちいさい袋に入ってお店に置いてあるようなやつかな。
古賀:
だよね、今日もってきたのはね、「日本橋さるや」っていう爪楊枝の名店のやつなんですのよ。
小堺:
日本橋のお店なんていったら由緒あるお店でしょう!
古賀:
そうそう。なんと「宝永年間に創業し300年続く江戸時代からの老舗」だそうで。黒文字っていうクスノキ科の木を使って手作業で作ってるんだって。すごすぎる。
小堺:
うへえ。
古賀:
熟練の職人さんが作るから、種類によっては1日の生産限界が400本だそうで。
小堺:
そんなすごいつまようじがあるんだ。
古賀:
で、今日ご用意したのはこれ。
小堺:
えっ、箱入りなの?
古賀:
千両箱をイメージしてるんですよ。このさるやさんの桐を使ったつまようじの箱はいろんなおしゃれなのがあるみたい。「ドラえもん」とのコラボなんてかわいいのもあって。
小堺:
そうなんだ!
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古賀:
これは「極小型」といういちばん小さいサイズで約50本入ってます。
小堺:
うわー! おしゃれだなー。千両箱だなんて縁起もいい。さすが江戸時代からのお店。
西垣:
つまようじ、個包装じゃないんですね!
古賀:
むしろそういうところに高級感感じますよね。
いつものやつの安さがまたすごい
古賀:
で、高級な方もすごいけど、調べて驚いたのがいつものつまようじなんだよ。カップにギューッと入ってるあれ。
小堺:
ぺらぺらした柔らかいプラスチックの筒にみたいなやつに入ってやつね。
古賀:
そうそう。あれ何本入ってると思う?
小堺:
うーん。たくさん入ってるよね、ぱんぱんに詰まってる。150本くらいかな。
古賀:
いやいやいやいや。
小堺:
えっ、もっと入ってるの?
古賀:
そうなんだよ。知って笑ったよ。
小堺:
300本???
古賀:
850本入ってるんだって!
小堺:
えええっ。
古賀:
あはははは! すごいよね。そりゃカップの直径によるから、500本とか450本てのもあったけど。
小堺:
ちょっと待って、100円ちょいくらいでしょ?
古賀:
そうだよ!
小堺:
うそだ!
古賀:
これ見てよ。
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小堺:
本当だ……。850人に配れるの???
古賀:
配れんのよ! つまようじでーすって、並んでもらったらさ、全校生徒に行きわたるのよ。
西垣:
なんで学校で配る前提なんですか(笑)。
高いけど安い?
古賀:
こちらのさるやさんのは先ほども申しましたが桐の箱に50本入り、さて、こちらおいくらでしょうか?
西垣:
恒例の値段当て。
古賀:
手元のiPadに正解のほう表示させてもらいますからね。
小堺:
iPadでね(笑)、でかい電卓でしょう、わかってるんですよ。
西垣:
ばれてる(笑)。
小堺:
ええと……これはまずね、箱代がね……。
古賀:
小堺さんはまず外装から値段をはじくからね。
小堺:
言ってもつまようじだもんね、そんなにお金はかけないでしょう。
古賀:
名店の逸品、職人さんが作っているんですよ……。それにいい箱ですよ。
西垣:
あおりますね。
小堺:
え~? うーん……。じゃあ、1000円……?
古賀:
お……! 丸子さんはいつもいい答えをいってくれますが、ちょっと今日は手加減してもらってもよかったですね……。お値段はこちら!770円でーす。
小堺:
うお~! でもまあ、つまようじ50本で770円かー!
西垣:
でも素材の良さとか職人技とか考えると安くないですか。
古賀:
そうなの! 高いけど安いですよね。
小堺:
ありがたいなあ。
古賀:
ちなみに、50本で770円ってことだから、1本15.4円するのよ。桐の箱入りだから単純には言えないけどね。
小堺:
えー!
古賀:
実は1本44円する「極細楊枝 上角楊枝シリーズ」というすごいのもあって……でも売り切れてて買えなかったの。
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小堺:
いやいや、もったいないもったいない!
西垣:
つまようじ1本15円ならうまい棒より高いですよね。
古賀:
そうだ! うまい棒より高い。
小堺:
ほんとだ! これうまい棒より高いの!?!?
古賀:
ふつう私たちが使ってるやつはさ、だってたとえば100円ショップで買ったとしたら、110円で850本入ってるんだもんね、0.1円だよ。
小堺:
そっちはそっちでまたすごすぎるよ……。
ちょっとくわえてみよう
古賀:
と、値段がわかったところでどうしていいかわからないんだけど、ちょっと小堺さん、くわえてみて。
小堺:
くわえ比べるしかないよね。
古賀:
いつものやつまずくわえてみようか。
小堺:
お上品にね、口をかくしながら……歯茎ざわりをたしかめよう。
古賀:
そうだね、いつものやつの歯茎ざわりをおぼえよう。
小堺:
わかるかなあ、覚えた?
古賀:
……!!! ごめん、なんか取れた。
小堺:
はあ(笑)?
古賀:
歯にはさまっていたものが……(笑)。
西垣:
淑女らしからぬ(笑)!
古賀:
ほんとうにすみません(笑)!!!!
西垣:
でも歯のつまりを取る用途にちゃんと使ったということですからね。 本気で企画に向き合っているということですから!
小堺:
もうちょっと笑っちゃって涙出てくる!
古賀:
安いしちゃんと働くつまようじってことでね!
見た目からかっこいい高級つまようじ
古賀:
気を取り直して高級品もつかってみようね。ジャーン!
西垣:
断面が四角いんですね
古賀:
芋けんぴみたいな形
小堺:
かっこいいね!
古賀:
よし、くわえてみるぞ。さあさあ!
小堺:
さあさあさあ!
古賀:
あ、硬い
小堺:
硬い、頑丈だね!
古賀:
頑丈!
小堺:
これ再利用できるよね?
古賀:
うん。洗ったらずっと使えるよね!
小堺:
そうだよね、捨てるのはもったいないよ。
古賀:
だってこれ鉄みたいじゃない?
小堺:
うん。するどいし、しっかりしてるよね。
古賀:
歯ざわりもすごく気持ちいい。
小堺:
なるほどなあ、名品だ。
古賀:
わかるね、ちゃんと良さが分かる。
小堺:
あのさ……これ歯を掃除する用途としてももちろんあるけど、和菓子とかにそえた方がよかったんじゃ……?
古賀:
……! 確かにつまようじって歯を掃除するためだけのものじゃないね……。これ黒文字って木でできてるって話だったけど、茶道で和菓子に沿えるピックみたいなやつ、そういえば「黒文字」って呼ぶわ。
小堺:
だよね、今思えば。
古賀:
羊羹とか、果物とかね。
小堺:
そうだよ、それだよ!
古賀:
やだ~~!
小堺:
それだよー!
古賀:
じゃあ今日はちょっとしたお羊羹でもご用意すればよかったね!
西垣:
もっとお上品に比べる手立てはありましたね……。
小堺:
「なんか取れた!」じゃないよもう~。
動画でもよかったらどうぞ!
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