ピグマリオン効果でトイレをきれいに
「トイレをきれいにお使いいただきありがとうございます」という貼り紙をお店で良く見る。
きれいに使う前提の貼り紙を見ることで、その期待に応えようとする心理を利用したポスターだ。「ピグマリオン効果」というらしい。
いろんなお店でこの貼り紙を見るということは、それだけ効果が高いということ。家もきれいに保ちたいのでトイレに貼ることにした。
これぐらいシンプルな方がリアリティがあって良い。さっそく貼ってみよう!
なんでだろう。自分で作って貼った貼り紙なのに、大家さんの気配を感じる。
引っ越したばかりなのでトイレはそもそもきれいだ。でも、丁寧な感謝の言葉の裏に「借家なんだからきれいに使えよな」という圧がある。笑顔で怒ってくるタイプだ。
とりあえず床だけ掃除しておいた。自分の家のトイレなのに、急に落ち着かない。大家さんに監視されている。
英語が気になる
トイレの中でこの貼り紙以外見るものがない。毎日見ていたら、英語なのが気になってきた。
私に伝えるなら日本語で充分なはずだ。わざわざ英語で書いている意図はなんだろう。私の家で、私以外の人がトイレを使っているのか?英語圏の人が……?
きれいに使おうという意識よりも、他人の気配が日に日に強まっていく。この家には、私以外にも誰かがいる……。
部屋をきれいに
トイレという閉ざされたプライベート空間だからこその不安なのかもしれない。開けた空間ではどうだろうか。
リビングにも貼り紙を貼ってみた。
片付けていない部屋に貼るとすごい嫌味に感じる。敬語なのがまた1.5倍くらい嫌味を引き立てている。怖い京都の人って感じ……。
引っ越し後、初めてまっさらな床を見ることができた。散らかった部屋に貼ると、本当に片付けの効果がある!!貼り紙の期待に答えたいピグマリオン効果というよりは、嫌味の反発の気持ちで片付けられた。京都人効果である。
インテリアが気になる
きれいな部屋で快適に過ごしていたものの、数日するとまた貼り紙自体が気になってきた。
さし絵にテレビ、観葉植物、ソファ、ローテーブルが描かれている。我が家にはないものばかり。ローテーブルなんて腰が痛くなるだけと思いつつも、お金持ちの家にあるイメージだ。夜に映画を観ながらブランデー飲んでそうな部屋。
いや、でも誰に?
私の家にソファがあろうがなかろうが誰も興味ないはずだ。 でもこの貼り紙はインテリアを誇示しつつ、京都人風に感謝を述べている。
家が私に言っているのだろうか。築60年の家そのものが……?
何人の人がこの床を踏んだのだろう。今まで住んできた住人たちは一体どんな人で、どんなインテリアだったのだろうか。
60年の歴史の中で、たった2ヶ月しか住んでない私。今回の家は住みやすいかな〜とジャッジするような気持ちで過ごしていたけど、試されているのは私の方……!?


