ナフサをよく聞く
以前と比べればナフサの存在を多くの人が知っていると思う。その理由はやはり「ナフサ不足」などのニュースのためだ。中東情勢の急変でナフサが不足している、とニュースは報じている。
どうも、この記事を書いている地主です!
私はニュースを見るまでナフサの存在を知らなかった。初めてナフサと聞いた時は、タンスに入れる防虫剤と思ったほどだ。調べてみると私が思い浮かべた防虫剤は「ナフタレン」で、さらに調べると、ナフタレンはナフサから作られるものだった。つまり防虫剤も不足するということだろう。
このようなパッケージも!
ナフサ不足の影響は我々の生活にも影響が出ている。その一つが上記の画像だ。カルビーが一部の商品でカラー印刷をやめて、白黒パッケージの採用を始めた。インクにナフサが使われているためだ。
石油原料節約パッケージ
ナフサはすごい。防虫剤にもなって、インクにもなるのだ。調べると他にもナフサはいろいろなものになっている。そこでナフサってなんなのだろう、と疑問が生じた。私はナフサについて何も知らない。専門家に教えてもらうことにした。
東京農業大学 生命科学部 分子生命化学科 生命高分子化学研究室の、
石井大輔教授を訪ねました!
ナフサは石油
石井先生は東京農業大学で、高分子、ざっくり説明すると、プラスチックになるようなものの、作り方や作ったものの性質について研究している方だ。バイオプラスチックの機能材料化などが研究のテーマだそうだ。
先生の研究室でお話を聞きました!(研究室って感じでカッコいい)
原油から作られるプラスチックの原料と思ってください。まず原油を沸点の違いで分けて、そのうち35〜180℃のところを、ガソリンとして使うものと、プラスチックの原料として使うものに分けています。燃料の方を「ガソリン」って言って、プラスチックの原料は「ナフサ」と言っているんです
ガソリンの場合は、燃焼を均一にしなきゃいけない。いろんなものが混じっているとややこしいので、ある程度中身も揃えているんだと思うんです。けど、そのほかの残った部分、いろんなものが混じっているのがナフサです
上澄みというとまた違う。ハイオクってあるじゃないですか。あれは、オクタンっていう成分の割合がハイなやつ、オクタン価が高いやつって意味なんです。ガソリンも、もちろんいろんな成分が混じっているんですけど、その中でも特にそのオクタンの割合高いのがハイオクですよと。
ナフサはそれ以外の、いろんな成分の混ざってるやつです。ただ、それはそのままではプラスチックにできないので、一度クラッキングと言って、炭素の原子がいっぱい繋がっているのをぶつぶつ切るんです
沸点の違いでいろいろなものができます!
そうです、いっぱい、いろんなのが混じっている。分子をぶつぶつ切って、エチレンにするんです。それを、圧力釜に入れて、反応させるとポリエチレンになる。もちろんエチレンだけじゃなくて、プロピレンとかスチレンとかいろんなのがあってですね。プロピレンだったら例えば、ポリプロピレン(PP)、お弁当の容器とかになりますし、スチレンだったらポリスチレンと言って、発泡スチロールとかになる。ペットボトルの素材であるPETのテレフタル酸っていうのもそういうのから作ります
全てはナフサから生まれたものなんですね、不足すると確かに困りますね、、、
分子っていうのはこういうのです!
この後、ナフサから作られたヘキサンなどを嗅がせてもらったのだけれど、匂いはあった。油性ペンのような匂いや、除光液みたいな。ナフサもやはりそのような匂いがするのだろう。考えてみれば同じ温度帯でできるガソリンにも匂いがあるわけで、ナフサに匂いがあるのは当たり前と言えば、当たり前だ。
ここにあるもののほとんどがナフサ由来
ナフサって作れないんですか?
今のナフサ不足は中東情勢だとは思うんですけど、原油が取れるのは別に中東だけではないですよね? 別の地域の原油でナフサを作ることはできなんですか?
石油は問題になっている中東のやつの他にも、南米の、アラスカの、カスピ海の、中央アジアのとかって、あるんですけど、産油地によって石油の中身が違うんです。だから、すぐ代わりにはできないですよ
反応装置とかも全部、原料に合わせて作ってあるんですよ。例えば、配管の太さとか、長さとか、釜の大きさとか。だから、一品ものなんですね。どこの産油地でどんな成分を含む原油が取れて、そこからどういうものを作りたいかによって、プラントメーカーが情報をもとに、設計図面を引いて作っているんです
中東がダメだからって、カスピ海から持ってきても成立しないんですね
できないことはないですけど、条件を全部一から調べ直さなくちゃいけない。温度を何度で何分温めて、送り込む速度がどれだけでとか。いっぱいパラメーターがあるので、すぐに代わりにならない。使えなくはないですけど、そういうのをやるのにまたお金がかかるんですね。コストがかかるってそういうことです。
もちろん、運んでくるにもアフリカの南端まで遠回りするとか、船のチャーターをするとかっていうことにもなるのでまた別のコストが発生します。
こういうイメージです!
今のナフサ不足って日本だけじゃなくて世界的なものですよね?
化成品全般です。塗料とか接着剤とかも含めて。化繊もそうです
私が着ているTシャツ、化繊です。ナフサでできているのか。我々の生活はどうなるんですかね?
少なくとも、使い捨てにしているプラは、あんまり使い捨てにはしにくくなるでしょうね。ただそもそもプラスチックってリサイクルする前提じゃないんですよ。ゴミに混ぜて燃やした方が、熱源になるので、そっちの方がいいんだ、っていう見方もあるぐらいなので
例えば、ポテチの袋って、アルミニウムとか別のものも一緒に入っている(蒸着)ので、あれ自体のリサイクルって、多分無理なんですよ。例えば、お弁当のタッパーとか、そういう一種類のプラスチックの成分だけでできているものだったら、砕いて綺麗に洗って、密度で分けて、リサイクルはできると思うんですけど
何でもかんでもリサイクルできるわけではないんですね
私のTシャツはナフサ
私が子供の時から原油ってなくなるよって話があったんですけど、なくなるんですか?
湯水のようにじゃんじゃん使っていたら、やがてなくなるよって話です。今と比べて昔は車も燃費が悪いし、飛行機だってエンジンたくさんぶら下げていて、エネルギーの効率が悪かったんですね。それが車は燃費がリッター25キロとかになったり、飛行機もエンジン4つだったやつが2つになったり
エネルギー効率がよくなっているから、まだ原油がなくなっていないんですね
電気も火力発電中心だったのが、今は再生可能エネルギーもある。今、火力発電は需要が極端に増えた時にピンチヒッター的に動かす。他の発電って人為的に発電量を調整するのが難しいんですよね。だって、太陽光がどれだけ当たるのか、風がどれくらい吹くかとかって人にはどうしようもない。そういう時は火力で調整するっていうことになるらしいです。それも最近だと石油を燃やすのが勿体無いので、石炭。石炭は石油よりもまだたくさんあるって言われているので、石炭を粉にしたやつを燃やすみたいです
先生にいろいろ見せていただきました!
昔みたいに瓶のデポジットとかないですかね? ガラス瓶はナフサ使ってないですよね?
実は使ってます。ビール会社は破損を減らすために、表面にプラスチックのコーティングをかけているんです。割れたガラスをまた加工する方が、熱のコストがすごくかかるんで。ガラスの方が融点高いですから。
結局、瓶も、石油を使うことになるんですね。プラスチックが作れなくなったら、またガラスに戻らないかなと思ったんですけどね
確かに、結局、燃料に石油を使うことになりますね、、、
ペットボトル会社ってすごい企業努力で、ペラッペラでしょ。手元から落ちるくらいなら、跳ね返るだけで割れないですよね、耐衝撃性が高い。昔のペットボトルってもっと固かった記憶があるんですよね。今、ミネラルウォーターのボトルとかぐしゃっと潰せたりしますよね。そういうのは輸送時の破損リスクを減らすためとか、容器としての性能のためにできるだけ軽くしています。
「いろはす」とか、ぐしゃっと潰せるペットボトルですよね、すごい!
⏩ ナフサに代わるものはないの?