前回のおさらい
2018年の記事ではカラオケの背景映像にはこのような制限と心がけで製作されていることが分かった。
ハードウェアの制限
- 映像は本体ハードディスクに入っている
- 本体はスナックなどではそうそう入れ替えられないので10年使える映像にする
映像で気をつけていること
- 映像は目立ってはいけない
- 時代を感じさせない(携帯・お化粧・電化製品)
- 場所が特定できない
- 文字を出さない(看板に文字がある程度)
- 歌詞テロップが流れる方向にものを動かさない
まずはこれらが変わっているのかどうかを聞いていこう。教えてくれるのは前回同様、カラオケJOYSOUNDを運営する株式会社エクシングの金子さんと阿部さん。インタビュー場所も同じスタジオだ。
10年入れっぱなしじゃなくなった
林:
映像は本体のハードディスクに入っていて、スナックなどでは10年使うからそのあいだ映像がそのままというお話でしたが、そこは変わってないですか?
金子:
最近は変えまして、毎月映像を配信しています。どうしてもやっぱり10年経つと昔の映像っぽくなってしまうので。
林:
すごく変わりましたね!
金子:
ドラスティックに変えました
阿部:
一括搭載する映像もありつつ、追加映像もあります
金子:
映像は大きいので、光回線専用で限定的に送っています。
ただ、映像を消すことはしていないので、本体に格納されている映像・配信されている映像は残ります。
だからやっぱりお化粧が古くならないようにという配慮はいる。
林:
毎月、どれほどの曲が追加されるんですか?
金子:
今のところは大体毎月1000曲以上ですね。
林:
楽曲が毎月1000本で、映像も毎月数十本ある。御社の作業としてはけっこう際限ないですね。
金子:
私たちもそれに気がつきました……
JOYSOUNDをはじめカラオケメーカーでは新規に追加する楽曲は人間が耳で楽譜を起こしてデータを作っている。月に1000曲、耳コピしていることになる。
再び背景映像の話に戻ります。
役者さんもいろいろになってる
林:
人が出てくるのはポイントとなるところだけという基本的なコンセプトは変わってないですか
金子:
それはそれほど変わっていません。5年以上前の映像では出る回数が多い役者さんがいましたが、今はもうすこし多様性を持ってご出演いただいてます。
阿部:
いつものヒゲのおじさんがいる!みたいなことはなくなった。
林:
いつものヒゲのおじさん、気になります
スマホはありになった
林:
前回教えていただいたNGリストから変わったことってありますか。
NGリスト
・時代を感じさせる携帯、化粧、電化製品を登場させない。
・場所を特定できない
・文字を出さない
金子:
携帯電話ですね。スマホが出てきます。
林:
スマホが解禁された!
金子:
最近と言っていいのかどうか分からないんですけれども。
金子:
こんな感じですね。いわゆるショートメッセージ。今、待ち合わせするのに携帯もスマホがないと不自然なんですね。
ですから、やっぱり使い始めています。
林:
思い出の写真を見るのもスマホのカメラロールですもんね。
金子:
携帯はもういわば解禁と言いますか、使わないとやっぱ成立しない。
カメラでボケさせることができるようになった
林:
看板などの文字を避けるという点はどうでしょう
金子:
いまはカメラでぼけさせられるんですよ。ぼかしというか、フォーカスを手前だけにしてます。街中のシーンもありますが、気にならないぐらいのところまでぼかせている。
林:
デジタル一眼レフの映像だとやりやすいですよね
金子:
そういうのができるようになってきているので、そんなに昔ほどこだわらなくてもよいというのがひとつありますね。
林:
場所が特定できないのは昔も今も変わらないですか?
金子:
特定できないのはそのままですけれども、いまの東京の街を撮ると、どこかすぐわかってしまうっていうのが昨今の状況ですね。
ちょっと本数は言えないんですけど、毎年追加するのは10~20じゃないので、そうするとレギュレーションからはみ出すものも出てきちゃいますね。


