街を脳内メーカーみたいにする
2007年にインターネットで大流行りした脳内メーカー。名前を入力するとその人の脳内が漢字で表されるというジョークサイトだ。
18年も前のサイトを急に思い出したのは、街を歩いていて「もしも全部の看板が漢字1文字だったら、街全体が脳内メーカーになるんじゃないか」と、ふと思ったからだ。
やってみよう。
ここに出てくる看板たちを漢字1文字に変換するとこうなる。
ちょっとしたディストピアという感じがして面白い。
この取り組みに可能性を感じる。どんどんやっていこう。そのためには、最初にルールを決めておいた方がよさそうだ。
① 店名ではなく、「事業内容」を漢字にする
(例:松屋の看板は「松」ではなく牛丼の「丼」)
② 事業でない看板の場合は「訴求内容」を漢字にする
(例:駐車禁止の看板は「禁」)
③ 当てはめる漢字で悩み過ぎない。迷ったら直感で決める
(例:ハンバーガーを表す漢字はないので、直感で「麦」)
ルールができたのでやりやすくなった。このアーケード街で見つけた看板密集地帯の看板を漢字1文字に置き換えてみる。
「へー、退職代行モームリって、看板出してるんだ。漢字は『退』か『辞』どっちがいいかな。 直感で『退』でいいや……」などとぼんやり考えながら、看板1つ1つを画像編集ソフトで漢字に置き換えていく。画像1枚につき編集に30分ほどかかる。「新時代の写経」という感じがした。
渋谷を漢字で表す
どうせなら看板がいっぱいある街がいいと思い、渋谷に来た。ヒカリエの9階からセンター街方面を見下ろして撮影した。
上の画像と下の画像、どっちがワクワクするかと言われたら間違いなく上の画像だ。渋谷の大きい広告は数週間で何百万もの費用が掛かると聞いたことがある。だからこそ、その道のスペシャリストが一生懸命考えて作った広告のはずだ。
それが、下の画像では乱暴にも漢字1文字になっている。皮肉にもそのほうが脳に直接響く感じがする。漢字1文字ではどの企業の広告なのか伝わらないが、看板の色も加味すれば、それも伝わるかもしれない。
コーポレートカラーやブランドカラーって大事だなぁ。
話を渋谷に戻そう。渋谷のビックカメラ渋谷東口店の近くには「愛ビジョン」というモニターがある。
左のビルが面白い。上から「家家借借家借瞑家」だ。男女男男女男女みたいに。奇しくも脳内メーカーと同じころに流行った歌だ。この並びの中で異質な「瞑」が気になる。
夜にセンター街を訪れ、漢字にした。
こうして見ると、渋谷のセンター街は飲み屋一辺倒ではなくて結構バラエティに富んでいる。マッサージや脱毛サロンやモニタールームもある。漢字1文字にしたことで、渋谷センター街は我々に多くの選択肢を与えてくれていることがわかった。

