オブセ牛乳
長野県の菅平というところにしばらく滞在していた。
はじめて行く場所だったのでうれしくて、地元のスーパーに買い物に行くだけで興奮していたのだけれど、中でも他県に住む者にとって見たことない商品がいくつかあったので買えるだけ買ってきた。
まずはオブセ牛乳関連の商品である。これはスーパーのみならず、お土産屋さんとか高速の休憩所とか、いたるところで売られていた。きっと長野では知らない人がいない商品なのだろう。ラインナップもかなり幅広い。
どれもパッケージのデザインはほぼ同じなのだけれど、中身はドーナツからかんてんまで多種多様だった。
お土産屋さんでもレジ横のスペースをオブセ牛乳が占領していたくらいだから、その威力は計り知れない。
チョコチップスコーン、焼きドーナッツ、みるくもちあたりを次々買って食べてみたのだけれど、どれも優しい甘さで良い香り、はじめて食べたのに実家を思い出してしまいそうな懐かしい味だった。
なかでもみるくもちの優しさは桁違いだった。
一緒に食べた同僚は「ウイスキーに合いそう」と言っていたが(そして確かに合いそうなのだが)、ここでは純粋に優しい甘さに浸りたいと思う。
想像してほしい、夏休み、遊びに行って汗だくで帰ってきて扇風機の前で食べる練乳カキ氷みたいな、懐かしくも嬉しくもある濃い味。これはもう美味しさというより思い出である。長野で見つけたらぜったい買った方がいい商品といえる。
かんば
もう一つ、長野のスーパーで気になったのがこちら。「かんば」である。
「かんば」と呼ばれるものはスーパーの野菜売り場の先頭、つまりお店に入って一番最初の棚にどっさり並べられていた。
野菜売り場に売られていたのでかつおぶしみたいに煮だして使うものかなと思っていたのだけれど、調べてみると「かんば」は長野でだけ使われるお盆用品なのだとか。
白樺の木の皮でできていて、お盆シーズンに迎え火や送り火として玄関先で燃やすものらしい。
かんばを燃やしてみる
実家も先祖も長野には一切関係ないのだけれど買ってきた。べつに買ってきたからってバチが当たったりしないですよね?
お盆の時期に好奇心だけでこういったものを燃やすのは、いろいろ帰ってこられてしまいそうだなと思ったので少し時期をずらして燃やしてみることにした。
「かんば」はしっかり乾燥してあり、火をつけるとサラサラっと着火して、黒い煙を上げながら燃え進んでいく。
燃やす前も燃やした後も、木のにおいはほとんどない。白樺の木の皮を乾燥させた「かんば」はバーベキューなんかの着火剤としても有能なんではないだろうか。
このくらい気持ちよく燃えてくれたらご先祖様も気分よく帰って来てくれると思うが、今回僕が燃やした「かんば」は好奇心オンリーなのですみませんがノーカウントでお願いします。
知らないものは興奮する
以上、長野で見つけたちょっと見たことないものたちでした。
長野ではもちろんどれも当たり前なんだと思うのだけれど、他県から来るとスーパーに行くだけで興奮できて得した気分になれる。日本ってすこし離れるだけで文化がまったく違ったりして、ほんと面白いですよね。


