1%の果汁がわかるか
ファンタのボトルを見てほしい。
正直、この果汁にあまり意味はないのではと疑っている。水に果汁を入れたならまだしも、もともと糖や香料でフルーツ味にした飲料である。そこに1%ぽっち加わったところで、「木を隠すなら森の中」の最たるものではないだろうか。果汁を隠すならファンタの中。すっかり紛れて、なくなってしまうだろう。
とはいえ根拠のない憶測である。実際に、編集部メンバーで飲み比べ実験をしてみることにした。
参加者は橋田、藤原、石川(筆者)。
炭酸水 vs 炭酸水+1%グレープ
まずは小手調べとして、「炭酸水に1%の果汁が入っていたらわかるか」を調べることにした。糖や香料の影響がないので、果汁にとっては存在感を発揮しやすいイージーモードなはずだ。
ほほう。この時点で色が違う。1%、思ったより濃いぞ。
色の主張でひとまずガッツは見せてもらった。思ったより芯のある奴である。では香りはどうだろうか。
びっくりした。明らかにブドウの香りがした。外に出て雨の匂いがしたときに「通り雨が降ったんだ…」と思う、あの時と同じくらいの感じで、わかる。妙に詩的なたとえで恐縮ですが。
そして味は。
ブドウがいた。くっきりとした味ではないが、強く主張してくるブドウがいる。待ち合わせのときに遠くの方から大きく手を振りながらやってきてくれる友人のようである。「あれ田辺かな、それとも似てる別人かな?」と思わなくていいので助かる。
残りの2人には目をつぶった状態でどちらか当ててもらうことにした。
いきなりハードル上げられて戸惑う橋田さんと藤原さんに、まずは無味の炭酸水を渡す。
この段階では判断しかねている二人。次に果汁入りを渡す。
飲むまでもなく、まず嗅いだ瞬間に笑いだすほどのインパクトがあったようだ。全身で躍動しながらめちゃくちゃ手を振っているのだ。田辺が。
「なに飲み物に1%だけ果汁入れて売ってんだよ」という気持ちで始めた検証だったが、いつのまにか自分たちが1%果汁を売ろうとしていた。
いま録音を聞き返していて、一瞬で手のひらを反している自分たちにびっくりした。
次ページでは、より市販の飲料に近い条件で実験してみたいと思う。糖や香料の登場である。