立派な神社でしゃあしゃあと聞く
3時起きで成田から乗った飛行機は機材トラブルで成田に引き返し、3時間遅れでようやく熊本空港に着いた。
窪田さんはここで神職をしている。いわゆる神主である。
神主というのは俗称で、働いている人は自らを神職と呼ぶそうなので僕も本稿では知ったかぶって神職と書くことにする。
今回の訪問には目的がある。ライターと編集という関係性を利用し、ちゃんとした取材だと聞けないようなことを教えてもらうのだ。
と思ったがいきなりの高千穂神社の立派さに気圧されて「この鳥居は、鉄?」などとぼんやりしたことを聞いてしまった。(銅板だそうです)
古事記に登場する「高千穂」が、高千穂峰(鹿児島と宮崎のあいだ)と県北の高千穂のどちらかという論争がある。
いろんな意見があるので深入りしないが、明治時代、権力をもった薩摩藩が古事記に登場する高千穂は高千穂峰であると決めてしまい、この高千穂神社を三田井神社と名前を変えてしまったのだ。
そのことを「妄説を信ずる薩摩官僚」と表現しているのが熱い、とのこと。
僕から聞かなくても窪田さんからぐいぐい来る。
手水の使い方
次に手水。いつもなんとなくやっているが、どうするものなのだろうか。
手順としては最初に左手を洗い、次に右手、左手に水をためて口をすすいで再度左手を洗い、最後に柄を流す。ひしゃくから口をつけてぐいっというものではないらしい。まあそりゃそうだよね。
使い終わったら縦にすると、ひしゃくに残っていた水が柄を伝って流れる。これで柄をきれいにする。ちょっと分かってる感じが出る動きなのでこんどやろう。
ちょっと水が出すぎてますね、と蛇口で調節していた。
狛犬の形は奉納してくれた人の好み
参道には狛犬と灯ろうが並んでいる。
狛犬は奉納してくれた人と作った石工さんの好みが大きく、神社としてのこだわりがあるところではないらしい。へー。
灯ろうは街灯のようなものなので信仰の対象ではない。文化三年と書かれたものがあったが、「そんな古いんだ~」と言っていた。
狛犬はあまりべたべた触るものではないけど、「灯ろうならは別にいいです。」とのこと。触るなら灯ろうにしよう。
プロっぽい拝礼の方法を聞く
さて、諸説ある拝礼の仕方である。でもきっと神職に聞いたら、大事なのは心なので自由でいいです、って言うんじゃないかな。
よく言われる二礼二拍手一礼の礼は90度だそうだ。その前に15度のお辞儀があると良いとのこと。神職のお辞儀には15度、45度、90度の3種類があり、この礼は90度。
しかし、これだと途中で「石油王になれますように」とお願いするタイミングがない。
窪田さんにそう言うと、拝礼はそういう現世利益をお願いする行為ではなく神様に敬意を表するためのものだと思っています…とのこと(もちろん諸説あるよ!)
もしそういう現世利益のお願いをしたいのであれば、拝礼を済ませたあと、樹の陰でこっそりとお祈りするのはどうかとのこと。
「もしこうしている人がいたら神職として心を打たれますね」と窪田さん。
石油王になりたい人は参考にしてほしい。