クリームボックスふたたび
というわけで昨日はラーメンを食べて帰ったらすぐ寝た。山に登って風呂に入ってラーメン食べて寝るなんて満点だと思う。
一つやり残したことがあるとしたら、それはクリームボックスだろう。せっかくなので早起きしてクリームボックスの元祖と言われるお店にやってきた。




というわけで郡山でのクリームボックス人気に恐れをなしながらも、今日こそは売り切れる前に買うことができた。すぐに食べた方が美味しいはずなので裏の公園のベンチに座る。


クリームボックスはふわふわの食パンにねっとりとしたクリームが分厚く塗られている。このクリームが不思議なことにしっかりとミルクの味がして、そしてちゃんと甘いのにじゃんじゃん食べられるのだ。

クリームボックスは地方パンの中でもかなり完成度が高いのではないかと思う。全国で売られていないのが不思議なくらい。
公園で子どもたちがボールをけり合ってるのをぼんやり眺めながらクリームボックスを食べていると、福島に暮らす平行世界に住んでいる自分になったような気分になる。まだ2日しかいないのに、もうすっかり地元の人である。このままでもいいかな、でも帰らなきゃな。
入水鍾乳洞
ところで昨日、磐梯山からおりてセブンイレブンでパンを食べた後、ライターの江ノ島くんからメッセージをもらっていたのだ。彼は親戚が福島にいるらしく、こどもの頃によく福島に遊びに来ていたらしい。
そんな彼のおすすめが「入水鍾乳洞」だった。

勧められたら行くのがこの企画である。やってきました入水鍾乳洞。

江ノ島くんは冒険っぽいと言っていたが、まあ鍾乳洞ってどこでも冒険っぽさがあるものだろう。ちょっと前に東京で日原鍾乳洞に入ったばかりなので、正直なところそれほど期待していたわけではなかった。
でもこの看板を見て背筋が伸びた。

どのくらい本格的なのか。受付に座っていたおとうさんに聞いてみたところ
「その服装じゃあ無理ですよ」と。なんですと??

洞内はA、B、Cと分かれていて、Aまでは濡れずに行けるけど、面白いのはBから先らしい。そんなこと言われたらBから先まで行きたいけど、濡れるのはちょっと困る。


Bコースは途中からすごく狭くなって水がじゃばじゃば流れているのだとか。「水は冷たいですけど、5分くらい我慢してください」と言われたので、そのくらいで出られるのなら我慢するか、と思って聞いていると
「5分もすると冷たくて足の感覚がなくなるので、そうなればその先何も感じないから大丈夫」と。
それは大丈夫と言っていいのだろうか。えらくポジティブなもののとらえ方である。でも江ノ島くんがせっかくおすすめしてくれたのだ、ここまで来て引き下がるわけにもいかないだろう。

水に入ると言うのでブーツみたいなしっかりしたものを予想していたのだけれど、足に砂がはいるから便所サンダルがベストなのだとか。それからライトも借りた。つまり僕みたいに手ぶらで突然やって来ても、借りられるから大丈夫ということです。
いざ入洞
掃除道具入れくらいの狭さの入り口から中に入ると、その先は暗く長く細い洞窟が続いていた。ちょっと待ってこれすごい不安。まわりには僕しかいないのも不安。「停電したらスタッフが迎えに来ます」という看板も不安。

堂内は一年中15℃くらいを保っているらしく、油断するとちょっと寒い。

大量の水が高速で流れる音で話声とか足音なんかが完全に消される。静かなのも怖いけどこのくらいうるさいのもまた怖い。


受付で言われたとおり、Aコースの終わりまでは濡れずに来られたが、不安なのはこの先のBコースだ。道が一気に狭くなる。

Bコースは足を踏み入れた瞬間、水に浸かった。

そして言われた通り、この水がとにかく冷たい(5℃らしいです)。冷たいというか、痛い。たまに足を水から出して手でもみながら進む。





確かに水に浸かって5分くらいで足の感覚はなくなった。しかし恐怖はなくならない。
立って進めないので四つん這いになって行く。

あまり失礼なことは書きたくないんだけど、この狭い通路を江ノ島くんが通ったって本当なのか。うそだろう。

30分くらい這うようにして進むとBコースの終点にたどり着いた。最後の5分、いや3分くらいは最高にテンションがあがって楽しかった。それまでの恐怖がマヒして頭にへんな物質が分泌されたんだと思う。
他に誰もいないので本当に来たことを証明するため終点の写真を撮ってきた。受付でおとうさんに見せて自慢するんだ。

帰りも同じ道を這って進むのだけれど、行きよりずっと楽しかった。帰りは最初から恐怖心も足の感覚も失っているからだろう。

外ではおとうさんが待ってくれていた。
「最後まで行けた?」
「行けました」
「どうでした?」
「…最高でした」
この入水鍾乳洞はYouTubeでも人気らしく、冒険好きユーチューバーなんかが中継しながら入った動画がたくさんあがっているらしい。よくあの狭さをカメラ持って入ったなと思う。
