ジャックフルーツは種も食べられるらしい
ジャックフルーツの果肉がおいしいことはよくわかったが、その中に入っていた立派な種がとても気になる。
このアーモンドよりも大きな種は食べられないものかと検索してみたら、どうやら加熱すれば食べられるらしい。
おいおいおい、500円でどこまで私を楽しませてくれるんだ。
とりあえず、水から30分ほど茹でてみる。
固すぎて火が通ったのかがよくわからない。とりあえずキッチンペーパーでウナギくらいぬめりのある水気を拭き、蝉の抜け殻みたいな硬さの皮を剥く。
その下には南京豆(落花生の中身)のような薄皮があり、その皮を剥くと燻製の鶏肉のようにしっかりとした身が詰まっていた。空豆よりも大きくて食べがいがありそうだ。
どんな味かなと食べてみると、これが全然甘くない。まあ種だからな。
食感はモサモサでザクザクしている。柔らかい朽木を食べている気分で、うっすらアクも感じ、ゴムっぽいえぐみが若干気になる。
うーん、もう少し茹でた方がよかったか。この状態だと固茹ですぎの落花生という感じで、まだ食べ物になっていない。
バーのつまみに最適だ
このままだとちょっと食べずらいので、再び茹でこぼし、皮付きのまま乾煎りしてみようか。
この種の食感と味には、炒ることで纏う香ばしさが合うような気がする。おまえはナッツだ。
軽く塩を振って食べてみると、一度茹でただけよりも食べやすくなってはいるが、もう一捻り欲しい感じ。油分が欲しいな。
そこでカルダモンと塩を効かせたバターで炒めて含ませてみたところ、クワイみたいなホクホク感のある素敵なつまみに仕上がった。
甘さもうま味も抑え目なのがとてもよく、これがウイスキーとよく合うのだ。ラム酒や泡盛あたりもきっとばっちり。
もし私がジャックという名のバーを経営していたならば、これを突き出しにしたことだろう。どうやって仕入れるんだという話だが。
そしてジャックの名物料理は、ジャックフルーツの種をたっぷりと使った特製バターチキンカレーである。
カシューナッツを使ったカレーに比べると幾分ワイルドな仕上がりが、一癖も二癖もある常連客を喜ばせている(妄想)。
栃餅ならぬジャックフルーツ餅はどうだろう
炒った種はまだあるので、もう少し遊んでみたいと思う。この風味は佐渡島で食べた栃餅に似ているような気もするので、ジャックフルーツ餅はどうだろう。
栃餅とは栃の実というクリに似た木の実とモチ米で作る餅なのだが、アクを抜くのが大変らしく、栃の実を拾ってきたけどまだ作っていない料理。まさかジャックフルーツで予行練習をすることになるとは。
まさかこの日本の伝統食っぽい餅がベトナム産ジャックフルーツの種から作られているとは誰も思うまいとニヤニヤしつつ食べてみると、木の実としか思えない適度な異物感と好ましい渋味があり、これがあんこの甘味とすごく合う。ものすごく好きな味。
もし南国で和菓子屋さんをやっている人がいたら、栃餅ならぬジャックフルーツ餅の商品化をおススメしたい。
空心菜和えと蕎麦のつゆ
ミキサーでつぶした種の残りがまだあったので、醤油を足して茹でた空心菜と和えたり、蕎麦のつゆに加えたりもしてみた。胡麻や胡桃と比べたらコクや油分は足りないけれど、これはこれで物足りなさが愛おしい。
自分でもまさかジャックフルーツを買った結果、こんな和風の創作料理を作ることになるとはまったく思わなかった。
ジャックフルーツの種は意外と汎用性のある食材で、ナッツ類、胡麻、胡桃あたりの代わりになりそうだ。そんなことを言われても困ると思うけど。
もし今度また安く買うことができたならば、今度は担々麺でも作ってみようと思う。