特集 2025年7月2日

3時間かけて「マムシ注意」の看板を見に行く旅に同行したら最高だった

人の営みを感じる

ここまで街の歴史を感じられる観察ポイントをお伝えしてきたが、ここからは別のパターン。人の営みを感じるパターンをお届けしていく。

伊藤さんはゴミ捨て場も観察対象だ。

伊藤:ここじゃないですけど、ゴミ捨て場のカゴに「ワンニャンカア」って書いてあるのがあって、犬・猫・カラスが来ないような工夫がされてたりするんですよ。四国の鉄工所で作られてます
ほり:詳しい。そこまで見てるんですね
伊藤:旅行で島とかに行ってもゴミステーションを見に行くんですよ。ふつう島の人って観光客を温かい目で見てくれるんですが、ゴミを撮りだすと……
ほり:犯罪のにおいがして警戒されそうですね

自治体やもっと細かい単位で言うと自治会ごとに管理方針の差が大きくありそうなのが ゴミ捨て場だ。そこには人と人とが話し合って決めたルールがあり、設備がある。人間の意思が表出しやすい領域といえる。

柵は無いが、ネットがきれいに巻かれている。ほうきも備え付けられている。このネットを管理する人の営みを想像し、「いいな」と思う。これを写真に収める気持ちがわかった。私も伊藤さんと同じ側の人間だ。

よりいっそう営みを感じられる場所が、畑だ。

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伊藤:あそこ見てください!

畑の中でも、特に着目すべきは道具置き場。 

これはいいなぁ。ずっと見てられる。悪趣味という自覚はある。

伊藤:ゴム手袋を棒に突き刺さして干してますね。いいなぁ
ほり:わかります!
伊藤:畑って、よくビールケースが置いてあるんですよね。椅子みたいに使ってるのかな
ほり:ビールケースは酒屋さんからもらってくるんですかね
伊藤:俺、ビールケースの写真も集めてるんですよ

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酒屋さん

近所の酒屋さんの庭に並ぶ数々のケース。さっきのはここから来たのかも。伊藤さんは写真を撮りまくっていた。

ほり:私は酒屋の看板を集めています

たまには私の集め物も披露させていただきたい。#酒屋看板あつめ というハッシュタグでTwitter(現X)に載せている。記事にもなっている。でもその遥か昔に当サイトライターの田村さんも記事にしていた。このサイトには同じ嗅覚の持ち主がいっぱいいる。
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看板は特に集めたくなる

 看板つながりで言うと、伊藤さんはクリーニング店の看板や外観もよく撮影するそうだ。

ほり:あ~、これはいいですよね。前から集めようか迷ってました

 今回感じたのは、私と伊藤さんは、どうやら新規に収集対象とすることへの心理的ハードルの高さがちがうようだ。私は「これから新たに集めるべきか」をじっくり考えて、良さそうなら撮影する。一方、伊藤さんは少しでもビビっと来たらとりあえずシャッターを切っている。

どちらがより集まるかは明白で、絶対に伊藤さんの方式のほうがいい。考えるより前に行動するべきだ。

伊藤:このリラクゼーションの看板、すごくいいなぁと思ってて

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伊藤さんはこんな看板も集めている。

伊藤:この手の看板って、撮りためていると、たまに同じ画像素材の看板に出くわすんですよ
ほり:それめちゃくちゃ面白いですね。撮りためている人にしか分からないことだ
伊藤:同じ男の人がリラクゼーションを受けている画像の看板を5店舗ぐらいで観たことがあります。「あの人」って呼んでるんですけど

ここで私の集め物をもう一つ紹介したい。

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は!か!た!の!しお!のリズムで読める看板を集めている。専用のアカウントで発信もしている。看板をビジュアルではなくサウンドで楽しむ新たなスタイル。

ほり:3文字と2文字の言葉が「の」でつながっていればOKです。これだと「わ!せ!だ!の!もり!」ですね
伊藤:こういうの結構ありますか?
ほり:ありますね。「〇〇〇のもり」は比較的多いです。「いこいのもり」とか。あと「〇〇〇のみせ」も多いですね
伊藤:「さちこのみせ」とかね
ほり:スナックですね。よくあります

む!さ!し!の!いえ!

看板を集めることの良さのひとつに、「かわいい」がある。

地域密着型の不動産屋さんの看板には、すてきなキャラクターが描かれがち。
すまing、家の概念キャラだ。右はお隣の深谷市のふっかちゃん。​​​​​​今回、本庄市に侵食するふっかちゃんを何回か見た。
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伊藤:駐車場看板はこういうのもいますよね

伊藤:これは結構見たことあるかな
ほり:私は初めて見ました。「時間貸」のフォントが駐車場とは思えないです。キャラクターも不気味でいいですね

味わい深い看板の撮影はまだまだ続く。

伊藤:これ面白いですよ

伊藤:ここに捨てていくやつがいるから、看板があるんでしょうね
ほり:GOMI DAMEは「ゴミ溜め」とも読める。わざとかな。そんなわけないか……

この看板は民家に掲げられていた。よく見ると左上に「犬」シールが貼られている。

伊藤:犬シール、かなりいいですよね
ほり:たしかに、街を歩いていると歴代の犬シールが何枚も並べられている家ありますよね。犬犬犬って。勢いがあって好きです

見つけた。

伊藤:埼玉だと丸ゴシック系なんですね
ほり:地方によって違うんですね
伊藤:これを集めている人がいて、関西の古い町並みだと、昔はシール素材じゃなくてホーローだったらしいんですよ
ほり:ホーローは特に集めたくなりますね
伊藤:東京の一部地域ではいままで毎年の申請だったのがそうじゃなくなったそうで、それに伴ってシールじゃなくプレートになったらしいです。なのでシールは今後どんどん減っていきます
ほり:収集対象が減っていく焦り、ありますよね。私もターャジスのトラックが年々減っていくのを見てるのでわかります

看板ネタでもう一つ。 

無理やりな語呂合わせだ。伊藤さん、かなりうれしそう。

ほり:これもいいですよね。ハイエナズクラブというサイトでもこれを収集している人がいました。語呂合わせさえできればいいというものではなく、おそらく意味も大事にしているんでしょうね

この看板に限らず言えることだが、看板には人間の「意思」が見え隠れする。看板というキャンバスに何を表現するかは自由なのだから、当然と言えば当然である。その意思を感じ取り、時には勝手に妄想を膨らませるのが、散歩の醍醐味だ。

⏩ そしていよいよマム注へ

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