特集 2026年4月28日

1年のうち牡丹祭の間だけしか営業しない埼玉の茶屋で飲む

埼玉県東松山市にある「箭弓稲荷(やきゅういなり)神社」の境内に、茶屋があることを偶然見つけました。

年間の営業日数がかなり限られているその店で、実際に飲むことができたので、その様子をレポートします。

1978年東京生まれ。酒場ライター。著書に『酒場っ子』『つつまし酒』『天国酒場』など。ライター・スズキナオとのユニット「酒の穴」としても活動中。

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やきとりなのに豚カシラ?

まず最初に、今回の記事タイトルについて補足させてください。わかりやすく「牡丹祭の間だけしか営業しない」と書きましたが、正確には、それに加えて「年末の数日間」も営業するお店です。

埼玉県の東松山という街にだけ存在する、特殊な酒カルチャーがあります。それが「東松山やきとり」。

やきとりといいつつ、串に刺さっているのは豚のカシラ肉で、それに、それぞれのお店で手作りする辛みそを塗って食べるというもの。同様のスタイルのやきとりを出すお店が駅から徒歩30分ほどの範囲にたくさん点在していて、駅前の観光案内所ではやきとりマップを配布しているほど。こういう独特の酒文化、おもしろいですよね。

ただ、今回の主題はやきとりではありません。ご興味がある方は、僕が別の媒体でやっている酒場に関する連載などをチェックしていただいたり、もしくは「東松山やきとり」で検索するとたくさん情報が出てくるので、見てみてもらえたらと思います。

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元祖の店「大松屋」のやきとり

今年4月の初旬、人気漫画『酒のほそ道』の作者、ラズウェル細木先生らとともに、この東松山焼鳥を食べ歩くという取材を1泊2日で敢行しました。初日は写真の大松屋も含む3軒の店を回り、それはそれは充実した時間となりました。

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早朝の散歩で見つけた茶屋

散々飲んで、ホテルに戻ってぐっすり寝て翌朝。その日も11時のチェックアウト後から街にくり出してみようという予定になっていたのですが、僕は基本的に早起きなので、6時くらいに目が覚めてしまいました。

そこでなんとなくスマホの地図を開いてみると、駅からすぐの場所に「箭弓稲荷(やきゅういなり)神社」という大きな神社があります。神社仏閣めぐりもまた僕の趣味のひとつ。早朝の散歩がてら、お詣りに行ってみることに。

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「箭弓稲荷神社」

広々とした境内、快晴の空、そこに映える立派な本殿。とても気持ちの良い1日のスタートです。

「箭弓」の由来は“矢と弓”だそうですが、その読みからここは、野球関係者がよくお詣りに訪れることでも有名な神社だそう。なので、境内にはこんなスポットも。

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「バット絵馬掛け」

そんなふうに、お詣りがてらゆっくりと境内を散歩していると、片隅に気になる建物を発見。

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こちら

こぢんまりとした平屋の建物で、よくみると看板に「いろり茶屋ぼたん」と書いてあります。ご存知の方もいるかもしれませんが、僕はこういう茶屋に目がありません。

「天国酒場」の魅力を語り合う

今日営業するなら、あとで絶対に来たい! ところが周囲に営業情報などはなく、ただ1枚の「平和な世界」と書かれた短冊が風に揺れるばかりです。

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ひらひら

そこでいったん宿に戻り、朝風呂に入ってコンビニで買った缶チューハイを飲みつつ、じっくり情報を収集します。すると、こういう系のお店あるあるで、なかなか詳しいことがまとめてあるサイトが見つからないのですが、なんとなくわかってきたことが以下。

いろり茶屋ぼたんは、箭弓稲荷神社の境内にある「箭弓稲荷神社牡丹園」で毎年開催される「牡丹祭」の開催中にだけ営業するらしい。

あ! そういえばあった。牡丹園。

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「箭弓稲荷神社牡丹園」

季節前なのかまだ花は咲いてなくて、閑散とした雰囲気ではあったけど、散歩した!

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ぼたんのつぼみだろうか

そして、

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「牡丹祭」のポスターも写真に撮ってた!

よく見てみれば、2026年の開催期間は4月10日から5月7日まで。もう目前じゃないですか! これは行くしかない!

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牡丹祭初日

というわけで、都内から電車で約1時間。数日前にわざわざ1泊2日で取材をしにきた街である東松山に、ふたたびやって来ました。

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約1週間ぶりの東松山

4月10日、牡丹祭の初日。ポスターを見ると、11時から「開園祭」があると書かれています。この日は今にも雨が降りそうなあいにくの曇天だったのですが、よっぽどのことがない限り、開園祭はやるはず。

いざ、牡丹園!

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牡丹園……

あ、あれ〜……。到着したのは、開演祭の時間からちょっと遅れて11時半ごろ。ところが現場には人っ子ひとりおらず、30分前に“祭”と名のつく行事が行われていたとは、とても思えない雰囲気です。

けどまぁとりあえず、茶屋に向かってみましょう。すると。

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お!

開いてる! 半分だけだけど。しかも店頭には「商中」のプレートが。

入り口からなかを覗き、店員さんらしき方に「もう入れますか?」と聞いてみます。すると残念ながら、店内の準備はまだできていないよう。店頭のドリンクなどは購入できるけど、それ意外の食べものなども、まだ出せない状態とのことでした。そして判明した情報が以下。

・いろり茶屋ぼたんの営業期間ははっきりと決まっているわけでなく、牡丹祭の時期に合わせ、人出などを見つつのんびり準備を始める

・期間中は天気が良ければ開店。営業時間はだいたい、午前11時から午後4時くらいまで

・この季節に加え、年末にも数日間営業する

あらら、わざわざ遠出をしてきたものの、今回は残念。まぁ、ライターをしているとこういうことはあるし、むしろ久しぶりのパターンなのでちょっと興奮するくらいです。それに、実際にお店の人から情報を聞くこともできましたし。

となれば、当然再チャレンジ!

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三度目の正直

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またまた東松山

数日後のよく晴れた日、再再訪しましたよ。東松山。来るたびに体感距離が縮んで、なんかもうご近所みたいな感覚になってきた。

さて、牡丹園の様子はどうかな〜?

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やってる! 牡丹祭
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咲いてる!
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ぼたん!
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それよりも存在感を発揮する藤棚

この日は天気が良く、園内の花々も見事に咲いていて、平日ながらかなりの人出。これが本来の姿だったか〜。

ではでは、目的地へ向かってみましょう。どきどきしながら境内を進んでいくと……

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あ、看板が
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これはきっと……
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ついについに
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やってる〜!!!

三度目の訪問にして、とうとう念願が叶いました。

⏩ 東松山やきとりが食べられる茶屋だった

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