行ったら木の板があった
なにをするかわからないが人数を集めていた。困っているだろうから参加するかーという気持ちと、きっと参加者たちも体験するのだろうと前日の夜から食事を抜き、本当の健康診断のような気持ちで準備をする。ハンバーガーやフライドチキンを食べたいが我慢した。
そして、撮影をしている場所に行く。少し遅れたのもあってかみんな一息ついて談笑しているようだった。「すみません!おくれまし…」ぐらいで大きな木の板があるのに気づく。
爲房さんと言えば工作で右に出るものはいない人である。すごい機械があるものだと思っていったら木の板だった。意表をついてきたなと思った。
そして「皆さんで板を動かして下さい」と言われた。検査する側、される側でもない。機械の部分をやるのか。また、意表をついてきたな。でも、はいと答えた。おれたちは社会の歯車だから。よかった、 気合を入れて検査着を買ってこなくて。
今回、適当に動かすのではなく、本当のバリウム検査のように手順にそって動かすらしい。調べた動かし方をホワイトボードに書いていく。
バリウム検査の板を動かすのは生まれて初めての経験だ。というかみんなはじめての経験である。
板の支点として編集部の安藤さんがどこかから持って来たバランスボールがあるが、最初の想定では本当に人力だけでやるつもりだったらしい。その想定ではだれかの腕が終わりになる瞬間があると思う。あってよかったバランスボール。あと、バランスボールがある職場ってなんだ。
爲房さんが炭酸水を飲み、橋田さんから「げっぷしないで下さい」と言われている。本当にバリウム検査を見ているようだ。
今のところそんなに負担ではない。バランスボールが良い感じに力を分散させているようだ。人間ドッグでもバランスボールを置いたほうがいいと思う。
そして、橋田さんから指示が出される。「右に三回回って下さい」と言われ、回る爲房さん。
人が目の前で回る姿を見て「こういう動きをする動物を見たことあるな」と思った。砂のところで自分のにおいをつける動物。
検査が終了して、装置から降りる爲房さん。「これですよ、これ」と目がキマっている気がした。たぶん、台に乗る前に飲んだの、そういうやつだと思う。
橋田さん泣く
「いやー最高の体験でした。橋田さんもやってください」と爲房さんが声をかける。一気にテンションが下がる橋田さん。
爲房さんがバリウム検査が好きなのに対して、橋田さんは本当に嫌いらしい。安藤さんが指示を出す。
「もう少し右にかたむいて下さい」と言われて「もう本当に嫌」と漏らす橋田さん。目の前で回りながら嫌がっている。
爲房さんが楽しそうにしていたので忘れていた、バリウム検査ってこちらは相手の指示に従うしかない、人間の無力さを味わう検査だった。
なんとか終了し、立ち上がる機械。橋田さん、ぐったりしていた。
「本当の検査みたいできつくて嫌だった。これが好きなの?」と爲房さんを見つめる。「楽しくないですか?」と笑顔で答える爲房さん。その後、橋田さんを見たら泣いていた。きつかったらしい。
高瀬さん、はじめてバリウム検査
次は高瀬さん。まだバリウム検査を受けたことがないらしいが、2年後にバリウム検査を受けるそうだ。予行練習にちょうど良い。
「え?これ無理じゃないですか?」と言っていたが、その気持ちわかる。自分も検査のとき「え!早く!」と叫んだことがあった。「我慢してください」と冷静に言われたことを昨日のことのように覚えている。
顔を真っ赤にしながらなんとか指示通りに体を動かす高瀬さん。背が高い分、台も結構ゆれる。そして、ゆれるたびにしてはいけない木の板の音がする。でも、この経験が2年後にいきてくるから。
「よくきついと聞くがこんなにきついとは思わなかったので、練習できてよかった」と言っていた。
バリウム検査の才能
最後はトルーさん。トルーさんもバリウム検査を体験したことがないらしい。いつかやるそのときのために予行練習しよう。
はじめてらしいがはじめてとは思えないぐらい動きがいい。学生の頃にバリウム検査部に入っていたと思うぐらいスムーズにこなしていく。
頭を軸にしてスムーズな回転をみせるトルーさん。バリウム検査の才能があると思う。履歴書の特技でバリウム検査と書けるぐらいうまい。
そして、最後に目隠しをして爲房さんがやることになった。なんだそのドキドキアトラクションは。
この後、自分が乗ることなく、次の撮影をした。果物の四天王を決める会議だった。この記事です。