まだ引き落とされていない
注意しなければならないのは、現段階ではまだ瀬戸大橋のETCの通行料金は引き落とされていないということ。
来月か再来月くらいに引き落とされた金額を見て、もう一度「なぜあんなことをしたんだ」と思わないか、確認する必要がありそうだ。
僕が住んでいる岡山県にはコンビニのミニストップがない。
ただの一店舗も。
しかしテレビでCMは流れる。
純然たる飯テロである。(※飯テロ:他人の食欲を刺激して苛立たせる行為)
我々岡山県民はミニストップの理不尽な飯テロに耐えながらも、いつかあの憧れの地へ訪れてみたいと願っている。
僕などはどうしても我慢できず旅行の際にわざわざミニストップを探して行くくらいだ。しかしいまやそんな機会もない。
ついにミニストップに行くためだけに瀬戸大橋を渡り、ミニストップがある香川県へ向かった。
まず、ミニストップが一店舗も無い岡山県でCMが流れるカラクリについて説明しよう。
地上波の民放テレビ局は、基本的に各都道府県を放送エリアとしている。つまり多くの民放テレビ局はその県内でしか見られない。
しかし岡山県と香川県は、海を越えてテレビ局が相互にネットしている(地図の青い所)。つまり、岡山県のテレビが香川県でも映るし、その逆もしかりである。
このような放送エリア分けは全国的にも珍しく「岡山」と、香川県の県庁所在地「高松」の頭をとって岡高地区と呼ぶ。
そんな岡高地区では、東名阪や北海道、福岡県と同様に全ての系列の民放テレビが視聴できる。都市規模を考えると恵まれた環境だ。
また、歌手のアンジェラ・アキさんは10代の頃に徳島県から岡山県へ引っ越してきた際、岡山で全チャンネルが映ることや、駅前にドーナツ屋があることに感銘を受け、のちの2006年に出演したNHKの番組内で「大都会岡山」と発言した。
その発言がネットで面白がられ、今や「大都会岡山」はネットスラングとして定着している。岡山市もそれにあやかってキャンペーンに利用するほどだ。
しかし、前述の通り「大都会岡山」は香川県のテレビ局によってブーストされたものであり、改めて言うまでもなく幻想である。
閑話休題、この岡高地区はありがたい反面、片方の県にしかない店でも両方の県にCMが流れるという特性もある。
そのうちの一つが香川県民がこよなく愛し、岡山県民が羨望の眼差しを向けるコンビニ、ミニストップだ。CMさえ流れてこなければこんなにもミニストップに対する憧憬の念は抱かなかっただろう。
もちろんこれは僕に限った話ではなく全岡山県民にとって「ミニストップ」という言葉には「憧れ」と「もどかしさ」の両方の響きを持つとされる。
ミニストップを知らなければ幸せだったかもしれない。しかし知ってしまった以上、知らなかった頃の自分に戻る事はできない。
なお、逆にセブンイレブンはかつて岡山県にあって香川県にないコンビニだったが2013年にセブンイレブンが香川県に進出して以降、香川県側のセブンイレブン問題は解消された。
前置きが長くなったが、ミニストップへ行くためだけに瀬戸内海を渡り、一路、香川県へ向かう。
約一年前にフェリーがなくなったので岡山から香川へ行く手段はほぼ瀬戸大橋一択となってしまった。(フェリーがあった頃はたまにミニストップにも寄れたのだ)
瀬戸大橋は上部には自動車用の道路があり、その下に鉄道が通る鉄道道路併用橋である。
電車で香川県へ行くことも出来るしその方が安いが、今回は自動車で行く。
このトンネルを抜け、景色が流れ込んでくる瞬間はとても気分がいい。これは自動車で渡るときにしか味わえないものだ。(鉄道は道路の下を通るので視界はあまりよくない)
また、ご覧のとおり瀬戸内海には電波を遮る遮蔽物がない。これが岡高地区の実現につながったとも言われている。
瀬戸大橋をものの10分ほどで渡り終えると、瀬戸大橋の付け根からほど近くナビが指し示す場所へ向かう。
このミニストップこそ岡山県から最も近いミニストップだ。いざ行こうとさえすれば意外なほどあっけなく着いてしまう。それがミニストップである。
ミニストップはもともとJR四国の関連会社がフランチャイジーをやっていたので香川県にはミニストップがたくさんあるのだ。うらやましい。
ミニストップをCMで見る事はあっても、外観はほとんど見ることがない。ミニストップのロゴマークは白地に青なので、僕の中ではなんとなくミニストップ=青のイメージになっている。
だからミニストップの外観を実際に見ると「黄色いな!」と思ってしまう。
さてさて、黄色と言えば思い出すのはミニストップのあれだ。
ミニストップの代名詞の一つ、Xフライドポテトは黄色が強く甘味も強いドイツ産のポテトを使用している。
その名の通り「X」の形にカットされた形状は特徴的だ。
他のコンビニと違って、ミニストップではポテトを注文後するとわざわざ店員さんが奥に行って揚げ直してくれる。そのような経験が普段はできないミニなし県の住民にとって、ポテトを注文するだけで極上のエンターテインメントとなる。
※編集部より
岡本さんはフライドポテトファンとしてとんでもない量の食べ歩きを達成、さらに精進しています。くわしくはぜひこちらを!
なお、ミニストップにはイートインスペースがある。イートインで食べると消費税が10%になる。
揚げたてで提供されたXの形状の特徴的なポテトはサクサクとホクホクの両方が楽しめるのだ。
そしてミニストップに来たからにはソフトクリームを食べずに帰る訳にはいくまい。 ソフトクリームはミニストップ一番の飯テロだからだ。
ソフトクリームが乗ったパフェ。
ミニストップのソフトクリームはなぜか滅茶苦茶美味しい。
ただでさえ美味しいミニストップのソフトクリームだが練乳がかかると革命がおきる。めちゃうまい。
通常、コンビニでパンを買ってもそれは単なるコンビニで買ったパンでしかないが、はるばる県境を越えたコンビニでパンを買えばそれはもうお土産となる。
実は数日前にTwitterでミニストップのメロンパンが美味しいという情報が流れてきた。
僕にとってミニストップの商品が美味しいなどという話は、自分とは関係ない遠くの国のできごとのようだった。
しかしその実物が目の前にあるではないか。「これがあの?」と嬉しくなって思わず買ってしまった。
なるほどこれは美味しいわ。
近所に…いやせめて県内にミニストップがあればな。
わざわざミニストップのためだけに海を渡るなんて実際どうなんだろう。「なぜこんなことをしているんだ」と虚無感に襲われるんじゃないかと心配していた。
しかし実際にやってみると全然そんなことはなく。小旅行の目的地としてのミニストップも全然アリだ。
ミニストップにはそれだけの魅力がある。
注意しなければならないのは、現段階ではまだ瀬戸大橋のETCの通行料金は引き落とされていないということ。
来月か再来月くらいに引き落とされた金額を見て、もう一度「なぜあんなことをしたんだ」と思わないか、確認する必要がありそうだ。
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