特集 2025年10月22日

圧巻! 秋田、銚子、神栖…風車の街を歩く

秋田に旅行に行ってきた。
こぢんまりとした、静かで綺麗な街である。

やはり、日本海側には独特の情緒があるな…と思っていたら、その日本海側でなにやら列になって運動しているやつらがいる。

近づいてみたら、めちゃくちゃデカい。

平成元年生まれ。令和から原始まで、古いものと新しいものが好き。

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いつの間にか風車の街になっていた、秋田

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秋田犬推しの秋田駅前

先月、秋田市に行ってきた。

JALの「どこかにマイル」という、格安のかわりに行き先はお任せ……候補地が4つ出て、その中のどこかに自動で決まるという、ガチャみたいなサービスで決まったのだ。

目的あっての旅ではないため、美味しいものを食べたり、アクセスのいい観光地を回ったりして、のんびり過ごそうと思っていた。

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久保田城の櫓をイメージした展望台

市内の観光スポットといえば、歴史ある地方都市らしく、領主が住んでいた久保田城がある。まずはその展望台に登ってみた。

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街をぐるっと一周、見渡すことができる

たいへん景色がよい。そして、ビュービューとめちゃくちゃ風が強い。

これが日本海側か。

そして、遠くのほうに見慣れぬ白い巨大な隊列が。

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海沿いに、風力発電の風車が並んでいる

おお、すごい。

同じ方向をむいて、皆一生懸命に首をふっている。

何やら、運動部の子たちが、並んで筋トレをさせられているみたいだ。頑張っているなあ、と勝手に応援したい気持ちになる。

巨大なはずなのだが、ずいぶん遠くにあるため、こぢんまりとして見える。

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日本海側を北から南にズラーっと並んでいるようだ
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さらにズームしてみると、はるか彼方まで続いてることが分かる

日本の海沿いって、今こんなことになっているのか。

壮観だ。

これは、旅の予定を変更しても、現地へ見に行きたいと思った。

 

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日本を代表する風力発電の現場、秋田港へ

どちらかといえば内陸部で暮らしてきたため、風力発電の風車って、ちゃんと見たことがなかった。

小学校の社会科で習ったのは2000年頃だったか、当時はまだまだこれから、21世紀に普及するエネルギーという感じだったと思う。

それ以来、あまり意識したことがなかった。

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首都圏だと、横浜・みなとみらいの向かい側にひとつある

風力発電についてすこし調べてみると、日本では80年代から実証事業が始められ、90年代には実用化がすすんだ。00年代以降は、北海道や東北を中心に大型のウインドファームが普及し、特に東日本大震災後の2012年以降、再生可能エネルギー固定価格買取制度という仕組みが制定され、急拡大が進んでいるという。

とはいえ、さまざまな地理的・制度的・社会的制約があり、他の先進国に比べると普及は遅れている。

全発電量における風力発電のシェアは1%程度しかなく、例えば世界一のデンマークは60%近く、隣の中国も9%程度というから、まだまだこれから、といった状況である。

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秋田港の最寄り駅(徒歩20分くらいあるけど)、土崎駅のレトロな駅舎

ということで、風力発電導入に関する議論は今も続いているけれど、この記事で注目したいのは、そこではない。

感嘆したのは、なによりその巨人感と佇まいである。

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ローカルな駅を降りると、のどかな街並みの向こうに白い巨人が
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民家の間からも垣間見える。慣れない景色だ
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ロードサイドのパチンコ屋の向こうでも、思い思いの方向を向いて回っている

風車ビギナーからすると、ぶっちぎりで非日常を感じる光景だ。

リアリティのない巨大さである。

しかし、風車の方はそんな小さな人間の思いなど気にもとめずに、ゆったりと回り続けている。

また、地元の人たちは全く意に介している様子はない。

本当だったら地域のシンボルにならざるを得ない存在感なのに、これが日常風景なのだ。

街中に急にフィクションの巨大ロボットがあらわれても、案外これくらいの非日常感かもしれないな、と思った。

 

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圧巻!秋田港からのぞむ洋上風力発電と無数の風車たち

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秋田港にある展望タワー&道の駅「セリオン」

1994年に竣工したこの展望タワーは、平成の空気感を今に伝えるスポットとして、また風車を観賞するための絶好のスポットとして有名だ。

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マスコットのセリオン坊やもいるよ
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高さ100mある展望ルームへはシースルーのエレベーターで無料で上がれる
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この眺望!風力好きにはたまらないスポットだ

北側には、秋田潟上ウインドファームの風車がズラーッと並んでいる。手前にはソーラーパネルの海。二刀流だ。
すっごく人工的だけど、これがいまの日本のクリーンエネルギーの素顔なのかもしれない。

秋田は風力発電量で北海道、青森とともに日本トップ3に入るという。

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すっごくズームするとこの重なり具合!

高さは100mもある風車が、日本海の強風を受けてめいめい気だるげに首を振っている。そっぽを向いているやつもいる。

意外と揃っていない感じが、夏休みの朝の寝ぼけたラジオ体操みたいでよい。

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遠く、男鹿半島の方まで続いている
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反対側の山並みにもたくさんの風車がみえる
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館内に展示されていた、平成18年の航空写真。当時はまだほとんど風力発電がないことがわかる
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トラックと比較すると、スケール感がわかるだろうか

海辺に立つ巨人たち。

最近読んだ『ぼくらの』という00年代のSF漫画を思い出した。
夏休みの自然学校で田舎の海沿いを訪れた少年たちが、巨大ロボットバトルに巻き込まれる話だ。エヴァンゲリオン以降のデザインなので、ロボットなのにどこか生き物っぽい。

目の前の風車たちも、ちょっと似ている。
圧倒的なスケールで、鋭利なブレードを静かに回し続ける。
これぞ“平成が想像した未来”といった光景だ。

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前日に登った久保田城が超遠くにみえた

 

⏩ 日本初!海の上に建造された巨大洋上風力発電の威容

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