最初の一杯はサンガリアの缶になった
大阪のシカクという、当サイト関係者の同人誌やグッズをたくさん扱っているショップの店員であるビロくんに教えてもらった店を中心に、冷やしあめを巡ってみる。
冷やしあめを売っている店は大阪の下町に多いようなので、まずは新今宮駅へと向かう。
前に来たときは確か公園だった場所に、星野リゾートの大きなホテルができていて、「本当にできたんだなあ」と駅のホームからしばし眺めた。
この日はちょっと蒸し暑い、絶好の冷やしあめ日和(冷やしあめは夏の飲み物らしい)。なるべく余計な水分摂取は控えて、程よく喉が渇いた状態でクイっとやるぞとはりきっていたのだが、一軒目に向かう途中の自動販売機で、缶に入った冷やしあめを発見。
そういえば大阪の飲料メーカーであるサンガリアが出している冷やしあめの缶ジュースを、前にも大阪で見たような気がする。どこの自販機にもあるという訳でもないだろうし、これも縁なので飲んでおこうか。
今になって冷静に考えれば、別にこの場で飲む必要はなかったのだが。
百円玉を入れてボタンを押して、ガタンと落ちてきた缶には「あめゆ」と書かれていた。
あれ、柄は同じなのに文字が違う。
どういうことだろうと缶をよく見たら、「(夏)は冷やして【ひやしあめ】(冬)はあたためて【あめゆ】としてお飲みください。」と小さく書かれていた。
どうやらアイスだと「ひやしあめ」、ホットなら「あめゆ」と呼ぶようで、同じ商品でどっちの季節でも対応できるよう、缶のデザインがリバーシブルになっているようだ。さすが大阪、合理的である。
きっと関西の人にとっては常識なのだろうが、個人的にはこういう驚きこそが旅の醍醐味。
この缶にハンカチをかけて、ひやしあめがあめゆに早変わりというマジックを考えたが、こっちではきっとベタ中のベタなネタなのだろう。
さっそく飲んでみると、コクのある水飴とキリっとした生姜の味がする。そして全体的に濃い。そういえば冷やしあめってこういう味だ。舌の記憶にはあるので、私が覚えていないだけで、たぶん何度か飲んでいるのだろう。
飲んだことのない人には、炭酸のない甘さ強めのジンジャーエールといえば伝わるだろうか。甘味の強度や生姜の効かせ方は甘酒が近いかな。埼玉県民なので馴染みはないが、どこか懐かしい味である。
ほんのりと感じるハチミツの風味にサンガリアの本気を感じる。ただ甘いだけでないのは、モルトエキスが味に深みを与えているのだろう。なんて原材料名をカンニングしながらじっくりと味わう。
鶴見橋のうまい堂へ
缶の冷やしあめを飲んだことで、なんとなく旅の目的を達成してしまった感がうっすらあるのだが、とりあえず一軒目の店であるうまい堂へと向かう。うまい堂、とても良い名前だ。
スマホに表示される地図だとわからなかったが、鶴見橋商店街という味わい深いアーケードにあるようだ。
慣れない大阪の地ということで若干の緊張感を保ちつつ、うまい堂へと到着。
大きく書かれたお品書きには、「お好み焼」、「太鼓饅頭」、そして「ひやしあめ」と「ひやしレモン」の文字。そしてウォータークーラーが置かれている。
なるほど、こういうお店の店頭に冷やしあめがあるのか。でも店がやっていない。
張り切って始発の電車で埼玉からやってきたので、現在の時刻は午前10時。事前にネットで調べた営業時間によれば9時半からとなっていたが、誰が書いたのかわからないような情報を鵜?みにするほうが悪いよね。そんな朝早くからやっていないか。
どうしたもんかとしばらく様子をうかがっていると、お店の人が開店準備を始めたようだ。しばらく商店街周辺を散策して、時間を潰してまたこよう。
鶴見橋商店街ぶらり旅
店頭で冷やしあめを飲む
11時過ぎにうまい堂へと戻ってくると、店頭のウォーターサーバーに冷やしあめが入っていた。値段は税込み100円と安い。
ところでサンガリアの缶は「ひやしあめ」だったが、この店では「冷しあめ」と表記している。表記ぶれをどうすべきか気になるが、この記事では基本的に「冷やしあめ」と表記させていたいただく。
プラカップになみなみと注がれた冷やしあめは、サンガリアの缶に比べると生姜感がマイルドで甘さも抑えめ。スッキリしていてスポーツドリンクのようにゴクゴクいける。こうして二種類を続けて飲んだことで、冷やしあめにも結構違いがあるということが理解できた。
それにしても、知らない商店街をぶらぶら散歩して、店先で冷やしあめを飲むという行為がすごく楽しい。角打ちや立ち飲み屋でチューハイを飲むのとはちょっと違う、子どもの頃に学区外の駄菓子屋まで遠征したような充実感だ。