特集 2023年7月3日

大阪で冷やしあめを巡りながらの街歩き

四天王寺の源氏堂へ

続いては四天王寺の門前にある源氏堂というお店へ。

鶴見橋からはちょっと距離があるけれど、電車に乗るのも面倒なルートだったので、通天閣のある新世界あたりをぶらつきつつ、喉を乾かしながら徒歩で向かう。

そういえばここでライターのスズキナオさんとお酒を飲んだなあという店の前をいくつか通り過ぎる。セルフ聖地巡礼状態だ。

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丸藤か丸徳のどっちかでホルモンうどんを食べたんだよな。どっちだったかな。
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いつのまにか射的場がたくさんできていた。前からあったけど私が気づかなかっただけだろうか。
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かっこいいコカコーラの幕。

天王寺という駅があるのは知っていたが、四天王寺という大きなお寺があるのは知らなかった。東京の浅草には浅草寺があるのと同じくらい、関西の人には当たり前のことなのだろうか。

冷やしあめを巡ることで、いつもの私だったら行かないコースを通るからこその発見が楽しい。

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西大門に続く石鳥居。
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石鳥居の手前にあるのが源氏堂。創業は1909年(明治42年)なので余裕で100年以上前。

四天王寺名物だという亀かすて~ら、本わらび餅、水まんじゅうなどと並んで、冷やしあめは売られていた。ちなみに表記は平仮名で「ひやしあめ」である。

ウォータークーラーの中をシュワンシュワンと涼しげに踊っている。

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お値段は200円。うまい堂に比べると倍だけど、あそこが安すぎるのだと思う。

最上級の米飴と麦芽水飴、生姜、粗糖を銅鍋でコトコト煮込んで炊き上げたというこだわりの冷やしあめを飲んでみると、とても濃厚で甘さの奥に高級感が詰まっていた。生姜がスマートに効いているから、濃いのだけれどくどはない。

黄金糖とか純露といった飴っぽさがすごい。これは飲める飴だ。まあそうなんだけど。 ユンケルのちょっと高いやつくらい効きそうなご利益を感じる、実に四天王寺の門前に相応しい一杯だ。

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濃厚なので、この量で充分満足できる。

お店の方においしかったですと伝えると、渋い声で「おおきに!」と帰ってきた。

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せっかくなので四天王寺をちょっと見学していこう。
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転法輪とやらを右回りにクルクルさせていただく。面舵いっぱい。

たこ焼き屋のやまちゃんへ

続いての冷やしあめはぐっとカジュアルに、たこ焼き屋のやまちゃんというお店。場所は天王寺駅の近くなので、四天王寺から歩いてすぐ。

その店のすぐ前に、ディスカウントストアの「ドン・キホーテ」とファミリーレストランの「びっくりドンキ―」が、同時に撮影できる場所があって感動した。

もし「待ち合わせは天王寺のドンキで」と言われたら、どっちに行くべきだろうかと妄想してしまう。ドラマのワンシーンみたいだ。

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一枚の写真にドン・キホーテとびっくりドンキ―が入るってすごくないですか。
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このたこ焼き屋さんに冷やしあめが売られている。
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アルコールが500円に対して冷やしあめは100円。安すぎて大人が注文してもいいのかなと躊躇する。

さっき濃厚な冷やしあめを飲んだばかりということもあり、うっかりレモンサワーを注文しそうになったが、自分は樹液を求めて飛び回るカナブンなんだと思い込み、引き続き冷やしあめをお願いする。

冷蔵庫で冷されたピッチャーから紙コップへと注がれる提供スタイル。

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本日4杯目の冷やしあめ。汗がちょっと甘くなってきた気がする。

たこ焼きにも合わせようと思えば合わせられそうなスッキリした味で、喉越しが良くグイっといける。生姜の風味は控えめ、気楽に飲める冷やしあめだ。

子どもの頃に友人宅で出してもらった、たっぷり砂糖の入った麦茶を思い出した。

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弁天町繁栄商店街のきぬや食堂

本日最後に目指すのは、弁天町駅近くにある?栄商店街のきぬや食堂というお店。

お店を教えてくれたビロくんによると、きぬや食堂はうどん屋さんらしいのだが、果たしてうどんと冷やしあめは合うのだろうか。

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浦沢直樹の「20世紀少年」が現実になっているような気がしてくるポスター。
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いいちこのボトルを探したけど、三和酒類の広告じゃなかった。

教えてもらった住所に行くと、繁栄商店街の入口にきぬやはあった。

どこからどう見てもうどん屋である。本当に冷やしあめはあるのだろうか。

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大阪って雰囲気の良い商店街がすごく多いですね。冷やしあめを巡っているからそういう商店街にばかり辿りつくのかな。

とりあえず入店してメニューを確認するが、冷やしあめは見当たらない。もしかしたら夏限定とかなのかも(取材日は5月後半)。

今日は甘い汁ばかり飲んでいたので、そろそろ温かくて形のあるものを食べないとお腹を冷やしそうなので、かすうどんを注文して様子を見よう。

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かすうどんというものを食べてみたかったのでちょうどよかった。
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ジュースはあるけれど冷やしあめの記載はない。ショーケースにあるのかな。
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ない。あったとしてもこの状況だとサンガリアの缶だろう。テレビでは吉本新喜劇をやっていて、これぞ大阪の土曜の昼過ぎだと感動。
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憧れのかすうどん。手打ちのうどんがうまい。
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かすは牛のホルモンを揚げたもの。予想よりもトロっとしていて、この脂はたまらん。

お会計をしながらお店の方に伺ったところ、冷やしあめは商店街側の店頭で売っているとのことだった。

教えてもらった側から出てみると、箱に入った各種麺類、おでん(関東煮)、かき氷などと並んで、冷やしあめのウォーターサーバーが置かれていた。

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商店街側はうどんや関東煮の店頭販売をしていた。
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手打ちうどん屋さんの店頭で売られる冷やしあめ。これぞ食文化の奥深さだ。

「今日は暑いからよく売れまして、もう少ししか残っていないんですわ」と注いでもらった冷やしあめは、しっかりと甘いタイプだった。

隣に並ぶかき氷のシロップを思わせる直球の甘さで、これはこれで心に響く。うどんを食べながらだと合わないと思うが、うどんを食べた後ならピッタリ。生姜の風味はかなり控えめなので、子どもも喜んで飲むだろう。

そしてガラスのコップでいただくと、冷やしあめの味が確実にワンランクアップすることがわかった。持っている手から冷たさが伝わってくるのがうれしい。

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100円のSサイズをいただいた。

お店の方の話だと、冷やしあめは50年くらい前から販売していて、昔はミックスジュースなども並べていたが、経年劣化でウォータークーラーが壊れてしまい、今は国内で製造している会社がないため、残った一つで冷やしあめを売っているそうだ。

冷やしあめは常に循環させていないと、糖分が固まったり濃度が偏ったりしてしまうので、冷しながらかき混ぜるウォータークーラーで売るスタイルが定着しているのだろう。それに「冷やしあめを飲もうかな」と思わせるヴィジュアルの力が強い。生ビールのサーバーみたいなありがたみを感じる。

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麺も関東煮もおいしそう。この店が近所に欲しい。

⏩ 次ページに続きます

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