特集 2026年9月24日

不器用な人 限定ロボットバトルイベント、ヘボコン2026レポート ~子供軍団とポンコツAIが切り開く新時代

世にロボットコンテストは数あれど、たいていは「ロボットを作る能力を持つ人が」「その技術力や創意工夫を競う」という形で行われる。

しかし世の中にはそうじゃないコンテストもあるのだ。それがヘボコン。正式名称を「技術力の低い人限定ロボコン」という。

8/29に開催したその大会の様子を、本記事ではレポートしたい。

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デイリーポータルZ編集部。「技術力の低い人限定ロボコン(通称:ヘボコン)」主催者。岐阜県生まれ。好きな食べ物は開封後3日ほど放置して硬くなったHARIBO。
『雑に作る ―電子工作で好きなものを作る近道集』(共著)がオライリーから出ました!

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ヘボコンとは

ざっくりいうと素人限定ロボット相撲大会である。大学で工学を学んでいないばかりか趣味でも電子工作をしていない、そんな人でも面白半分で出場できる。

「いやそんなこと言っても、そもそもロボットが作れないんじゃ?」と思うかもしれない。
いや、できる。高い志を捨て妥協を良しとすることで、人は何でもできる。

出場マシンの中から何台か紹介しよう。

サッポロピンwithG(黒の組織) ※カッコ内はチーム名

なんかゴテゴテして強そうなマシンだが、よく見ると大半は空き缶やら人形やらで構成されており、ロボットといえるのはキャタピラ周辺だけなことに気づく。その足回りも自分で学んで身に着けた技術ではなく、お店でお金を払って買ってきたラジコンである。志が低い。

しかし基準を低くすることで、誰でもロボットは作れる。妥協が人を強くする。そういうこともある。
(ちなみに上部にハンディファンがついていて回るというギミックもあるが、特に試合には影響しなかった。相撲であることを忘れてただやりたいだけの機能が実装されがちなのもヘボコンの特徴)

ティッシュ(花瀬レブ)

僕は本当にこのマシンが好きなのだけど、これは皆さんが写真を見て想像してするよりずっと小さい。10センチくらいしかない手のひらサイズ。 手作りのゆがんだ箱、そしてフリーハンドの描線。たたずまいが最高。

裏にはおもちゃの電池式自動車がついていて、これがまたちっちゃい!

 動きも「ギリギリ動く」くらいの感じなのだが、こういう頼りないマシンを、赤子のよちよち歩きを眺める感覚で見守る、それもヘボコンの醍醐味。

かと思えばこんな前衛的なロボットも登場する。

歯ブラシザウルス(歯ブラシザウルス)

おおむね歯ブラシと歯科模型で構成されているが、真ん中のでかいパーツはシェーバー。この振動でじわじわと進んでいく(進行方向は運しだい)。

シェーバーは開発者が日常的に使っているものだったため、大会前は社会生活に支障をきたした……というエピソードも良いが、それ以上に全パーツがテープでぐるぐる巻きにして無理やりくっつけられているのが良い。雑。

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独特なギミックの数々

こうしたシンプルなマシンがいる一方で、凝ったギミックを搭載してくるロボットもいる。

夏の思い出(チームT)

パーツの大半を100均でそろえた「夏」グッズで構成しているというマシン。手前の標本みたいなものはロボットを操作するためのコントローラー(有線リモコン)。

歯ブラシザウルスとの対戦

機体の底から子分の虫を放出する、そして上からは大量のシャボン玉を吹きだすという、まさに「夏の思い出」らしいギミックが満載だった。

ちなみに子分が会場スクリーンに映った瞬間、客席から「うわ~…」という声が漏れたが、テントウムシなので安心してほしい。

さらに凝ったギミックを搭載していたのがこちら。

MUDABO(ニッパー)

手前側は電源ユニット兼コントローラー。4つのギアボックスがついている。

そのうち2つには電池がつながっていて、スイッチ操作で回る。その回転は本体の車輪に……は、つながっていない。じゃあ何を回すかというと隣のギアボックスで、これは発電機になっている。

つまり、電池でモーターを回して、そのモーターで手回し発電機を回し、発電した電力で進む……という無駄な仕組みになっている。
そのせいで電池からの6ボルトの電圧は半分がロスとなり、本体に送られる電圧は3ボルトだそうだ。

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試合のようす

こういった、一見ムダに見えて実際ムダなギミックが試合の中でどう活きるのか。対戦の様子も見ていただこう。

アヒルちゃん2号(元おもちゃドクター)​

開発者は複数の優勝経験を持つ常連出場者。いつもシンプルに強いエグめのマシンでヘイトを買っているが、今回も片側2列のキャタピラ+ひとつの車輪にゴムストッパーを履いた、手加減のない足回り。そして対戦相手は

CalDrop 〜アメダママキビシしぶき機〜(あぜなか)

名前のとおり、前方の水色のディスクを回し、その羽で飴を押し出す。それをまきびしとして使うことで相手の移動を邪魔するという作戦だ。

果たしてそんなにうまくいくのだろうか?と思うが、実際の試合の様子を見てもらおう。

ルールはシンプル。板から出たり倒れたりしたら負けだ。

試合開始と同時に接敵、すかさず飴をまくCalDrop
やや自分でまいた飴に足を取られる場面もありつつ…
再び接敵。一度は土俵際に迫るも、押し返す。ここでアヒルちゃん2号は飴に足を取られているように見える
そもそもCalDropは馬力もある。えぐいキャタピラの敵を場外に押し出し、勝利!

GIFだとあっさりして見えるので手に汗握る戦いはぜひ動画で見てみてほしい。

実力の拮抗した強いマシン同士の戦いで、一見すると机上の空論に見えるギミック(飴をまいて勝てると思います!?)が見事に功を奏した、印象に残る試合だった。

というわけでheboconがどんな大会かはわかっていただけたと思う。次ページでは、今年のヘボコンで起きた2大事件、AIの登場と、新世代チームの台頭についてレポートしていこう。

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