ヘボコンにAIがやってきた
イベント名に「技術力の低い人限定」を冠するヘボコン。名ばかりではなく、高度な技術を使うと罰せられる「ハイテクノロジーペナルティ」というルールも存在する。
一方で、いまや誰もがAIを使える時代。当然ヘボコンにもAI活用の波が押し寄せていた。
一見ただの犬のおもちゃだが、AIとオンラインでつながっており、会場の会話を音声認識してしゃべる。そのうえ、おそらく画像認識もしており、自動運転で動く。
これが最初こそ
――ロボット名は?
「私はHEBO-GPT」
――特徴は?
「高度な自律判断で動いていますよ」
といった感じでスマートに回答していたのだが、徐々に言動が怪しくなり始める。
そして試合が始まると「青い旗を持つ選手が追いかけてくる」「1キロの壁を越えてくる!」等と意味不明なことを言いだし、最後には
という絶妙すぎるポンコツぶりを披露してくれた。
※ハイテクノロジーペナルティには「うまく動かなければ対象外」という例外規定があり、ポンコツぶりに免じて抵触を免れた。
AI以外にも、ロボットパーツとしてよりハイテクノロジーな部品も登場した。
本当は全身作りたかったが時間がなくて生首になってしまったらしい。バトル中は機体からミストが出るという凝った演出付き。そして…
機構はえぐいのにカラーコーディネートだけ揃っているのに笑ってしまった。
そしてもう一台。
審査員の八谷和彦さんがメーヴェ(ナウシカに出てくる飛行機)を再現する作品を制作していることにちなんで、紙製のメーヴェを搭載している。そしてこれも……
これらの特徴的なタイヤはメカナムホイールと呼ばれるもので、本気のロボコンでも使われるものだ。普通のタイヤは前後にしか動けないが、これは前後左右に自由自在に動くことができる。
そんなハイテクパーツを導入したうえで、風の谷のファミリーマートの負け方が非常に良かったので見てほしい。
組み立てキットで購入したメカナムホイールキットの作り方が間違っており、進行方向とコントローラーの左右が逆になっていたそうだ。
まだ左右移動できない普通のタイヤのほうがマシだったかもしれない……。
※余談だがこれら2台については、既製品に含まれるハイテクパーツはOKという例外規定によりハイテクペナルティ適用外となる。自分の技術ではなく金の力で買った技術なので……。
新世代の台頭
ヘボコンは技術力を必要としないがゆえに、バトルの面では老若男女が平等に戦えるナイスイベントである。あるのだが、一方でロボットを通した冗談のぶつけ合いの側面もあり、その点ではやはり大人の練れたユーモアにアドバンテージがあった。これまでは。
しかし今年は特にキッズチームの活躍が目立った。大人顔負けのユーモアを備えた子供たちが試合でも大人をなぎ倒していった。
これはデコトラをモチーフにしたロボット。バックで相手に向かっていって敵を荷台に乗せて持ち上げる作戦だ。
敵を持ち上げるには荷台を上下させる必要があるわけだが、その方法というのがこれ。
そんなロボットあるかよという感じだが出てきてしまったものは仕方がない。
そんな彼らであるが、敵を持ち上げられたかどうかは別として、単純にそのパワーの強さで決勝まで進出。最終試合で対戦相手となったのはこちらの大学生チーム。
このロボットも先ほどのHEBO-GPT同様「AIで喋る」というコンセプトだったのだが、それはハッタリであり音声は事前に録音したもの。ただし本機は別の意味でハイテクであり、なんとパソコンを1台内蔵している。それが何を意味するかというと、賢い……では決してなく、単に重い。なので押し相撲がめちゃ強いのだ。
そんな試合の行方は……。
試合後、敗退したTECH☆TECH from NIDチームが
「順当にこっちが勝つんだろうなと思ってた」
「調子に乗っていた」
「(負けを)心に刻んで生きていきます」
とマジ反省していたのが印象的だった。
他にも何台か、活躍した若き開発者たちのマシンを紹介しよう。
これも面白いギミックを備えている。
※ファン向け情報……息を吹き込むときの構えはヘボコン2022でのこやしゅん氏のオマージュらしいぞ
このロボットは機体左右に取り付けた鎌を回転させながら相手にせまるが、その鎌がとにかくよく取れるので会場でウケていた。しかしそれはそれとして、そこそこ馬力があったため準決勝まで進出。
しかし準決勝でTECH☆TECH from NIDに敗退。その対戦後、衝撃の事実が明かされた。
対戦相手にプレッシャーをかけるためだけに作ったという。そういえば試合中は機体についた紐を左右に引っ張って方向転換していた。しかしまさか完全に空箱とは誰一人思わず、客席からも驚嘆の声が漏れた。
向かって左が本体、右はコントローラー。機体は小さく前進しかできないということで、そのままでは勝ち目がない。というわけで……
夏休みの旅行先での写真らしい。スレた大人にはまぶしすぎる、小学生3人の友情。しかしそれを利用して大人を足止めし有利に事を運ぼうとする姑息さ!子供だからって何でも許されると思うなよ、と思わず口走りたくなる。
しかし対戦相手も絶妙であった。
ネットミームをモチーフにしたロボットではあるが、立体化されたイラストと固定の甘さによる首の傾きで元ネタにはなかった謎の凄味が出てしまっており、いかにも悪役といったビジュアル。
これにアクスタを倒させれば一気に客席の声援を味方につけることができそうだが……!?
後で振り返ると、「好き放題やったな……」という感じのチームであった。
次のページは、主催者も手に汗握ったあのコーナーについて!
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