「森でハープ」

柔らかい光が注ぐ森の奥深く、大木の根っこに腰かけた長い髪の女性がハープを弾いている。周りには小鳥やシカ、ウサギやリスが集まり静かに耳を傾ける。
この情景が「森でハープ」である。これを、できる範囲でやってみたい。
ハープはどうする
まずハープである。いきなり「予算」という夢のない障壁が立ちはだかった。「森でハープ」の世界には無いだろ。予算。
しかし現実との折り合いをつけるしかない。5,000円以内という条件のもと、こちらを用意した。

ハープというと一般的には肩に乗せて構える大型の竪琴を指すが、ライアーやリラと呼ばれる脇に抱えられる小型の竪琴がある。
ライアーハープはそれよりもさらに小さくて安価な竪琴。ハープの仲間ではないが、素人目には十分神秘的に感じられる。
森の動物たちもハープの区分にこだわったりはしないだろう。これでいこう(以降、この記事では持ってきたライアーハープを「ハープ」と呼びます)。
買って、YouTubeを見て数日練習した。もちろん数日ではイメージ通りに弾けない。いいんだ。俺なりの「森でハープ」をやり切るんだ。
森はどうする
アクセスしやすい場所を考えて東京の世田谷区、砧公園を選んだ。

ライアーハープと砧公園。これが俺の「森でハープ」だ!
衣装はカーテン
ハープを弾く服装も大事だ。何かないかと考えて、2016年に書いた記事を思い出した。
歩いたところから花を咲かせる神様っぽくなりたくて、カーテンを巻いて着ている。
今回の「森でハープ」もこんな感じがいい。これでいこう。
7年前の自分の記事に助けられた。「助かった」と思うと同時に「7年も前なのかよ」という驚きがある。やっていることもほぼ同じだ。どうしよう。まあいいか。



細かい点を説明すると、カーテンが思ったより小さかったので昔の記事のようには結べなかった。代わりに腰を紐で縛っている。
あと下に着るTシャツは、カーテンの色と合わせてきた。頑張って選んでよかった。
では、弾こう
ロケーションも衣装も良い。あとは練習の成果を見せるだけである。撮影をしてくれている編集部の林さんの合図で構えて、弾く。



写真は良い。すごく良いのだ。イメージ通り、いやそれ以上の「森でハープ」。嬉しい。
ただ、セミの声がうるさくてハープの音が聞こえない。
そういえば「森でハープ」の森、セミいないな! あれ、アルプス山脈の森限定なのかな!

練習してきたのは中島みゆきの『糸』、あとおもしろいかなと思って炭坑節も用意してきた。
しかしかろうじて自分で分かるぐらいで、森の動物はおろか林さんにも聞こえてない。
聞こえない様子を動画でどうぞ。炭坑節を弾いています。聞こえないけど。
気持ちいいぐらいに練習が無駄だった。
あと裸足にアリが登ってくる。砧公園のアリは大きい。よく見たら木にもたくさんいて怖い。
「森でハープ」のイメージの外側にはこんなことが起きているのだ。森はけっこうやかましいし、アリが大きくて多い。足がかゆい。

数日しか練習できていない初心者なんだから手元を見せてほしい。
