フレームインし、そしてフレームアウトする神
歩いたところから花が咲く様子はこちらである。
花がもさもさ生えてきている。
完全に、荒れた砂地に生命を生み出している。
衣装といい、ロケーションといい、そして花のクオリティといい申し分ない。
なんならうす曇りの天気まで、神が降臨した雰囲気を醸し出している。
そっとフレームインして、てくてくとフレームアウトしていく神の目的だけがよくわからないが、そんなぼんやりした気持ちでも歩いたそばから花を咲かせてしまうのだ。神だから。
では、ここからはどうすれば歩いたところから花が咲くのかをご説明したいと思う。
カーテンを着る
手軽に神のような雰囲気を出したければカーテンを着ればよい。
なんとなくまとってみたのだが予想以上にしっくりきたので、これは是非覚えておきたい。
カーテンの頂点を一か所つかんで肩にかける。この時体の前の方に布をたくさん余らせておく。
余らせておいた布を腰の上のところで巻く。
よきところで巻いた布の端を洗濯ばさみでとめれば、
神である。
造花を用意する
咲いてくる花は、100円ショップ、ダイソーの造花を用意した。
そのままでは茎の部分が長いので、まさに今生えてきて咲いた、というような長さにカットしていく。
こういうのをたくさん作る。しかしなんだか、過酷な環境に負けず懸命に生きている雰囲気が出ていて泣けてくる。
せっせと花を切る神。天地創造である。
ダイソーの造花は茎に針金が入っていて切りにくい。
神が気を利かせてペンチなどを持って来れば、この作業はより早く終わったことであろう。
しかしこの造花は本来どういった用途で使われるのだろうか。
ダイソーのラインナップに昔からあるが、使われている場面が思いつかない。
中学校の卒業式とかで、体育館の舞台の下に造花が飾られていた気がする。
だがそんなピンポイントな用途しかないわけはないだろう。
撮影に同行してくれた編集部古賀さんと全知全能である神は、そんな答えの出ない疑問を弄びながら造花を切った。
そして、歩く
造花が用意できたらあとは歩くだけである。
正確には古賀さんに、神が歩いた道に造花をサクサク刺してもらう。
2歩ぐらい歩いたところ。
ここで輝きを放ったのが造花のクオリティである。
リアル。
撮影中は、古賀さんと神でダイソーを称えあったものである。
神に近づきたくばダイソーへ頭を垂れよ。
雑多な花がみっしり生えてるところも、神が気まぐれに生命を振りまいている雰囲気が出ていてとてもよい。
少し歩いて‥
ふと振り返ると、生み出した花たちが列になって佇んでいる。造花が愛おしくてたまらない。
ちなみに今回、上のGIFアニメを作るために用意した造花は4,000円分。
GIFアニメではちょうど10歩歩いて、歩いたところから花が咲いたので、神1歩あたり400円が必要ということになる。
「神歩単価」の相場が分からないが、造花のクオリティを考えるとかなりコストパフォーマンスはよい方なのではないかと思われる。
大事なことなので大きく載せる。
足をどかすと咲いてきたこの花たち、これが400円分である。
脈絡のなさが楽しかった
「浜辺」で、「カーテンに巻かれながら」、「造花を切る」という時間の脈絡のなさったらない。
5W1Hをそれぞれ別々の人間が考えて、持ち寄ってくっつけたらすごく変な文章ができるあの遊びみたいだと思った。