はじまりは長崎
僕が硬いお菓子に興味を持ったそもそもの発端は、以前長崎のT・斎藤さんが紹介してくれたこのお菓子だった。
長崎でよく食べられているというお菓子「よりより」。
前に斎藤さんにすすめられて食べた時、その硬さに驚いたものだ。どのくらい硬いかというと、奥歯で本気で噛まないと割れないくらい、とでも言おうか。お皿に当たるとキンキンと金属的な音がする。
実はこのお菓子、長崎以外でも中華食材を売っているお店なんかに行くと手に入る。
「よりより」は麻花兒(マーファール)という名前で売られている。
この上野の中華食材店には超でかい「よりより」が売られていて(このサイズで硬かったら絶望的だぞ)と思ったのだけれど、触ってみたら予想外に柔らかかったのでたぶん別の食べ物だ。
この硬さ、久しぶり
麻花兒をはじめとする硬いお菓子というものは、忘れた頃にふと食べたくなるから不思議だ。たぶん硬さを克服した達成感みたいなものが快感として脳に刻まれているんじゃないだろうか。
久しぶりに食べる麻花兒はやはり硬いのだろうか。
「よりより」、やはり硬かった。
奥歯でおもいっきり噛むと「ガリガリ!」と信じられない音をたてながら口の中に砕け散る。工事現場を思わせる振動が骨を伝い頭に抜ける。
これだ、この感触である。僕は硬い食べ物が好きだったんだ、と思い出す。そしてまた音をたてて噛み砕く。
麻花兒以外にも硬さを売りにしたお菓子はいくつかあるので、次のページでも硬さを伝えたい。