質・量ともに日本一の古い町並み、橿原市今井町
ここも超すごい。
日本の古い町並みといえば、京都の祇園や産寧坂、飛騨高山、関東なら川越あたりが思い浮かぶと思う。
でも、歴史的な建物の質・量ならばこの今井町がダントツで日本トップなのだ。
まずは写真を見て欲しい。
日本の古い町並みって、ほとんどが通り(線)で保存されているのに対し、こちらは面で保存されている。伝統的建造物の数でいっても、京都市産寧坂が190棟、高山市三町が180棟、川越が119棟なのに対し、今井町は501棟で日本一。圧倒的だ。
さて、この今井町、GW2日目の16時頃に向かったのだが、やはり観光客はほとんどいない。
この瞬間、17.8haの保存地区内に観光客は20人いなかったと思う。
むしろ地元の人たちが家の前の掃除をしていたり、井戸端会議をしていたり…。
もう地元の人たちの時間なのだ。
そして、この観光地然としていないことにも、歴史的な経緯がある。
昔からの観光地である門前町や宿場町と違い、今井町は寺内町(じないちょう)といって、閉じた町なのだ。
戦国時代には、白壁と濠で街全体を囲った宗教城塞都市であり、その後も自治都市として栄えた。
今も観光客向けのお店は少ないし、背筋がピッと伸びる場所だった。
みんな大好き卑弥呼の墓&邪馬台国の有力候補地
奈良駅から万葉まほろば線で20分ほどいくと、日本の古代史における超重要スポットがひしめく一帯につく。
全長約280mの箸墓古墳は、測定調査により3世紀半ばに作られたという説がでたことで、近年卑弥呼の墓として脚光を浴びた場所である。
でも人はいない。せいぜい数人だ。
ここはもう平城宮跡以上ののどかっぷりである。それがいいのだ。
このホケノ山古墳だって、箸墓古墳よりも古く、弥生時代の墳墓から古墳時代の前方後円墳への過渡期にあたる、これまた重要な史跡なのだ。
なんだけど公園の小高い丘みたいな感じで登れてしまって、いいのだろうか…という気持ちになる。
古代史ファンとしては感涙の場所である。
まあ、何がある…というわけではないので仕方ないけど、もはや地元の人を見ると嬉しくなるくらい静まり返っている。
(なお、大通り沿いの三輪そうめんのお店は繁盛している)
ちょっと長くなり申し訳ないのだが、ここの重要性について説明させてほしい。
崇神天皇は10番目の天皇。
古代の天皇ってたくさんいすぎて難しい…となりがちだが、この崇神天皇はスペシャルなのだ。
初代・神武天皇と欠史八代(日本書紀に系譜しか記載されておらず、学術的には実在の可能性がほぼ認められていない2~9代目の天皇)に続く、最初の天皇なのだ。
近くの三輪付近に都を移し、全国に将軍を派遣し税制を定めた…と具体的な事績が書かれる、実質的なヤマト朝廷の創始者的な扱いの天皇である。
もし実在したら3世紀後半〜4世紀前半頃といわれている。
一方、崇神天皇陵も実際の被葬者はあきらかにされていないのだが、考古学的には箸墓古墳から数えて5番目に古い首長墓との研究があり(※諸説あり)、時代的に合う。
となると、実質初代なのに5番目。
ミステリアスじゃないか。
ミステリアスなものって、みんな好きなはずだ。

