社会現象といっても過言でない程のヒットとなったゴーストバスターズは1989年に続編、2016年にはリブート版が、さらに2021年には正当な続編となる「ゴーストバスターズ/アフターライフ」が公開され、今ではレイ・パーカー・Jr.のあれは人種や世代を超えた人類の普遍的なグルーヴとなっている。
文明が続く限り、禁止マークもゴーストバスタナイズも続いてゆくのだ。
ルールがあって、ゴーストバスターズがある
自由はとても素晴らしく尊いものだが、だからといって皆が際限なく自由を行使してあんな事やこんな事までしだすと文化的な社会はたちまち破綻するので、なにげに我々の暮らしは様々な制約に縛られている。
それらの禁忌は赤枠に斜線のマークで示され、街の、暮らしのいたるところで我々に警告を発している。
たいがいは禁止の対象となるイラストがあって、その下に枠と斜線の禁止マークが敷かれているか、逆に上からかぶさっているのだが、時として、真ん中の斜線を丁寧にくぐりぬけてこちらに顔を出しているのを見ると、体内に刻まれたあのグルーヴが沸き上がってくるのだ。
言わずとしれた傑作ホラー・コメディ映画「ゴースト・バスターズ」、1984年に公開された時には特に興味もなかったが、翌年ぐらいに友人の年の離れたお兄さんに作ってもらったカセットテープにリマールの「ネバー・エンディング・ストーリー」やニック・カーショウの「ザ・リドル」と共にレイ・パーカーJr.によるテーマソングが入っており、小気味よく繰り出される「ゴーストバスターズ!」という、本人は歌ってないであろうシャウトがやけに脳にこびりついていた。
レイ・パーカーJr.「ゴーストバスターズ」時々脳内でループして仕事にならなくなるあのフレーズ。
1987年にゴールデン洋画劇場でテレビ放送された日本語吹き替え版を見てその面白さに熱狂し、誰にも貸せないベータのテープに録画して何度も観た。
ラスト近く、女性の姿をした破壊神ゴーザの襲撃を受けたビル・マーレー扮するベンクマン博士の「あの女、イエス焼き鳥にしてやる!」というセリフ(聞き間違いかもしれない)が大層気に入り、学校で事あるごとに発していたら先生に「言葉づかいが汚い」と怒られた。愚かで幸せだったチャイルドデイズよ。
そんなエモーションのおもむくままに、街角で見かけたゴーストバスターズなやつをレイ・パーカー・Jr.のグルーヴで紹介していきたい。
おしゃれな六本木バスターズ
そもそもこのようにゴーストバスタナイズするには対象物を禁止バーの隙間からひょいっと出すように一手間かけねばならない。
わざわざそんな事をするぐらいなのでイラスト全体の作り込みも緻密で楽しい。六本木で見つけた逸品を近隣に残る大都市の自然と一緒にバスターズしてみよう。
ウィットあふれる都会的なセンスはさすが六本木。
どばっと飛び出る飲料、こぼれ出るゴミ、禁止バーをかいくぐってもうもうと立ちのぼる煙はまるでゴーストのようだ。
私の心の中に住む小さなレイ・パーカーJr.はもうノリノリである。
市原でバスターズ
トップで紹介した、ゴーストバスターズとしか言いようのない傑作を生み出した千葉県、こんどは市原市からもう一本。近隣のいい感じの風景と一緒にバスターズしていこう。
赤と白のツートンはまさにゴーストバスターズ。禁止バーの下から顔を出しているため「!」の数はひとつ減ってしまったが私の中の小さなレイ・パーカーJr.は余裕でオッケーを出している。
堂々たるバスターズ
白い人がかいくぐるバスターズは東京都杉並区にも存在した。ゴーストなのに能力者みたいな構えだ。レッツ、バスターズ。
サイコキネシスで家具家電一式を周りに浮遊させ見る物を恐怖に陥れる正体不明の白いやつはスリムなマシュマロマンのようだ。私の頭の中の小さなレイ・パーカーJr.はもうゴーストバスターズへ電話しようとしている。
すぐ上に貼ってあったマークも家電がいい感じにゴーストバスタナイズされていた。
犬だってバスターズ
以前記事にした犬の看板にもゴーストバスターズな感じのやつが潜んでいる。かわいい犬達とバスターズ。
ひょっこり顔を出してちゃっかりフンをしている。劇中でラスボスとして君臨する破壊神ゴーザの家来、門の神「ズール」は四足歩行の獣のような姿だった。白昼堂々とズールの存在が警告されるという事は破壊神の再来も近いのではないか。めちゃくちゃな解釈だが私の中にいる小さなレイ・パーカーJr.はYESと言っている。
ピクトさんもバスターズ
歩きタバコを禁じるピクトさんも東京の足立区でたくみにゴーストバスタナイズされていた。ミステリアスな派生系も発見したのではりきってバスターズしていこう。少しメロディーが変わるので注意してほしい(なにが)
タバコだけでなく、ごみもぽいぽい捨てて歩く悪行のマルチタスク、ここまで社会に適合していない者はもはやゴーストとみなして差し支えない。私が心の中に抱いている小さなレイ・パーカーJr.も戦闘態勢に入っている。
電柱には歩きタバコだけのバージョンがいたがなぜか足がマークの向こう側にあった。
下半身だけ「こちら側」に侵入してゴミをポイ捨てし、「向こう側」に逃走して余裕ぶっこいてタバコをくゆらしている。私有地に逃げ込んだつもりだろうか。
微妙なやつもバスターズ
これはゴーストバスタってると言ってよいのだろうか?心の中のレイ・パーカーJr.に聞いてみるしかない。テーマソングもいよいよ佳境だ。
確かにこっちに出てきているがタバコと煙を別体とした場合は越えてきてる感が薄いな。どうなんだろう、でも煙がゴーストっぽいからいいか。心の中のレイ・パーカーJrは戸惑いながらOKを出しているし。
タバコの微妙なやつをもう一本
くぐって来ている、タバコの先のとこがちょっとこっちに来ているがこの感情移入のしづらさはなんだろう。
心の中のレイ・パーカーJr.は静かにこちらを見つめている。
以降は原曲とおなじく、心の中に住む小さなレイ・パーカーJrとフユゴナコール・ゴーストバスターズを連呼しながらフェイドアウトしてゆきたい。またどこかでお会いしましょう。