ちょっと聞いてよ 2022年6月9日

世界を俯瞰する巨大イリオモテヤマネコに圧倒された

醒めない夢のような南の島の午後

西表島といえばこの島だけに住む天然記念物、イリオモテヤマネコ。運良く見られたらいいなとか思っていたら、むしろ見下ろされていた。見上げて「ほー」とか言ってしまった。

1975年神奈川県生まれ。毒ライター。
普段は会社勤めをして生計をたてている。 有毒生物や街歩きが好き。つまり商店街とかが有毒生物で埋め尽くされれば一番ユートピア度が高いのではないだろうか。
最近バレンチノ収集を始めました。(動画インタビュー)

前の記事:西表島・竹富島・黒島、八重山ハブめぐり

> 個人サイト バレンチノ・エスノグラフィー

わずか100頭ほどしか生息していないこのヤマネコは様々な手法で大切に保護されているだけでなく、島のマスコットとしてあちこちで発信されている。

おなじみのヤマネコ注意看板。
......の携帯灰皿。あまりにも良くてタバコ吸わないのに買ってしまった。

 旅行者やその周囲の人達にとってもイリオモテヤマネコは大きなトピックスで、西表島に行くと言うと「ヤマネコ見れるといいね」と送り出され、行ってきたと言うと「ヤマネコ見れた?」と聞かれるのだ。

いい子が育ちますように。

数々の目撃情報はあげられているものの、広い島に少数しかいないし活動する時間は夜、おまけにかなり用心深いときているのでめったに見る事はできない。

よしんば見られても、めっさ俊敏で写真を撮る間もなく逃げ去られるのでイリオモテヤマネコだったのかどうか確かめるすべもない。

ハブ探しで島内を巡りながらヤマネコっぽい幻影を見かけては「イリオモテヤマネコを見たのだろうか、見ていないのだろうか」と悶々としていたが、集落を散歩して偶然たどりついたスポットで確信した。

「見たとか見なかったではない、この島に来てからずっとおれはイリオモテヤマネコに見られていたのだ!」と。

コンテンツの構造上トップ画像である程度バレてるのだが遭遇したのはこれだ。
 

なんじゃこれは、にゃんにゃんじゃこれは!

 島の東部、大原地区にあるこの真新しいパークの名は「ンママキー・やまねこパーク」、友達や家族ならびに恋人、サイゼリヤで隣のテーブルに座った人達などがしりとりで「うどん」とうっかり終末の言葉を選択してしまったら叫んで救済してあげよう。ンママキー!

「ンママキー」は島の方言で「馬を遊ばせる場所」という意味らしい。癖になる語感だ。

 中央の人工的な丘陵の上に座る巨大イリオモテヤマネコ。

とにかくでかい。開いた口が塞がらない。

 地元の小学生たちが「イリオモテヤマネコの滑り台を作ってほしい」と要望したのがきっかけで実現した巨大滑り台らしい。ディテールまできっちり作り込まれたヤマネコの表情は静かで思慮深い。

こちらの全てを見透かされているようだ。

 せっかくだから滑っていこうと子供達が遊び終わるのを見計らって近づく。

ぜったい通行人にクイズ出してくるやつだ。

 「朝は四本足、昼は二本足、夕べには三本足で歩く生き物はにゃーんだ?」とか言われて答えられなかったら食い殺されるのではないか。落ち着いて「それは人間です」と答えるんだと自らに言い聞かせながら射出口(すべるとこね)に回り込んだ。
 

毛並み感のリアリティもすごい。

滑り台を滑るというだけなのになんだかヤマネコとして生まれ変わるための祭祀に参加するような気分になってきた。 
 

通過儀礼じゃ。けっこう急だな......。

ニャー!

結構な急角度かつ急速度でおののいたが無事に胎外に放り出され、ヤマネコとしての新しい人生が始まった。こうしてイリオモテヤマネコは新しい生存戦略で来る人の脳の一角を支配し、西表島を超えて世界に君臨していくのだろう。


ここまで世界の主のような感じでなくても新しいイリオモテヤマネコは生まれ増えている。県道を上原港よりさらに北に進み、うなり崎方面に向かう道に入るとイリオモテヤマネコ化した植栽がすらりと並んでいた。
本物のイリオモテヤマネコを見るチャンスは少ない。しかしそれをヤマネコ的なものが取り囲み、人のイメージとない混ぜになって漏斗のように広がる世界に私達はいつだってアプローチできるのだ。

地元の人に「よく気づいたね」と褒められた。※2022年5月現在
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