安全のしおりっていいですよね。楽しい移動に突然現れる死の気配を感じる内容だと思います。題材もさることながらここが素敵だと思いました。
> 自分を気の毒に思ったタクシードライバーが一緒にいてくれた。
こういうちょっとした行動ってそのときは感激しても忘れてしまうんですよね
> ところが、ふくらんでいるのは子どもである。
この一文を見てからもういち安全のしおりを見ると「あ、本当だ!」って思います。細かい発見が読み手を導いてくれていました。おもしろかったです!(林)
👑今月の掲載作品
まずは超優秀作。記事として掲載した作品をふりかえります。今月は4本!
ミャンマーの安全のしおりがかわいかった(8/26 伊庭靖弘)
編集部より寸評


記事ってほっとくと長くなるんですよ。書いてるうちに書きたいこといっぱい出てくるし、長いほうがちゃんとしてる気がするし、短いとなんか不安。でも読み手としてはこのくらい短くて、ワンテーマの記事はすごくカジュアルに読めるんですよね。
また、「しおりの絵がかわいかった」くらいの小さいことで、記事って1本書けるんだよ、気軽に書いていいんだよっていう見本のような記事でもあります。
いろんな意味で読んでて勇気のでてくる記事たと思いました!(石川)
閉所恐怖症には致死量かな?「西野水道」は無料で入れる洞窟系スポットだ!(8/25 旅人YAMA)
編集部より寸評

やっぱりこういう派手な体験はいいですね。書き甲斐がある。ハードな場所の描写と、途中の看板のポップ体、サザエ、すれ違った人とのへっぽこな部分もあってメリハリがありました。
いいなと思ったのは音声アナウンスで子ども用を選んだところ。
> 簡単な説明じゃないと理解できないから。…ちなみにアナウンスは小人用でもまあまあ難しかった。
こういう史跡を書くときって頭よさげな感じになってしまうことが多いのですが、自分の弱さを認めるところがかっこよかったです。文体はゴツいですが読者に優しいと思いました。(林)

長らく不定期で記事を投稿いただいているYAMAさんですが、毎度よくこんな場所見つけてくるな……と驚かされます。
さすがの書き慣れ感で長くても読みやすく、1ページまるっとスキップしてもよいルートが用意されているのも親切でした。(そういわれるとだいたい読んじゃいますが)。
初代水道でのすれ違いのエピソードがいいですよね。スポット自体の情報よりむしろこういうエピソードが読みたくて、記事を読んでる気がします。(石川)
岐阜タンメンの「プロテイントッピング」って頼んだことある?(8/20 なまこマン)
編集部より寸評

プロテイントッピングという言葉の響きがすばらしい。それだけで期待できますね。
その題材の強さにあぐらをかかず、無味、原料高騰のため終売、次は青汁、うまい!という流れもおもしろかったです。ずっとサビが続いています。
> 「取り返しのつかないことをした」という感情に襲われてしまいます
ここもいい。青汁ラーメンがぜんぜん美味しそうに見えないのもいい!(林)

記事を書くというと、なんか変わったことやらなきゃ!という気持ちになりますが、こういうすでにある変わったものをレポートするのも良いやり方です。
実は投稿時はプロテインまでだったのですが、掲載にあたり青汁パートも追記してくれました。「次回、お会いしましょう!」からの「経験上、次回というものは…」で続く展開、かっこいいですよね。(石川)
「モグラ駅」で有名な土合駅……実は真の秘境駅はお隣の湯檜曽駅だった(8/4 ぼっちのazumiさん)
編集部より寸評

トンネルの入り口の写真が怖いですね。闇が写っている。この圧倒的な写真に対して「ちゃんと自我を保たなければ。」とコメントしているのがいい!景色と感想が拮抗している!
「ちゃんと自我を保たなければ。」って思うことって人生にあまりないですが、そのコメントを通してこの駅の迫力が伝わりました。(林)

土合駅、間違いなく面白いんだけど既出だし、こうやってメディアでレポートするにはわりと有名…という悩みに対して「その隣の駅」というズラしでスパーンと答えた快作でした。それでいて人が少なかったりすっかり苔むしてたり、ちゃんと土合駅にはない魅力がしっかりある駅。素晴らしい目の付け所だったと思います。
土合駅自体にもちゃんと行ってて、両方比べられるようになってるのも抜け目ないです。(石川)
🎉佳作
原稿掲載までは至りませんでしたが、面白かった作品を佳作としてご紹介します。
クルミでくるみボタンを作り、ワイシャツにYをつけ、「ポックポーン」のワッペンもつけ、着てみた(おやまのぴょん子)

私は長年、「くるみボタン」は木の実のクルミに似ているからそう呼ぶのだと思っていた。
しかし、あれは布で“くるむ”から「くるみボタン」らしい。
また、私は、「ワイシャツ」は襟元がY字だから「Yシャツ」なのだと思っていたのだが、こちらは「ホワイトシャツ」が語源だという。
クルミでくるみボタンを作り、Yのついたワイシャツを作り、さらに子どもの言い間違い「ポックポーン」まで縫い付け、そして着てみた。
編集部より寸評

「クルミで作ったくるみボタン」の完成度が高いのでそれだけでもよかったかも。
だじゃれなのにかっこいい、という落差があると受けるので、たとえば手持ちのジャケットにくるみボタンをつけるという展開はどうでしょうか。ライターからネタの相談を受けたらたぶんこうアドバイスすると思います。
(林)

いろいろ手のかかった力作でした!
ただ力作がちょっと裏目に出た感じはしていて、僕も林と同じでちょっと詰め込みすぎかもと思いました。くるみボタンだけか、ワイシャツだけかで良さそう。ただ、「ポックポーン」よりは前の2つのどちらかの方がいいですね。みんなの共通体験なので。
その分、ワイシャツであれば典型的な白シャツにするとか、素材にこだわるといいかも。
一種のパロディなので、変えたい部分以外は元ネタに忠実であることがけっこう大事かなと思います。(石川)
【8合目関門足切り】富士登山競走冒険譚(2026備忘録)(電気とデニム)
富士登山競走という日本一の山岳レースを知っているだろうか?富士吉田市役所(標高約770m)をスタート地点とし、富士山の山頂(標高3,776m)まで、標高差約3,000mを「ただひたすら登り続ける」という、極めてシンプルかつ恐ろしい大会である。

「美味しい。口ではなく、脳が喜んでた。」
このコーラの描写が光ってました。20km駆け上るというハードな描写が続いたあとなので説得力があります。
気になるのは固有名詞が多いこと。ほかの作品を引用して感情を表現するのはちょっともったいないかなと思います。元作品を知らないと伝わらない表現なので。
状況を自分を媒体にして表現するとリアルで、あなたしか書けない言葉になるので「脳が喜んでた」のような表現を増やすのが吉だと思います。(林)

知らない世界が見られる記事という意味で、面白かったです。レース中の話もいいのですが、前日のバリカンの話とか、こういう「レース以外の、レースやる人ならでは」のエピソードがめちゃめちゃいいなと思いました。
同志向け備忘録とのことなので仕方ない部分もあると思いますが、エイエイオーおじさんの娘?の話など門外漢んの知らない話が説明なしにちょくちょく出てくるので、一般向けだと思うとリライトが必要かも。(石川)
👏もう一息
今月は、該当作なしです!
おわりに
最後に、編集長 林からのメッセージで今月の月刊新人賞はおしまいです。では林さん、どうぞ。
今月はミャンマー、秘境駅、洞窟と派手な題材が多かったですね。
みなさまどうもありがとうございます!どれも半日以上かけて体験したことだと思います。富士登山競走に至っては丸1日。
元も子もないことを書きますが、体験した時間が長いほうがおもしろい記事ができます。
題材が多いから書くことが多いんですよね。よりどりみどりになる。そのよりどりみどりのところで何を書くか、何を書かないかという問題が出てきますが、題材がないよりは贅沢な悩みです。
経験的にも、記事のための撮影が1時間で終わっちゃったとしても、もう1時間ねばるといいことがあります(嫌なことを言うと1時間で終わらせた記事は分かります)。
割に合わない努力を強いているみたいですが、「割に合わない」って思えない題材、ずっとやっていたいと思える題材を選ぶのがコツかもしれません。って言い訳したところでブラックですね。







