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突発的に旅に出たくなってしまい、気づけば越後湯沢駅にいました。

めちゃくちゃ雨です。足湯もびしゃびしゃで浸かれません。
しょうがない、電車にでも乗りましょうか。
新幹線の越後湯沢駅から在来線の上越線に乗り換え、4駅先にある「土合」という駅が非常にユニークらしいので、行ってみることにしました。
「日本一のモグラ駅」土合駅
土合駅は「日本一のモグラ駅」と言われていて、地下約70mにある下りホームに行くために、462段の階段を降りねばならないのです。都民にとっては「深い」でおなじみ大江戸線もびっくりの段数ですよね。
地下ホームに行く前に、駅舎をウロウロしてみます。
この駅舎にいるといろんな観光客がひっきりなしにやって来ます。カップルにファミリーに大人のツアー客に遠足っぽい小学生の団体まで……。
いやさすがに有名すぎますって!! 土合駅めちゃくちゃ観光地!!
「秘境」みたいな温度感を求めにいくと、ちょっと違うかもしれませんので気をつけましょう。
いざファミリー御一行とともに、地底のホームへ……。
約70m、462段となると、もう終着地点が見えないんですね。恐ろしい……。そばにいるファミリーもさすがにテンションぶち上げです。
462段、一気に降りるとさすがに膝がグラグラになりますね。少年は元気に駆け降りていましたが、大人や高齢の方はキツいでしょう。そして、土合駅は残念ながらエレベーターもエスカレーターもない、NOTバリアフリー駅なので、階段を下りてしまったなら、越後湯沢方面の電車に乗るかまた階段を上るかしかありません。
私は上り(水上方面)の電車に乗りたいので、戻らねば……。
上りは残り200段くらいで疲れ、のこり100段くらいで楽しくなってきました。明日の筋肉痛は怖いけど。
外に出たらすっかり晴れていました。山あいは本当にコロコロと気候が変わりますね。
土合駅のお隣、湯檜曽駅は真の秘境
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で、実は今回の本題はこちら。
下り線ホームが深い深いトンネルのなかにあった土合駅。そのトンネルは、お隣の湯檜曽(ゆびそ)駅から始まっているんですよね。つまり、湯檜曽駅もトンネル内に隠れているということ。見に行ってみようじゃないですか。

土合駅で3時間半も上越線を待って、やっとの思いで湯檜曾駅に到着。
「トンネルの中にないじゃん!」と思ったかもしれませんが、こちらは上り線ホーム。湯檜曾駅は上り線ホームが外、下り線ホームはトンネル内という珍しい作りになっているんです。これは土合駅も同様。上り線はトンネルを掘る前に開通していたからです。
そしてこの上り線も実は、普通ではありません。よーく見ると……

遠くに見える山の中腹に線路が! 上り線はトンネルがなく急勾配なので、山の周りをぐるっと一周、円を書くようにして入ってくるのです(ループ線と言います)。
せっかくなので電車が走っているところを撮影したかったのですが、さすがにまた数時間待ちぼうけは辛いので断念しました。
では、本題の下り線へ。
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駅舎に続く赤い屋根の階段を降りていきましょう。
せっかくなので駅舎も見ておきましょうか。

ほっそ……!!
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そして、マイケルジャクソンのように前傾している……!?2010年ごろに建てられたコンクリート打ちっぱなしのモダン建築なんだとか。思わぬところでアートっぽいものに出会えました。
それでは駅舎内に戻って下り線ホームへ。

下り線乗り場のほうを向くと……

ヒッッッ!!!
これはこれは……いい味しすぎていますね。土合駅より圧倒的に人気(ひとけ)がないので、ピリッと張り詰めた静寂が怖いです。

しんと静まり返った苔ゾーンを抜けて、ホームに出てきました。

土合駅とは異なり、湯檜曾駅の下り線ホームは外に面しているため、ちょっとだけ明るいです。

トンネル出口付近には、掘った人々の碑が残っていました。1967年(昭和42年)に開通したトンネルなんだそうです。

昭和のプロフェッショナルたちが掘ってくれた「新清水トンネル」は、ここ湯檜曾駅から土樽駅までの13.5kmをむすぶ大規模なトンネル。群馬県と新潟県の県境にある谷川連峰を貫くようにして作られています。
絶対にあり得ないですが、万が一徒歩でこのトンネルに迷い込んでしまったとしたら、10km以上も深い深い山の奥底を歩かないと抜けられません。果ての見えないトンネル、なんて恐ろしいんだ。

トンネルの出口側から振り返ると、ぽっかりと「深淵」がこちらを覗いていました。
勇気を出して、もう少し進んでみましょう。

あまりにも、あまりにも漆黒。
もうほんと飲み込まれるかと思いましたわ……。光ひとつないトンネルって、どんなに目を凝らして見つめても何にも見えないんですね。
ずっと見てると距離感がつかめなくなって、だんだん身体が前のめりになって、線路に落ちそうになりました。もちろん駅には私以外誰もいませんので、落ちても誰にも助けてもらえません。ちゃんと自我を保たなければ。

でも、「独り」を味わいたいなら圧倒的に湯檜曽駅なんですよね。混雑している土合駅では「独り」の瞬間なんてありませんでしたから……。
土合駅はみんなで楽しむ場所でしたが、湯檜曾駅はループ線も、変な駅舎も、苔も、落書きも、そして漆黒も、全部全部私が独り占めできる場所でした。あまりインターネットで大々的に見つかってほしくないな。
また来たくなる孤独スポットでした。

帰りはこの下り線ホームから上越線に乗り、再び越後湯沢駅へ。
近隣の銭湯に3連続で入ったり、ロープウェイに乗ったり、名物のへぎそばを食べたり……、すっかり越後湯沢観光を満喫できました。
とりあえず「土合駅に行く」ことしか決めていなかった日帰り旅、思いのほか大充実でよき思い出となっています。今後も湯檜曾駅みたいな場所にうっかり出会えるよう、旅力(たびりょく)を磨いていきたいと思えた1日となりました。
この記事は読者投稿でお送りいただいた記事です。
編集部より寸評
土合駅、間違いなく面白いんだけど既出だし、こうやってメディアでレポートするにはわりと有名…という悩みに対して「その隣の駅」というズラしでスパーンと答えた快作でした。それでいて人が少なかったりすっかり苔むしてたり、ちゃんと土合駅にはない魅力がしっかりある駅。素晴らしい目の付け所だったと思います。
土合駅自体にもちゃんと行ってて、両方比べられるようになってるのも抜け目ないです。(編集部・石川)
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