トンボは肉食で、蚊やブヨの天敵として知られている。大型トンボのオニヤンマともなると、スズメバチにすら一目置かれているそうだ。
水辺近くの藪など、いかにも蚊がいそうなところでも、トンボがたくさん住める環境ならほとんど刺されることはない。人間にとっても非常に優秀なハンターである。
虫除けのためのオニヤンマ模型といえば、以前デイリーポータルZライターのこーだいさんが、飛び回るオニヤンマを自作していた。
これはすごい。頭上で旋回するオニヤンマを装備していたら、きっと虫も人も寄ってこられなくなるだろう。
記事中では、「(虫除けの効果については)これからじっくりと調べてみる」と締めくくられていたが、その後実際効果があったのだろうか。
こーだいさんに連絡をとり、「オニヤンマの模型で虫除けはできましたか?」と質問してみたところ、下記の回答があった。
ご明察の通り、重く、うるさく、邪魔なためデメリットの方が多かったですね……。木などにぶつかってオニヤンマが壊れるのも嫌なので、何度か試した後、家にしまってあります。
それとデイリーポータルzを読まない真面目な友達にこの話をしたら「それは……、着けてて恥ずかしくなったりしない?」と正論をぶつけられました。
「恥ずかしくなったりしない?」は、一番訊いてはいけないことではなかろうか。自分が言われた側だったら2日くらい落ち込んじゃうかもしれない。
こーだいさんのオニヤンマは、どうやら実用的な面で検証ができなかったそうだが、軽くて持ち運びしやすい「おにやんま君」ならその問題は解決しそうだ。
半月ほど持ち歩いて、その効果を検証してみることにした。
ちょっと邪魔ではあるが、巨大なトンボをぶら下げて歩いているのだと考えると面白い。
虫除けを塗らずにしばらく散歩してみたが、初日は蚊に刺されなかった。夏場の筆者としては快挙だ。
心なしか虫自体を目にする機会が減った。「おにやんま君、お前だったのか。いつも虫をよけてくれたのは。」と、某悲しいキツネの話の主人公のような気分になってくる。
ちょっと問題があるとすると、虫が苦手な人に配慮して、電車やお店の中ではそっとカバンにしまう手間が発生するくらいだ。
なんとなく効果を実感しはじめたところで、例年ものすごく虫に刺されるスポットに連れて行ってみることにした。
海辺は藪蚊どころか、ブヨやアブまでいる。毎年遊びに行ってはブヨに噛まれ、その後数週間は痒い思いをして過ごしていた。
毎日ぶら下げて歩いていたら、なんだかおにやんま君に愛着が湧いてきた。
海に行っても公園に行っても刺されないし、もしかしておにやんま君は最強の虫除けなんじゃないか……と思っていたところ、
夜のテラス席で食事中、足の指の矢印のあたりを蚊に刺されてしまった。どうして蚊はこういう、サンダルの境目のめちゃくちゃ痒いところを狙って刺してくるのだろう。
刺されてはじめて気がついたのだが、おにやんま君は「捕食対象の虫を怖がらせることで虫除けをする」という性質上、虫側から目視できていないと意味がない。
つまり、夜間やテーブルの下、服の隙間など、死角になるところは普通に狙われてしまうのだ。虫が慎重さに欠け、間抜けであるほど人間が狙われることとなる。
今までの散歩中は、水戸黄門の印籠の如くおにやんま君を見せびらかしながら歩いていたから、無事でいられたのだろう。
もはや全身に無数のおにやんま君を貼り付けて外出したい。
そして、検証中のある日……
これはおにやんま君の効果を試すチャンス!と、蚊におにやんま君を近づけてみたが、蚊は気づいているのかいないのか、一心不乱に血を吸い始めた。「捕食されてもいいから最後に血を吸いたい」とでも思っているのだろうか。
どうやら、すでに血を吸い始めてしまった虫にも効果がないらしい。
そんなわけで、半月間の検証が終わった。
筆者は3ヶ所蚊に刺された。内訳としては最初のサンダル際の1ヶ所、背中に1ヶ所、ワンピースの裾付近の足首に1ヶ所。どれもおにやんま君の死角になっていたであろう場所だ。
それでも、海ではブヨや藪蚊に刺されなかったし、夏場の半月間で3ヶ所というのは筆者としてはとても少ない。おにやんま君、好成績である。
「夜間の効果は期待しない」「なるべく虫に見せびらかすよう心がけて歩く」の2点を意識すれば、おにやんま君はなかなか優秀な虫除けグッズとして使えそうだ。
がんばれ!おにやんま君!!
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