よいお年を
アドベントカレンダーが終わり、クリスマスが終わり、ヨシダプロさんのひとり紅白の記事が公開され、あと少しで2021年が終わる。1年間本当にお疲れ様でした。よいお年を。
今年は妻も私もオリジナルのアドベントカレンダーを作り、互いに交換することになった。その先に待っていたものとは…。
結婚して4年目になる。付き合っていたときから数えると10年目である。正直、10年目のクリスマスともなると、プレゼントのレパートリーも底をつき、ややマンネリ化してくる。
そんな中、妻が突然「今年はアドベントカレンダーを作る」と言い出した。アドベントカレンダーといえば、12月1日から毎日箱を開けてクリスマスまでのカウントダウンを楽しむものである。実は妻も私も中学・高校が仏教系の学校なので正直あまり詳しくはない。(花まつりのアドベントカレンダーだったら8日で終わってしまう。)
しかし、箱を開けるのは楽しそうだ。我々も娯楽としてのアドベントカレンダーを楽しみたい。そこで今年は互いにアドベントカレンダーを作り、交換することになった。
この日、妻は「決して開けてはならない」と言い残し自室にこもった。途中、買い出しで100均やスーパーにも行ったようだ。思ったより相手はガチだ。あせる。
私はというと、まだ自分のアドベントカレンダーを作るわけでもなく、ひたすら構想を練っていた。
となるとまずはちょうどいい箱を探すことから始まる。この日はそれが決まっただけでも大きな進捗である。
ちょうどいい箱はダイソーですぐに見つかった。お薬カレンダーだ。正確な値段は忘れたが300円から500円くらいだった。
カレンダーであり、かつ、物を入れることができる。お薬カレンダーはアドベントカレンダーだ。しかしこの小さいポケットに何を入れるか。サイズ的にシールがちょうどよさそうだ。
妻は相変わらず部屋にこもっている。「材料が足りなくなった」と言い再び買い出しに出かけていた。ハサミやカッターも持ち込んで作業をしている。本格的な工作のようだ。こっちはお薬カレンダーなのに。
妻のアドベントカレンダーはついに完成したようだ。しかし、お披露目するまでは部屋に入ることが許されない。
いっぽう私はいよいよ中身のシールづくりに着手した。1日1枚として計25枚のシールを作ることになった。白紙にペンでイラストを描き、シール用の紙に印刷する。
25個のイラストを描くのに、全部で30分かかった。あとはそれを印刷してカットしておわり。総工数1時間である。
いよいよ明日からアドベントカレンダーが稼働する。まずはお披露目会である。
さすがにちょっと待ってほしい。誰がどう見ても差がすごい。正直これはまずいと思った。あまりにも熱量が違いすぎる。もし今後離婚するようなことがあれば、間違いなくこれが最初のきっかけである。
いよいよアドベントカレンダースタートである。アドベントカレンダーの箱を開ける時間帯は朝なのか夜なのかよく知らないが、我々のルールとして「日付が変わったら開けてよい」ということにした。
さっそくアドベンドカレンダーを開けてもらう。
こんな感じで微妙な気持ちになるシールがあと24日分ある。妻はまあまあ笑ってくれていたので良しとする。
一方、妻作のすごいアドベントカレンダーを開ける。
しかしちょっと待ってほしい。パッケージに矢印のシールが貼ってある。一体何だこれは。
何?ひょっとしてこれは謎解きなのか?手が込みすぎていていよいよこわい。エンターテインメントがすぎる。
それと同時に「これは記事にしたら面白そうだ」というよこしまな考えが浮かび、急遽記事にさせてもらった次第である。
これから毎日、寝る前に箱を開ける。このわくわく感は本来のアドベントカレンダーの役割である。シンプルに楽しい。少なくとも私はめちゃくちゃ楽しい。これから毎晩変なシールを見させられる妻の気持ちは分からない。
1日目が J で、2日目が V である。 ああこの謎はたぶん本格的なやつだ。出てきた順に読むものじゃない。しかも英語だ。V がつく日本語など存在しない。もしかすると最終日まで解けないやつだ。この先3週間モヤモヤさせられるアドベントカレンダーだ。
そこからは早かった。師走は時の流れがはやい。仕事も生活もなんだか忙しい。しかし、毎晩シールやお菓子でひと笑いしてから寝るというルーティーンはとても良いものだった。その様子をダイジェストでお届けしたい。
ちなみにくるりは現在2人だ。
そういえばシールの順番に意味はなく、単純に思いついた順である。 それ以外に順番の決めようがない。
無限いすゞは妻のウケが良かった。いっぽうクーピーの終わりはそんなにだった。9年一緒にいるがいまだに笑いのツボが難しい。
インターネットの世界でもアドベントカレンダーが流行っている。IT系の記事だったり、なにかテーマに沿ったブログだったり。でもやっぱり物理アドベントカレンダーが間違いなく一番わくわくする。
「こういうのにミンティアとかも出てくるんだ~」と思った。
腐ったミカンはけっこう自信ある。うまく描けたと思う。
しかし楽しい日々もあっという間。気がづけばクリスマスイブである。妻のアドベントカレンダーは24日目が最後の箱だ。
カメカメSOURSではなく右側面に着目してほしい。
いよいよ明かされるのだ。妻のアドベントカレンダーのお菓子には毎回矢印のシールが貼られており、アルファベット1文字を示していた。その謎を解けということなのだろう。
しかし意味が分からなすぎる。謎解きにしてはかなり情報が少ない。妻曰く、これだけで解けるらしい。
いや分からなすぎる。せっかく面白そうな謎を作ってくれたのに、まったく解けそうな気配がない。モヤモヤする。
結局その日は布団の中で「JVVY…JVVY…」と唱えながら考えているうちに眠ってしまった。しかし一晩寝たから解けるようになっているというわけでもなく、ただ謎解きでモヤモヤするクリスマスだ。
そもそもこれは一般的な謎解きなのだろうか?妻が私に宛てた謎解きなのだから、共通の趣味がヒントになっているのかもしれない。
・BUMP OF CHICKENの曲名の頭文字
・TV版エヴァンゲリオンの各話の英語タイトルの頭文字
・チェスやトランプ (QはQUEENの頭文字?)
など、いろいろ考えたがどれも見当違いのようだ。さすがに解けなすぎるので、ヒントを小出しにしてもらった。
ヒント①「並べ替えではない」
ヒント②「シールを見るとひらめくはず」
ヒント③「00が何を表すか」
いや~、分からん!!!!
しかし突然、ある考えが思い浮かぶ。矢印がアルファベット、00が数字を表し、引き算になっているということは、アルファベットを数字の分だけ戻せばいいのでは?
出てきたのはITSUMOARIGATOUTOTEMOSUKI (=いつもありがとう とてもすき) というメッセージだ。妻~!ありがとう~!!これ以上のノロケは見てられないのでここまでにします。楽しかった~!!
記事の途中でも述べたが、確実に楽しかった。妻のアドベントカレンダーは装飾も綺麗だし謎解きにもなっていて工夫されていた。私のアドベントカレンダーはただの変なシールだがほぼ毎日軽く笑ってもらえたのでひとまずよかった。アドベントカレンダーは作るのも貰うも楽しい。
せっかくなので最後に私のシール全26枚を載せておきます。
アドベントカレンダーが終わり、クリスマスが終わり、ヨシダプロさんのひとり紅白の記事が公開され、あと少しで2021年が終わる。1年間本当にお疲れ様でした。よいお年を。
2022年2月19日(土)・20日(日)に代官山UPSTAIRS GALLERYで個展を開きます。過去のほりげーやデイリーポータルZでの企画を実際に遊んでもらえる形で展示する予定です。アコースティックバンド演奏もやります。入場無料。もしよければお越しください。
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