コールスローサラダの定義は意外とゆるい
コールスローサラダがどんなものか、なんとなくはみなさんご存知ですよね? ケンタッキーのサイドメニューだったり、コンビニの小さなパック惣菜コーナーに定番として置いてあるような、キャベツやコーンが入った、味のベースはマヨネーズなことが多いあれです。
そんなコールスローサラダを食べていたところ、なんとなく、そもそもコールスローサラダとはなんなのだろうか、ということが気になりました。そこで調べてみると、大まかに以下のようなことが判明。
・コールスローサラダとは、細かく刻んだキャベツを使ったサラダのこと
・その歴史は長く、おそらく古代ローマ時代から食べられていた
・当初はサラダ油と酢、もしくは「ヴィネグレット」と呼ばれるドレッシングなどの調味料で味つけされていた
・18世紀に入り、瓶詰めのマヨネーズが発明されると、その相性の良さから爆発的に普及した
・語源は、オランダ語の「koolsalade(キャベツサラダ)」を短縮した「koolsla(コールスラ)」
あれ? じゃあ極論を言ってしまえば、コールスローサラダって、「キャベツを使ったサラダ」ってこと? 意外と定義、ゆるくない? もっとフリースタイルでいいってこと?
よし、思いつくままに作っていってみましょう。
1:コールスローサラダ
そもそも、コールスローサラダにハマったきっかけというのがこれでした。
右の取手にひもが付いていて、中に野菜などを入れ、ブーンと引っぱるとあっというまにみじん切りができてしまうというすぐれもの。
少し前にとある取材の中で、「みじん切り器を買ったら楽しくなって、キャベツ丸々1個ぶんをみじん切りにしてしまい、それをコールスローサラダにして日々食べている」というようなことを語ってくれた方がいて、それがうらやましくなって真似してみたら、僕もまんまとハマってしまったというわけなんです。
それでもかなりの量。ここに、
あ、もちろんコーン缶の水気は切っております。
これが今回のフリースローサラダのベース。世のレシピを見ると、加える野菜も割と自由っぽいんですが、個人的にやっぱりこのふたつは外せないんですよね。
ここに、僕の場合はシンプルに、マヨネーズと酢少々を加えてよく混ぜ、
の完成。僕はたいてい目分量で作ってしまうので、まずちゃんと作ってみたい方は、料理本やレシピサイトなどを参考にしてみてください。
シャキシャキキャベツとコーンの甘み。ほのかな酸味。これを大量に作って、黙々と食べながら晩酌するのが、最近のマイブーム。
では、ここからはもっとフリーダムな「フリースローサラダ」を作っていきましょう。
2:無限スローサラダ
美味しすぎてピーマンが無限に食べられる「無限ピーマン」なんてレシピが流行ったのをきっかけに、「無限〇〇」が世にあふれました。「無限〇〇のもと」なんて商品も何種類か発売されていて、一度試しに買ってみたところ、確かにクセになる美味しさ。ただあれって、野菜×油×塩気という間違いのない組み合わせに、アクセントとしてパリパリの「揚げ麺」が加えてあって、要するにこの揚げ麺こそが、最大の「無限」要素なんですよね。きっと。
シンプルにコールスローサラダに混ぜてみます。
うぉー、ぐんと中毒性が上がった!
ただでさえ食感の楽しいコールスローサラダに、第3の食感と香ばしさが加わり、確かにこれは「無限」だ。いや、正確には、無限に食べられるものなんてないので「有限」ではあるのですが、気持ち的に「無限」。そのくらい美味しい。ばっちりです。
3:トーフスローサラダ
オーソドックスなコールスローサラダに、濃厚まったり系の豆腐、醤油ちょろりを足してよく混ぜてみました。
あ、急に和食になる。そうか、言ってみれば「キャベツとコーンの白和え」だもんな。新食感なんだけどどこか懐かしい、ほっとする美味しさ。
4:キーマスローサラダ
オーソドックスなコールスローサラダに、常温のレトルトキーマカレーを同量程度加えてみました。
う、うわー、これは……うまい! エスニック料理屋へ行って前菜としてこれが出てきたら、間違いなく料理名を聞いてしまうことでしょう。そりゃあまぁ、キーマカレーを具沢山にしたと考えれば美味しいのも当然か。
っていうかもしかしてこの企画、そもそも失敗しようがないというか、ただいろんな料理にキャベツとコーンを足してるだけなのかな……? いやしかし、ここまで来たからには立ち止まっていられません。それに、失敗がないならそれに越したことはないじゃないですか。別におもしろさなんて求めなくとも。よし、次いこう!
あ、ちなみに今回使ったカレー、なんとなくで選んだスーパーの西友オリジナルの「爽やかにカルダモン香るキーマカレー」というやつだったんですが、そもそもこれがめちゃくちゃ美味しかったです。しかも150円とお手頃。また買おっと。
5:コリアンスローサラダ
ここからはさらにフリースタイルに、マヨネーズやお酢も別の調味料に置き換えていったりしてみます。
キャベツ、コーン、ゴマ油、韓国海苔、ゴマ、韓国唐辛子、そして、前に大久保で買った「万能のもと」という調味料を加えて味つけ。
ひぇ~! 美味しすぎて気絶しそう。ノリのサクサク感、全体の辛しょっぱさ、そして引きたつコーンの甘み。箸もお酒も止まりません。
これ、丼やサンドイッチなんかの具にしても良さそう。
6:イタリアンスローサラダ
キャベツ、コーン、オリーブオイル、塩コショウ、粉チーズたっぷり、そして相性の良さそうな生のマッシュルームを加えてみました。
はたしてこんな組み合わせのイタリア料理があるのかどうかは知りませんが、オリーブオイルやチーズをふんだんに使ってるので、イメージでイタリアン。これまた美味しいな~。
キャベツと生マッシュルームのニュアンスの違うサクサクが、今まで食べたことのない小気味良い食感を生み出しています。オリーブオイルの爽やかさ、マッシュルームの大地を思わせる香り、チーズのコク。全てがあいまって、これまでで一番「料理」って感じ。
7:もんじゃスローサラダ
キャベツ、コーン、マヨネーズ、ソース、ベビースターラーメン、揚げ玉、紅生姜、青のり。いわば、もんじゃのタネの小麦粉抜き。
な、なんだこりゃ~! うますぎる!
紅生姜の酸味と辛味に、揚げ玉やベビースターの食感に、定番のマヨソース味に……って、説明するまでもない、あの粉もん系のうまさ。それでいて食感はどこまでも軽快で、小麦粉を使っていないから、もしかしたらよりヘルシーな可能性もある。大量に作って「もんじゃスローパーティー」したい。熱々のもんじゃを投げあうパーティーと勘違いして、誘っても誰も来てくれなそうだけど。
8:ばくだんスローサラダ
よく居酒屋に「ばくだん納豆」なんてメニューがありまして、細切れにしたお刺身や薬味と納豆があえてあるという間違いのないおつまみで、僕の大好物でもあります。それをコールスローベースで。
入れたのは、キャベツ、コーン、ゴマ油、ワサビ醤油、マグロ、サーモン、ブリ、ちぎった海苔。
嘘でしょお? これすらも違和感ないの? コールスローの受け皿、広すぎない?
初めての体験なんですけれども、お刺身とコーンの相性にまったく違和感がありません。むしろ、コーンの甘さがお刺身の味わいを上品に引き立てている。これは発見かもしれないぞ。
という経緯で副産物的に生まれたメニュー、
も、これまた笑える美味しさです。
9:コールスローサラダせんべい
単なる駄洒落ではありますが、コールスローサラダをサラダせんべいにオン。
見た目はふざけてますが、サラダせんべいがすごくジューシーな印象になって、間違いなく美味しいですよ。
10:コールスローサラダ焼き
先ほどもんじゃスローサラダを作ったときに感じたことですが、そもそもコールスローサラダの構成要素、粉もんとの親和性が高いです。では、焼いてみてはどうだろうか? ただ、小麦粉を足してしまえばそれはもはやもんじゃかお好み焼き。そこで、コールスローサラダに生卵だけを加えてよく混ぜ、焼いてみることに。
熱したフライパンに流し込んでみると、ふわっふわのとろっとろのゆるっゆる。
慎重に慎重に、せーので裏返し……
これを食べてみて衝撃を受けたわけですけども、なんとですね、コールスローサラダ焼き……単なる「野菜入りオムレツ」でした!
フリースタイルコールスローサラダ「フリースローサラダ」。早めの段階でわかっていたことですが、基本がキャベツとコーン、つまり単なるサラダ要素なので、失敗というものがありませんでした。が、それは逆に、コールスローサラダには無限の可能性があるということ。だって、当初は好み度、うまくいった度を5段階評価などで記録していこうかとも思ったんですが、ぜんぶ美味しいんだもん。
強いていえば、今回の実験をして残ったキャベツとコーンは、すべて「もんじゃスローサラダ」にして食べたので、個人的にはそれがいちばん気にいったということなのかもしれません。いやでも、単にその時の気分だっただけかもしれません。
ちなみに、この企画を担当編集の古賀さんにご相談した時、古賀さんがこんなことをおっしゃられていました。
「死んだ祖母が、朝食にかならず作ってたサラダがあるんですが、今考えるとそれマヨネーズ前夜のコールスローサラダだったのかも。千切りにしたキャベツとキュウリを酢と油と塩でもんだものでした」
古賀さん、それ間違いなく偶然のコールスローサラダ!
実際に作ってみると、食のバリエーションが増えすぎた現代社会において、どこか物足りないような、だからこそほっと安心するような、酢と塩と油で揉んだ野菜そのものの味。「あぶら酢の物」とでもいうか。たまに食べたくなって、作ってしまいそうです。