おじいちゃんちの裏山で見つけた実
おじいちゃんちの裏山を歩いているとき、食べられそうな緑色の実を見つけた。
調べてみるとハヤトウリという植物のようだった。wikipediaを読むと食用であり、日本の暖地で一部野生化しているなどといった記述がある。
祖父と暮らしていた時期には食卓で見たことがなかったので、なんらかの理由で勝手に育ったに違いない。
そういえば、このまえ稲刈りを手伝ったときにはムカゴを見つけたのだ。ウリもムカゴも特別に好きなわけじゃないが、食べられるものが裏山で見つかるのは気分が上がる。テレビで見る無人島生活みたいだ。
ほかに食べられそうな草もどこかしこに生えているし、手当たり次第に拾い集めて満腹になってみたい。
裏山をバイキング会場とする
それでは裏山にある食べ物を探しにいこう。
ここは主に田畑や栗の林として活用されている山だが、今回拾っていいのは自生のものに限定する。自然に生えてきた植物もたくさん茂っているのだ。
わかりやすい野草を集めよう
はじめは手頃なところで、食べられそうな野草を集めていこう。野草にはあまり詳しくないのでおぼろげな知識と鼻を頼りに探す。
普段は気にもとめない野草だが、ひとたび嗅ぐと脳が食べ物と認識するのがおもしろい。ふきのにおいで小学校給食で出てきた「生節とふきの煮つけ」を思い出した。みんな残してたやつだ。
野草の旬もなにも知らないが、たぶんどちらとも食べられるだろう。旬を限定するなんていうのも贅沢な話で、動物は眼前にあるものを食べるしかないのだ。
ネギみたいな野草が見つかった。これってなんだっけ……ノビルか。ノビルだ。ノビルはスイセンと似ていて、スイセンは毒草だから危険みたいな話があった気がする。ぜんぶ曖昧だ。
根を掘り返してみよう。ノビルなら小さな玉ねぎのようなものがついているはずだ。
やっぱりノビルだった!ぼやけた知識と勘で掘ったのが当たって嬉しい。そして軍手とスコップの必要性に気がついたのは掘り出したあとだった。行き当たりばったり。
思いもかけず大収穫である。草の類いはこんなところでいいだろう。
あとは初めに見つけたハヤトウリを採りに行こう。
ハヤトウリがたくさん
ハヤトウリはツル性の植物で、ほかの樹木から垂れ下がっているものもあれば、地上付近に生っているものもある。初めに見つけたのは頭上高くになっているものだった。
ハヤトウリは硬くてゴツゴツしている。個体によってはトゲもあるが、めちゃくちゃ危ないというわけでもなさそうだ。
実はずっしりと重いので、これがいくつかあれば満腹の夢は叶うだろう。成し遂げた。こんなものが自生しているなんてすごすぎる。
ハヤトウリのメジャーな使い道は漬物だが、油で炒めたりスープにしたりしてもいいそうだ。冬瓜みたいな感じになるのだろうか。楽しみだ。
よし、もう下山しよう。ついでに食べられる実が山になっていることを教えてあげないと。これはもったいないよ。
ちょうどおばあちゃんが庭にいたので収穫品を見せびらかした。その瞬間、祖母の表情が曇る。
「そのウリは他所のやつじゃが」
よその……?僕は野菜泥棒ってこと?

