小出し記事 2021年8月26日

はじめての発酵調味料づくり「甜麺醤と豆豉(仕込み)」編

前回、自分で発酵させずに作れる甜麺醤と豆豉醤を作ってみたところ、あっさり完成してしまった。

改めて思う。とんでもない時代だ。インターネットに記録を残してくれた人たちのおかげで、目玉焼きひとつまともに作れない人間でも、あっというまに「甜麺醤や豆豉醤を作れる人」になれちゃうのだ。

せっかくなら、もっと大変そうなやつにも手を出してみたい。甜麺醤と豆豉(豆豉醤に入れる発酵食材)、自分で発酵させるバージョンに挑戦してみよう。

編集部よりあらすじ:3文字の漢字の調味料「豆板醤、甜麺醤、豆鼓醤」の違いがわかりづらい。手作りすれば違いを認識できそうだ。連載企画の3回目は豆鼓醤と甜面醤を仕込みます。

1981年群馬県生まれ。ライター兼イラストレーター。飲食物全般がだいたい好きだという、ざっくりとした見解で生きています。とくに好きなのはカレー。(動画インタビュー)

前の記事:はじめての発酵調味料づくり「甜麺醤と豆豉醤(簡易版)」編

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小麦粉から調味料が生まれる不思議

というわけでまずは、「小麦粉から甜麺醤を作る」をやってみたい。

小麦粉のことを、粉もんの材料としてしか意識したことがなかったため、想像がまったく追いついていないが、手を動かしたら見えてくる世界があるのかもしれない。

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そう思い作りはじめたところ、まず、どの小麦粉を使えばいいのかで戸惑う

小麦粉、何を使えばいいのかがわからないぞ。

仕方がないので、パッケージに「パン」と書いてあるのをみて、発酵を連想し、そのイメージだけで、強力粉を使ってみることにした。

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材料は4種類。おおむね白い。無印良品のような雰囲気がある

小麦粉から作ったという人のブログなどを参考にしながら、材料を揃えてみた。小麦粉、小麦粉を練るための熱湯、塩、麹、以上。ミニマルというワードが脳をよぎる。

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まずは小麦粉を入れ……
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熱湯を注ぎ……
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練る
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さらに練る
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だんだんまとまってきた

餃子かなにかの皮を作っているような気分になってきたが、今日はそっちじゃない。いったん餃子のことは忘れてくれ。そう自分に言い聞かせながら、練った小麦粉に塩と麹と加えていく。

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ビニールに入れたほうが、混ぜやすいかなと思い入れてみました
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まんべんなく混ざるように、ひたすらもむ
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おおよそ10分後、だいぶ混ざってきた

ごつごつした粘土をこねているみたいだ。この固さなら、象の置物とか作れるかもしれない。

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謎の物体感がすごい
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ふと、これ本当に食べものなんだろうか……という気持ちが芽生える
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口にしてみたらどうなるんだろう
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しょっぱい!食べられなくないけど、現時点ではおいしさが限りなくゼロ。甜麺醤の特徴ともいえる甘さもゼロ
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この物体、ちゃんと甜麺醤になれるのだろうか………

混ぜるのにそう時間はかからなかった。だが、ここからが長い旅路だ。諸説あるが、熟成までには1年近くかかるらしいのである。

2022年8月、そのころ世界はどうなっているんだろう。

みんな3回めのワクチンを受けているんだろうか。来週から始めようと思っているダンベル体操は、無事にちゃんと続けられているだろうか。いや、そもそも始めることができるのだろうか。

白い塊をただ眺めているだけで、さまざまな思いが胸をよぎってしまう。こわい。

これこそが、今すぐ食べられない食べものの凄みなのかもしれない。ごく自然に目線が未来へ向かってしまう。

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豆豉も作ろう

続いて豆豉も作ってみたい。豆豉とは、大豆や黒豆に塩や麹を加え、発酵させたあと、干して水分を減らして仕上げる発酵食品だ。豆豉醤の主な原材料である。

レシピが見つからずに困っていたのだが、京都で作られている大徳寺納豆とほぼ同じ作り方である、という話にたどり着いた。

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まずは大豆を用意

思えば乾燥した状態の豆を、自分でふかふかにした経験がない。作り方の裏側を読んで震えた。工程ごとにかかる時間が長い。

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豆を水に6〜8時間つけると書いてあった。1日の労働時間なら悪くない長さだが、調理時間にしては長い
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しばらく置いておいたら、水面が見えなくなるくらい、豆が水を吸い込んでいたことにもびっくりした

レシピによれば、豆を煮てふかふかにしたら、そのあと、「はったい粉」をまぶす必要があるらしい。

「はったい粉」とは……? 初めて聞く名前だ。

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調べたところ、大麦を
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キツネ色になるくらいまで炒って
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すりぶして粉状にしたものらしいのだが……

困った。ぜんぜんすり潰せない。我が家のミニすり鉢では太刀打ちできない、威風堂々とした固さだったのである。

次回、文明の利器(ミルミキサー)を手に入れたところから、続きを書かせてほしい。

 

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