とにかくいいものが出来た
何でも気分だけ再現するのは最高だ。
パソコンに詳しくなくてもいいし、どこかのシステムに侵入したり逆に危機に立ち向かわなくてもいい。
今回のプログラムは特に終わりを作らずに永遠にハッカー気分を味わえるようにしてみた。
何かゴールを作った方がいいかな…と開発中は思っていたけど、今にして思うと延々遊べる方がいい。
何も達成せずぼんやりと気分だけ味わえるプログラムはとにかく平和なのだ。
ドラマやアニメでハッカーがキーボードをすごい勢いで叩くと、パソコンのモニターに色々な画面がどんどん出てくる演出がある。
具体的にどんなことをしているのかはさっぱりわからないが、見た目がかっこいい。
あれを再現したら、誰でもハッカーの気分が味わえるのではないか。
先月の金曜ロードショーでサマーウォーズがやっていた。
「よろしくお願いしまああああす!!」と主人公が叫んでキーボードのエンターキーを押すシーンが有名な本作だが、そのちょっと前のシーンが気になった。
アメリカ帰りの天才プログラマー・侘助がパソコンのキーボードをバババと叩くシーンだ。
画面にはプログラムやプログレスバー(進捗が100%になるまで棒が伸びるやつ。ソフトをインストールするときなどに出てくる)がたくさん出ていた。
それぞれの画面がなんなのかはわからないものの、猛烈にキーボードを叩いて敵と対抗するのがかっこいい。
システムに攻撃を仕掛けたり、逆に守ったりとドラマやアニメではこういったハッカーっぽい演出がよく出てくる。
本当のハッカーはたぶんこういう派手な画面は使わないだろう。僕は本業がプログラマーなので、なんとなくわかる。
でもそれは野暮というものだ。野暮とは無縁の人生でいたい。
派手な方がかっこいいし良いのである。
ひたすらキーボードを打つだけで派手な画面がたくさん出てくるような、ハッカー気分を味わえるプログラムがあったら面白いんじゃなかろうか。
ということで作ってみた。ハッカー気分を味わっている様子を見てほしい。
ハッカーだこれ!演出上のハッカー!
やってみると楽しくてずっと遊んでしまう。思ったよりいいものが出来た。
背景をパソコンの壁紙から地球に変更したところ、壮大さが5倍くらいになった。
「早くしないと地球が!…間に合わない!」とかなんとか言えば、地球の危機を救おうとする主人公にもなれる。
このプログラムで出てくるウィンドウは本当のパソコンのウィンドウではなくて、全部画像だ。キーを叩くごとに色んな画像を出したり消したりしているのである。
気分を味わいたいだけなので、見た目だけなんとかなればいいという割り切りが出た。
ハッカー気分を味わうために様々な画像を作ったので紹介したい。
赤文字でばんばん警告するのはエヴァンゲリオンでよく出てくるので参考にした。
「警告」と漢字にすると、きっとよりエヴァっぽくなるだろう。
サンプルコードの内容が思いつかなかったので、桃太郎をプログラム風に書いてみた。
最後は「medetashi medetashi」を出力しておしまいになる。
静止画だけでなく、GIFアニメもいくつか用意した。
先ほどの静止画と比べて急にクオリティが上がったが、デザイナーをしている会社の先輩が作ってくれたのだ。
「ハッカーっぽい映像」というふんわりしたオーダーが完全に形になって出てきたので震えた。
先輩、実はハッカーなのかもしれないな。
最後にパスワードだ。
ドラマの中で出てくるパスワードはとにかく入力欄がでかい。
あと解除に成功したときの演出も派手だ。
Windowsのログイン画面も毎回こうであってほしい。
天才ハッカーなので、何を打ってもパスワードは解除される。
とにかくキーボードを叩きまくるのがポイントだ。
せっかく作ったので、みんなにやってほしい。
そう思いMaker Faire Tokyo 2019というイベントで展示をした。
やってきた子どもたちがキーボードを力いっぱい叩く様子が簡単に想像出来たので家に余っていた外付けキーボードを入力専用にしたのだが、「Happy Hacking Keyboard」というシリーズのキーボードだったので図らずもハッカー要素が増えてしまった。
息子は為房さんが作った「キーボードをガチャガチャするだけでスーパーハッカーみたいになる装置」を大変気に入っておりました。最後にエンターキーをターン!ってするのがコツです。 pic.twitter.com/NirjpWITcE
— 井上マサキ (@inomsk) August 3, 2019
子どもにも無事人気が出た。
老若男女関係なく楽しんでいた。みんな心のどこかでハッカー気分になりたかったのだ。
「気持ちいい!」「スクリーンセーバーで欲しい」という感想が多く出た。
ストレス解消にいいかもしれない。これからはハッカーセラピーだ。一儲けである。
何でも気分だけ再現するのは最高だ。
パソコンに詳しくなくてもいいし、どこかのシステムに侵入したり逆に危機に立ち向かわなくてもいい。
今回のプログラムは特に終わりを作らずに永遠にハッカー気分を味わえるようにしてみた。
何かゴールを作った方がいいかな…と開発中は思っていたけど、今にして思うと延々遊べる方がいい。
何も達成せずぼんやりと気分だけ味わえるプログラムはとにかく平和なのだ。
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