私、賢くなっちゃったかも
勿論、すべての飲み会なんて過ぎ去ってしまえば一瞬の儚い出来事かもしれませんけどね。なんて言うのかな~。私の知ってる言葉で言うと、そう。
「黄梁一炊の夢」
と表現すれば良いんですかね。
皆さん。飲み会で自分の知らない話題で盛り上がられると、あんまり楽しくないですよね?知ってる人と知らない人で会話の輪が二つに分かれちゃうこともありますし。
「この話は知らない人もいるから前提も共有しておくか」とか「あの人、つまんなそうにしてるな」とか、飲み会は意外に気を使うことも多いです。
しかし。知らない話題をされた側が、むしろ前のめりの姿勢で話を聞いてみたらどうなるでしょうか?
昨年、DPZライター唐沢むぎこさんの「談志コスプレをしてみたい」という特殊な願望を叶える企画をやりました。
初対面が極めて特殊な状況になってしまった、いや、特殊な状況だったからこそ、この日以降も2人の関係は続いたのです。今年7月には三文字さんの著作『台湾夜市大全』刊行記念で、唐沢さんをゲストに招いたトークイベントも開催されました。
このイベントの打ち上げで不思議な経験をしました。唐沢さんと三文字さんが私の知らない中国ドラマの話題で盛り上がり始めたのですが、不思議と聞いていてちょっと楽しかったんです。そのドラマを知っている人が私を含め他に誰もいなかったので2人はすぐ話を切り上げましたが、ずっと気になっていました。なんであの時、嫌じゃなかったんだろう?
8月某日。謎を解明すべく、居酒屋であらためて2人に思う存分その中国ドラマについて話し合ってもらうことにしました。
近況報告もそこそこに、早速ドラマについて語ってもらいましょう。
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いきなりトップギアで始まった2人の話の熱量は2時間制の居酒屋なんかで受け止めきれるわけもなく、当然のようにファミレスに移動、そして会話のテンションは2時間前とまったく変わらず続いています。
結局この日、私は4時間に渡って1mmも知らない話を聞き続けたんですけど、結果的にはやっぱり凄く楽しかったんです。自分なりにその理由が幾つか判明したので、解説してみようと思います。
今回は(私には関係ない話だな)なんて思わず、むしろ「なんの話?教えて!」と前のめりな姿勢で挑むことにしました。
すると「知らない話を聞かされる時間」が「知らなかった知識を吸収できる時間」に変わるんですね。今回2人の話を真剣に聞いたおかげで幾つも新しい発見がありました。
・2人がハマったのは『宮廷の諍い女(いさかいめ)』というドラマ→中国で2011〜2012年に放送された作品だが今なお圧倒的な人気を保っており、ネットミームになってたり検定やスタンプもあったりする
・清代の後宮を舞台とした、雍正帝から乾隆帝誕生までを描く全76話の長大なドラマ。裏切りや追放や陰謀、恋愛模様など複雑な人間関係と(ちょっとツッコミたくなる)劇的展開→日本でいう大奥のような内容。昔私がハマった『チャングムの誓い』や今大人気の『薬屋のひとりごと』など類似作品が色々と思い浮かぶ。東アジア各地で伝統的に人気のある形式なのかもしれない
・圧倒的な映像美→それ以前の中国ドラマも面白いのだが、ある段階から映像が格段に綺麗になったそう
・三文字さんも唐沢さんも中国語上達という目的で見始めた部分も少なからずあった→唐沢さんは言語交換をしていた中国人の友人に薦められた。異なる母国語を持つ2人がお互いの母国語を教え合う「言語交換」という文化自体、私は今回初めて知った。
ドラマの内容だけでなく、それに付随して自分が今まで触れてこなかった世界の知識がどんどん得られます。
時間が経つにつれ登場人物の名前や関係性、時代背景なども理解できてくるので、気が付くと自然に質問している自分がいました。
(*)「黄梁一炊の夢」 人の世の栄華や富貴、栄枯盛衰が、ほんの束の間で、はかないものであることのたとえ
あとシンプルに、好きなものについて語る人達って良いオーラが出てますね。
もはやなんの話をしてるかなんて関係ないのかもしれません。そんなことより楽しそうな人を笑顔で見守る。それだけでなんだか心が満たされてくるのです。
ちょっと②にも近いんですけど、「ああ、遂にこの話ができる相手が見つかった!」っていう瞬間の人間を目撃する喜びもありました。
後から調べてみたら確かに『宮廷の諍い女』って今でも人気が衰えていない伝説のドラマらしいんですけど、日本で知ってる人はかなり限られるはず。2人はきっと(こんなに面白いのに…)という忸怩たる思いを孤独に抱えていたと思うんです。
それが話せる相手が遂に見つかったんですから。嬉しかったでしょうね。後から写真を見返したら2人の動きが完全にシンクロしていました。
でも、私だって長年研究してる片手袋とか敬愛してるエルヴィスの話が同じテンションで通じる相手を見つけたら、こんな風になると思うんですよね。もはや2人が羨ましくなってきました。
いや~、自分の知らない話しかしてないとは思えないほど、楽しい飲み会でした。勿論、「知らない人の悪口を永遠に聞かされる」みたいな負のオーラに満ちた状況だと、どんなに頑張っても苦痛でしかないと思います。しかし今回のように、
| ・こちらの積極的に話を聞く姿勢 ・話している側の楽しげな雰囲気 |
が揃った場合は、知らない話題でも全然つまらなくないことが分かりました。皆さんも是非試してみて下さい。
ちなみに。私以外、同席したルーさんと四谷君はどう思ったのでしょう?唐沢さんが四谷君にLINEで感想を聞いてくれました。
いや、みんな楽しかったはずです。間違いない!
勿論、すべての飲み会なんて過ぎ去ってしまえば一瞬の儚い出来事かもしれませんけどね。なんて言うのかな~。私の知ってる言葉で言うと、そう。
「黄梁一炊の夢」
と表現すれば良いんですかね。
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