特集 2026年9月15日

私達の町は漬物石に支えられている

我々が暮らす町を支えるものとは何か?電気、水道、ガス、交通、学校、病院…。すぐに思いつくものは幾らでもある。「善意」や「協力」といった抽象的概念も必要不可欠な物だろう。

しかし私は気付いてしまった。我々の町を人知れず支えているもの。それは漬物石である。

1980年、東京生まれ。片手袋研究家。町中で見かける片方だけの手袋を研究し続けた結果、この世の中のことがすべて分からなくなってしまった。著書に『片手袋研究入門』(実業之日本社)。

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漬物石は死んだのか?

突然だが、白菜の漬物を作る。

漬物樽に刻んだ白菜、塩(白菜に対して2~3%)、柚子、鷹の爪、昆布などをお好みで入れる。白菜は風通しの良い場所で少し干すと良いが、時間がなければそのままでOK
漬物石で重石をする
涼しい場所で2~3日置く(夏場は温度管理注意)
完成

だが今は便利な漬物容器があるので、わざわざ漬物樽と漬物石を使う人は少ないかもしれない。 

少量でも漬けられるし、場所も取らないし便利

漬物石だって昔は本当の石を使っていたわけで、時代と共に廃れるものが出てくるのは仕方ないことなのだ。 

お前はもう役目を終えてしまったのか?

町には漬物石が溢れている

ところが。我々の暮らしにおいて、漬物石は依然欠かせない必需品であり続けている。ただ、現代における彼らの居場所は台所ではない。

彼らはストリートにいた

話は2020年10月に遡る。私は散歩中に出くわしたこの光景が気になり、なんとなく写真を撮った。 

(路上に漬物石?なんか地面漬けてるみたいだな)と思った

約一か月後。同じ場所がこんな風に変化していた。 

漬物石、増えた!看板や三角コーンを固定するためのものだった

その後も路上で漬物石が活躍している場面に何度も出くわした。(頑張れ!)。気が付けば私の心に彼らを応援するような気持ちが芽生え、今日まで6年間、ひたすら写真を撮り続けてきた。

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使用法を分析してみる

撮影と観察を続けるうちに、使用方法に幾つかのパターンが存在することが分かった。

①重石

一番単純、かつ最大派閥の使用法である。ブルーシート、ビニールカーテンなど薄くて軽いものを固定する時は勿論、看板などある程度重量があるものにも利用されている。

縁日やイベントの屋台周辺でよく見かける
ゴミ捨て場のカラス除けネットを固定している
飲食店のテラス席のビニールカーテンを固定
雑貨や店頭のスタンドを固定。店内でスタンバっている漬物石も見える
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②ストッパー

上に置くのではなく動かしたくないものの前や後ろ、あるいは前後を挟む形で漬物石を配置する方法。

存在感あり過ぎのドアストッパー。扉の重さがうかがえる
キャスター付きの物が動かないよう漬物石が押さえている光景もよく見る
両隣でがっちり固定。オセロだったら真ん中の三角コーンも漬物石になってる
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③紐

漬物石の取っ手部分を上手く活用している。暖簾や提灯など、飲食店で見かけることが多い。重石タイプの次によく見かける。

かつ丼セットにお新香も付いているんじゃないか?という期待感を抱いてしまう
漬物石と暖簾を結ぶ紐のチョイスにセンスが表れる。暖簾の緑と紐の赤
提灯から漬物石までストンと一直線のラインを描いており美しい

④台

珍しく重石としてではなく、何かを乗せる、あるいは高さを出すために利用されるパターン。

傘立ての台になった漬物石。よく見ると隣ではストッパーとしても活躍している
台を水平にする高さ調整として利用されている。どのタイプであっても2個重ねは頻繁に目にする

⏩ どのパターンにも当てはまらない「無」の漬物石

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