食品サンプルの魅力
食品サンプルって精巧ですごいなと思う反面、その実の魅力は「やっぱりどこかただようフェイク感」だと思うのだ。
本物以上にあざやかで、テラテラと輝くあのツヤ。本物みたいだけど決して本物じゃないということに可愛さを感じる。
そんなフェイクをパクッと食べられたらこれは面白いんじゃないか。「美味しそうだけど食べられなそうなものを食べる」のだ。
そういったわけで今回は本物の食品を、食品サンプルのような質感にして食べてみようと思う。
なんだか分かりにくいので太字にして開き直ってスタートです。
まずは寿司から
着手にあたり、最初に選んだのは寿司だ。
寿司の食品サンプルというと、よくキーホルダーになったりして外国人向けのお土産になってるのを見たりもする。食品サンプル界で一定の地位を築いているといえる。
寿司のサンプルが本物と違うのは圧倒的にそのツヤだと思う。実物にはないテラテラが、冷静な目で見るとロウの固さを思い出させる。
ということは、実際の寿司をテラテラさせれば食品サンプルっぽくなるんじゃないか。
せっかくの寿司に油を塗るのはやや気もひけたが、食品サンプルを食べられると思えば仕方がない。そもそも“脂がのっている”って寿司にとってはほめ言葉なわけだし、脂が油でもきっと大きな間違いはおこらないはずだ。
と、もごもごしながら油を塗ってみた。食品サンプルほどのテラテラを再現するにはかなりの油を塗らねばならなかった。食品サンプルって高カロリーだったんだあ。
油を重ね塗ること3,4回。目の前に食品サンプルが現れたではないか。
残念ながら軍艦系は油がぬりにくく、トロなどの魚の切り身はモノホンの寿司ならではの形のくずれがあって食品サンプルに見えなかったのだが、玉子と甘エビがやってくれた。
どうでしょうか、かなり食品サンプルっぽくみえるのではないか。
まだ食品サンプルっぽく見えないぞという方、最初は食品サンプルに見えなくてもじっと見ているとなんとなくそれっぽく見えてきますよ。
どうでしょうか。見えてきましたか。
……。私にはかなり食品サンプルっぽく見えているのだが、なんだかちょっと心の目をひらけ! みたいなことになっていなくもない。
ちなみに味は当然だけどかなり油っぽい。醤油のお皿が餃子を食べた後のようになった。
もっと食品サンプル風に見せることはできないだろうか。それで思いついたのが汁ものだ。