イトウを食べたい
1960年代、イトウは北海道の42の水系の河川に生息していたことが当時の捕獲記録などからわかっている。しかし、2000年代以降の調査では15前後の水系でしか生息は確認されていない。多くの水系でイトウは姿を消したのだ。
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私は川魚が好きだ。釣りもするし、釣ったものを食べもする。海の魚とは違う美しさを持っている。ヤマメのパーマーク(身体の横についている模様)なんて宝石のような美しさだ。食べても美味しい。ヤマメは刺身でも塩焼きでも食べたことがあるけれど、臭みはなく甘味があり美味しかった。
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上記の写真の右下を見ると「幻の魚」と書いてある。私だけがイトウを幻と言っているのではなく、共通認識としてイトウは幻なのだ。その理由は先にも書いたように生息する場所の減少などだ。
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イトウは現在、環境省が定めるレッドリストで絶滅危惧種に指定されている。ただし養殖は行われている。以前、山梨の養殖場で見かけたことがある。青森の鰺ヶ沢町では1985年から養殖を始めている。
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つまり鰺ヶ沢に行けばイトウを食べることは可能なのだ。ただ近所のスーパーの鮮魚売り場に売っているみたいなことはまずない。食べたいという思いだけが曇り空の宙に漂い続けた。
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北海道でイトウが食べることができないか探した
北海道に行くとイトウをよく見かけた。それは標本だったり、水槽で展示されているものだったり、時にはぬいぐるみの時もあった。野生のイトウが北海道にはいるから、そのような展示が多いのだろう。
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イトウを食べるなら北海道なのかな、と勝手に思っていた。釣りキチ三平でもイトウを釣っていたが、あれも北海道の釧路湿原だった気がする。そのため、北海道に行くとイトウを食べることはできないかと探した。
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結果的に食べることはできず、イトウの写真をたくさん撮った。あちこちで見たのでイトウの写真だけがたまるのだ。食べることはできていない。だって展示されているだけだから。あとイトウの顔は牧歌的に感じた。
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かつては北海道にたくさんいた
1928年から1935年にかけて水産庁が世界初のイトウの孵化放流事業を屈斜路湖で行なった。その報告書によれば、屈斜路湖には1500尾を超えるイトウが遡上していた。現在、北海道でトップクラスのイトウの生息数を誇る猿払川ですら、流域全体で1000尾前後とされるので、屈斜路湖だけで1500尾はすごい数だ。ただ昔の話だ。
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その昔はどのくらいイトウはいたのだろうか。今よりいたのは先に書いた通りだ。また北海道には「知来乙(チライオツ)」という地名がある。かつては「知来乙駅」もあった。由来はアイヌ語で、「チライ」は「イトウ」を意味し、「オツ」は「群生・群来」を意味するので、イトウがたくさんいる、ということになる。地名になるくらいいたのだ。
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アイヌ語にはイトウを示す言葉がもう一つある。それは「オビラメ」だ。「チライ」とは区別されていたようで、オビラメは阿寒湖、屈斜路湖、チミケップ湖にしか生息していなかったとされる。現在、これらの湖固有のイトウは絶滅している。
阿寒湖ではイトウを販売している、だが
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阿寒湖では1970年代まで固有のイトウが生息していたけれど、先に書いたように今は絶滅している。現在、阿寒湖にいるイトウは1990年代に導入された石狩川水系空知川産系統のイトウだ。そして、阿寒湖ではイトウを養殖している。そう食べるために。
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阿寒湖はマリモで有名だ。またウチダザリガニをレイクロブスターとしてブランド化して販売もしている。イトウもまた販売されているのだ。ちなみに私が阿寒湖に訪れたのは2023年7月のことだった。売っていなかった。
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大盛況で在庫がないそうだ。私は行けば売っていると思っていたから、売っていなくて急いで調べたら上記のようなアナウンスがあって驚いた。イトウを食べることは難しいのかもしれない。青森の鰺ヶ沢町に行くしかないのだろうか。