バスセンターのカレー
ホテルの朝食会場で教えてもらった情報によると、新潟市はバスセンターが独特だから行った方がいいいとのこと。バスセンターってただのバス乗り場じゃないのか。独特ってどういうことか。
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バスセンターはその名のとおりバスの発着所だった。ここから他の都市へ行く高速バスに乗ることができる。ロータリーの周りにはお店があって、バスを待つ間に買い物ができる便利な構造になっていた。
このバスセンターのロータリーにほど近い一角で、取材班はみんなが何かを食べている光景を目にした。
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みんなが食べているのは「バスセンターのカレー」だった。これまでもメディアで取り上げられたりして、今ではこれを食べにバスセンターにやってくる人もいるのだとか。
なぜバス乗り場でカレーなのか。わけもわからぬまま食券を買って列に並ぶ。
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バスセンターのカレーは週末や新潟で大きなイベントがある日には売り切れることもあるらしい。
もともとはそばとうどん屋さんだったお店がカレーも出し始めたら人気となり、さらにアイドルの誰かがこのカレーのファンであることを明言したことで全国区になったのだとか。
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大きく切られた玉ねぎが実家っぽさを演出している。見た目だけではない、片栗粉でも入っているのか、というくらいもったりしていて、それでいてちゃんとスパイシーで懐かし美味いのだ。
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バスセンターの大判焼き
バスセンターにはもう一つおすすめしたい味がある。これはカレーを食べたあとで近くにいた人に教えてもらったお店だ。
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バスセンターのカレーの近くにある大判焼きとおにぎり屋さん。ここの栗入り大判焼きが美味しいぞ、と言われた。
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このお店の周りでも、やはりみんな大判焼きを食べていた。新潟は買ってその場で食べる文化圏なのなか、と思ったけど、たぶんみんな食べたあとバスで移動するからだろう。
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今回僕は高速バスには乗らないが、地元の人になりすまして栗入り大判焼きを買ってバス待ちのベンチで食べた。
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カレーも大判焼きも、言ってしまえばどこででも食べられるし特別に変わったものではない。だけどこのバスセンターのちょっと薄暗いターミナルで食べると妙に記憶に残るのだ。旅の思い出は味とセットで思い出すことが多い、それならばわかりやすい味がいい。バスに乗る前にこういう「わかりやすい味」を食べたくなる気持ちがよくわかった。
このあとバス乗り場で缶チューハイを飲んでいたおじさんにおすすめスポットを聞いたところ、「だったら古町あたり」とのことだった。これ食べたら行ってみよう。
古町から人情横丁
かつて新潟市では「古町あたり」に賑わいが集中していたという。幸い古町はバスセンターからは自転車で10分くらいのところだった。
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「ようこそ古町へ」と書かれた看板にしたがい整備されたアーケードに入ると、どこかちょっと不思議な感覚を覚えた。なんだろうこれは。
わかった、みんな道でお店を開いているのだ。
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もちろん商店街なので普通の、とういうか建物内でもお店が営業しているのだけれど、中央の通りの両端でオープンスタイルのお店が出展しているので、一つの商店街を倍使えることになる。
さらに建物内のお店も徐々に外へと張り出してきているので、いつか歩くところがなくなると思う。
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古町のオープンな商店街を抜けると、その先には人情横丁と呼ばれる通りがあった。
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人情横丁には飲食店から雑貨屋さん、洋服屋さんなどありとあらゆるお店が文字通り軒を連ねていた。
中でも魅力的だったのがこちらのお店。阿部さんという職人肌のおとうさんが営む鮮魚店である。
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阿部さんにおすすめを聞くと「銀ダラの浜焼き(600円)」とのこと。ではそれを、とお願いすると、向かいの席で待ってて、と言われた。
しかしお店の向かいは道である、席なんてない。
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阿部さんはテレビ「ブラタモリ」で自身が紹介された時の記事を開いて向かいの席のテーブルに置いておいてくれた。これから僕の注文した銀ダラを温めてくれるという。
待つことしばし。
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阿部鮮魚店は70年ほど続くお店。現在3代目だが、阿部さんは「たぶん自分の代でお店を閉めるだろう」と言っていた。このあたりは古いお店が多いので、どこもみんなそんなもんだよ、とのこと。それは寂しいな。
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銀ダラの浜焼きは30~40分ほど遠赤外線でじわじわと焼くため骨まで食べられるらしい。タラの骨って硬いイメージだったんだけど本当だろうか。
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銀ダラの浜焼きは表面はパリッと中はふわっとジューシーで、醤油の香ばしさが鼻に抜けると同時にうま味がしっかり凝縮されたふかふかの身が口の中でほどけていく。なんだこれは、なんだこのうまい食べ物は。
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阿部さんにこのあたりのおすすめを聞いた。
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白山神社
阿部鮮魚店で教えてもらったとおり自転車で走ると、5分くらいで白山神社の鳥居が見えてきた。
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阿部さんいわく、ここは新潟にある白山神社の中でいちばん有名な神社なのだとか。確かに広い敷地には庭園や池もあり、拝殿は見るからに威厳に満ちている。
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白山神社には「鯛みくじ」というおみくじがあった。そういえば僕は今年まだおみくじを引いていなかったのでちょうどいい(もう10月だけどな)。
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鯛みくじはおみくじをくわえた鯛を釣り針でひっかけて釣り上げるおみくじ。お祭りの屋台にありそうな仕組みだけれど、荘厳な拝殿のすぐ目の前にあるため、遊んでる感はない。
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白山神社は地元の人たちが散歩したり写真部と思われる中高生が映えそうな写真を撮影したりと、平日なのに人が絶えなかった。神社や公園、お城など、中心にあるシンボルによって町の雰囲気は違ってくると思う。