デジタルリマスター 2023年9月13日

“深海魚のぼり”を空に泳がす(デジタルリマスター)

こどもの日にかかげるものといえば「鯉のぼり」。ちょっと郊外に出れば、庭先にでかいのを掲げている家はそこここにあり、ついつい「あ、あそこは何匹」「お、あそこにはあんなに!」とカウントしてしまう。

ところでつい先日、テレビで岡本太郎の描いた「鯉のぼり」を紹介していた。また別の日には「マグロが大漁な村で、鯉のぼりならぬ“マグロのぼり”」というニュース。「ああ、鯉じゃなくていいんだ、自分で描いてもいいんだ」と、はっと気づいた。

じゃ、あいつらを大空のもと泳がせてみたらどうだろう。深海魚を。

2009年4月に掲載された記事を、AIにより画像を拡大して加筆修正のうえ再掲載しました。

1970年群馬県生まれ。工作をしがちなため、各種素材や工具や作品で家が手狭になってきた。一生手狭なんだろう。出したものを片付けないからでもある。性格も雑だ。もう一生こうなんだろう。(動画インタビュー)

前の記事:私の考えたフリスクデコ3つ(デジタルリマスター)

> 個人サイト 妄想工作所

単に作りたかったから作りました

旅の途中、田園地帯でいくらでも見つけることのできた、りっぱな鯉のぼり。

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基本の3人家族。

いいものである。日本の、めでたき風景。たぶん何十年と変わらぬであろう、よき風習。あの家では、さぞ子供らはうれしかろう。誇らしかろう。

自分では鯉のぼりを所有したことはないが、要は「魚」の「のぼり・旗」だ。何とか作れそうである。
問題は、題材とそのプリント方法だ。

相手は深海魚。鮮明な写真を用意、なんてすぐできるもんじゃない。よって「写真をアイロンプリントで」というお手軽方法は、はい消えた。ならば本職の職人のごとく、布に自分で描くしかない。まあ、それも職人気分で楽しめそうではある。

そこで、冒頭に紹介した本だ。テレビで紹介されていて、以前から欲しかったのだが、この企画をやるにあたり即買いだ。

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実にいい。受け口の魚がいっぱいだ。
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これも口が魅力的。頭蓋骨より大きい口、フクロウナギ。

ついコーヒーなど入れて「よっこいしょ、さて・・・」と夜更けにじっくり見入ってしまいそうになる本だが、おっとこうしてはいられない。何を描くか選定しなくては。そして足りるだけの布を買ってこなくては。

今回「実物大」ということに重点を置きたいので、よって魚は限られてくる。載っているものは数センチから数十センチのものが多く、それだと大空を泳がすにはちょっと役不足である。ごめんな、フクロウナギにヌタウナギ。少なくとも全長1mは欲しいのだ。

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候補魚には付箋を貼って第一次選考。
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決めたら採寸に次ぐ採寸。

もうご想像おつきのことと思うが、第一候補は「リュウグウノツカイ」だ。あの長~い銀色の。国際サンシャイン水族館に標本が飾ってあるが、本「深海魚」でも220cmと紹介してあった。長い。あれを「マゴイ」にしよう。

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6畳の部屋いっぱいで作業せねばならない。かきいれどきの反物製造業か。
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それは地味なのか派手なのか

他、4つの候補も決まって、さっそく下絵描きだ。ああ、こんな風にちゃんと「絵を描くぞ」と覚悟して始めるのは久しぶりなんじゃないか。もしかして高校の美術科目で、まったく要領のわかってない静物画を描いた、それ以来ではないか。手も震える。

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か、か、描かせていただきます。
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絵の具はアクリルを使ってみた。それにしても、長いぞリュウグウ。

忘れてはならないのは、鯉のぼりのように風に泳がすには「フクロ状」の構造にせねばならないということだ。よって、絵が表裏一枚ずつ必要なのだ。220cm塗り終わったー、と思ったらまた右からかい!かけることの5、イコールやってもやっても深海魚絵地獄。

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細かいところはポスカ頼みだ
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実に適当に色を重ねて、と。

最後の赤いのは、他の4つがあまりに地味な色合いなので、小さめの魚だが入れることにした「ダルマコンニャクウオ」だ。最後に見ていただくが、顔がいい。そして名前もいい。

魚の名前、特に深海魚の名前って、「そこかよ!」というセンスがあって実にいい。「コンニャクウオ」なんて、もうネーミングとかそんな問題じゃない、実にのんきな事態になっている。

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