134cmあるクマのぬいぐるみ
昨年末、職場の忘年会の余興として輪投げ大会があった。代表役員や上司の子どもたちが参加するなかで、気まずくなるくらいの点差をつけて僕が優勝した。気持ちよかった。

優勝景品は伏せられていたが、コストコで売られているというでっかいクマのぬいぐるみだった。人生で初めての褒賞かもしれない。そしてこれがまためちゃくちゃでかい。


いま思えば誰かに譲ればよかったのだろうけど、輪投げで人を負かした興奮でそんなことまで気が回らなかった。勝利に飢えすぎていて我を失っていた。
そして押入れの肥やしに
ぬいぐるみは家に持って帰って座らせてみたら余計大きく感じた。

はじめはぬいぐるみが家にいるのが嬉しかった。だってタダでこんなにいいものが手に入ったのだ。タダはなにより素晴らしいですよ。
海外のどこかの国の子どもは、ベッドにお気に入りのぬいぐるみを持ち込んで一緒に寝るらしい。両親と離れてはじめて一人で過ごす夜も、ぬいぐるみとなら安心して過ごせるというわけだ。
その話を知っていたので何日か一緒に寝てみたが、あまりにでかくて邪魔で安眠できなかった。かといって枕にもクッションにもならず、結局押入れの肥やし係に任命した。


その後断捨離にハマり、何度かクマを捨てようとしたがどうも踏ん切りがつかない。収納スペースを圧迫するので放置していても損ということが分かっているのに。貰ってくれる人も見つからない。。
このクマだって捨てられるために製造されたわけじゃない。何より、輪投げ大会の景品にしたら皆喜ぶだろうと、他県のコストコまで出かけていってクマを用意した幹事の姿を想像するとだめだ。捨てきれない。
でも本当はクマを捨てて押入れに空きスペースを作りたい。ふるさと納税の返礼品のトイレットペーパーを詰めたい。現実と理想のはざま。

なので、踏ん切りをつけるためにぬいぐるみと踊ることにした。破局寸前カップルの思い出旅行のようなものだ。おれは踊って区切りをつけるつもりだが、クマのほうは一生添い遂げられるもんだと思ってたら、こそんなに切ないことはないですね。
分身人形の要領で踊りたい
分身人形というのだろうか。宴会芸で、棒を使って人形と一緒に踊るアレがあるだろう。くまのぬいぐるみとアレをやりたい。楽しそうだろう。

ホームセンターで園芸用の棒と結束バンドを買ってきた。

勘だけで道具を用意したが、うまくいくビジョンしか見えない。加工していこう。



いい感じだ(まだライフジャケット着ただけ)。
棒で互いの身体を固定する
まずは結束バンドでお互いのライフジャケットに棒を固定して一緒に立てるようにしよう。


工作技術高いヤツらうごめく昨今のインターネットにあって、結束バンドで棒を固定するだけの加工を公開する豪胆さに惚れてください。俺に賭けてください。
よし、とりあえずできました。




なんか違うな。

どうも棒の力だけではクマが支えきれないらしい。だらんとしてしまう。
制作にあたってYouTubeなどを見てみたが、分身人形はたいてい2体で一組なのだ。人間を中心にして左右にバランスを取るようにして配置するのが一般的っぽい。
この問題の解決策はあとで考えるとして、次は手足を動かすための棒をつけていこう。


棒をいっぱい取り付けたクマは弁慶みたいでかっこよかった。弁慶と呼ぼう。おかしいな、愛着が湧いてきたぞ。
これでもう一度立ち上がってみよう。

